新築を建てる際、どうしても家ばかりに意識が集中しがちで「外構(エクステリア)なんて後から考えればいい」と多くの人は放置しがちです。
しかし、それではせっかくのマイホームの価値を半減させることになるかもしれません。エクステリアは、いわば「家の顔」であるため、ここを適当に決めてしまうと、見栄えの悪い外観や使いづらい外構になってしまうからです。
資金を諸費用込みの総額で考えなければいけないように、家は外構を含めた敷地全体で計画すべきです。そのためにも、建物のゾーニングを決めると同時に、外構のことも並行して考えるのが「理想の家」を実現するにおいて重要なのです。
また費用についても抑えることばかり考えるより、お金をかけることによって「快適になる」という発想を持ち、柔軟性を持つべきです。予算のために希望を諦めることによって、後から「やはりこうしておけば良かった」と後悔することもありえます。
このようなことに陥らないために、このページではこれから新築する人が後悔しない家を作るために、新築外構工事の依頼先の選び方や進め方などを経験者の視点から書いていきたいと思います。また、費用や相場についても解説していきます。
これを学ぶことで、新築外構工事を予算以内で満足度の高いものに仕上げられるようになります。
目次
1.新築外構工事は家と同時にプランニングする
新築で外構工事を行う際は、家と同時にプランニングをしてください。予算組がうまくいくだけでなく、建物に合わせた過ごしやすいエクステリアを作り上げることができるからです。
この項では、私の経験をもとに、実例を挙げながら解説していきます。私はこれをしっかり考えなかったことによる失敗もあったため、ぜひ、参考にしていただきたいです。早速、解説していきます。
1-1.家屋調査前に外構工事をすると固定資産税が上がる?
新築の際に外構を後回しにする理由として、「固定資産税が決定してからにしよう」と考える人が少なからずいます。外構まで完成してしまうと、固定資産税評価額が高く設定させるという誤解からだと思われます。
たしかに、新居に入居すると間もなく自治体の家屋調査があり、固定資産税が決定します。
しかし、これは土地・家屋に対しての調査であり、たとえば外構に200万円かけたからといってそれが評価に上乗せされるわけではありません。外構が固定資産税評価額に影響する例は、以下のようなケースが大半です。
- 3方が壁になったガレージを作った場合
- 基礎によって定着している物置小屋を設置した場合
このように、建物と同様に簡単には動かせないものを設置した場合に限られます。そのため、庭の植栽やアプローチ・カーポート・フェンス・ウッドデッキなどにお金をかけても家屋査定には影響しないのです。
ただ、多くの方はこのことを知りません。
こういった誤解で新築時に外構を後回しにすると、せっかくの新居と同時に庭が完成しないため、不格好になってしまいます。それどころか、土が剥き出しで車のタイヤが泥まみれになったり、仮設の階段を上って靴が泥まみれになったりして、夢のマイホームを汚す羽目になりかねません。
外構はできれば入居に合わせる気持ちで、完成が遅れたとしても、少なくともプランニングは建物の間取りを決定するのと同時に計画しておきましょう。
1-2.計画はゾーニングの段階から行うこと
ゾーニングというのは、下の図のように、敷地内のどの場所にどの空間を配置するかを大まかに決めることです。建物のゾーニングだけでなく、敷地全体のゾーニングを間取り決定前に決めておくと失敗が少ないです。
たとえば、駐車スペースにしても使いやすい配置かどうか、各種設備が使いやすい場所にあるかどうかなどを具体的にイメージするためにゾーニングを行います。これにより、使い勝手の良い外構になります。
ただ、家を建ててから外構のことを考えると、多くのことを見落としがちです。わが家の場合、外水道の場所などで失敗しました。
具体的には、ハウスメーカー標準で外に水道(散水栓と立水栓が1つずつ)が付いていたのですが、メーカーは立水栓を勝手口のそばに既に設置していました。そのため、動かすことができなかったのです。
結局、庭になるスペースに水道は必要だろうということで、外構業者で別途立水栓を設置しました。もちろん、別途料金です。
初めの段階で、何をどこに配置するかを当初から明確にしておけば、失敗は少なくなります。
建築業者もすべてにおいて親身に考えてくれるところもあれば、そうでないところもあります。しかしながら、家を建てるにおいては外構も非常に重要です。
どの窓から外のどの部分が見えるかなど屋外の視線の導線もシミュレーションし、敷地全体でイメージして建物と外構を並行計画するのが失敗しないコツだと思います。
注意したい点
- 水道がよく使う場所に届くか(散水栓か立水栓かもシミュレーションしてみる)
- アプローチの夜間の暗さはどうか(特に階段の上り下りに危険はないか)
- 屋外コンセントの場所(カーポートの近くが便利)
- 自転車や冬タイヤなど保管・収納する場所もシミュレーションしてみる
2.ハウスメーカーと同時に2社以上から見積(相見積)をとる
外構のプランニングが終わった後は、工事を依頼する業者選びに入ります。このとき、必ず相見積り(通称:あいみつ)を取るようにしてください。相見積りとは、複数の会社に見積りを取り、比較検討することを指します。
あいみつを行うことで、工事金額が適正かどうかを比べられるのはもちろん、それぞれの会社の提案を比較できることに大きなメリットがあります。
この項では、相見積りで失敗しないためのポイントを紹介します。これは実際に私が意識して行った手法なので、参考にしていただければ幸いです。
2-1.ハウスメーカーへ外構を依頼するのが普通?
建物と同時に計画するのがベストということは、ハウスメーカーなどの建築業者に外構工事まで丸ごと任せるのが最も面倒がなく簡単だということになります。
しかし、ハウスメーカーや工務店は直接工事を行うことなく、実際の工事は別業者へ丸投げするのが現実です。わが家の場合、メーカーとの打ち合わせでは「どのような外構にしたいか」を聞かれ、後日それに見合ったプランが出されるだけでした。
そのため、実際の外構業者と顔を合わせて意見交換しプランニングすることはありませんでした。
ハウスメーカーなどは施主の意見を聞き、それを外注業者に伝えるだけです。そして、下請け業者が出したプランニングをまた施主へ提案するという「仲介するだけ」のような形を取られることが多いようです。
このとき、利益を上乗せされるため、施主が別業者に直接依頼するよりかなり割高になると考えましょう。
平均的に、ハウスメーカーは工事金額の3~4割もの手数料を取るといわれています。100万円の工事の場合、実際の工事金額60~70万程度しかなく、残りは工務店が利益としてチャージしているということです。
手数料だけで家具が買えてしまうため、これではあまりにももったいないです。
そのため、外構工事を行う際は専門業者に直接依頼することをおススメします。
ただ、住宅ローン審査には、建築費用の概算を提出する必要があります。その際には、外構をどこに発注するかはともかくとして、建築業者に外構費用も計上してもらうようにするのが普通です。
住宅ローンの本融資は、引渡し時です。そのため、外構を入居までに完成させたい場合、建築業者への前払い金や登記時の司法書士報酬などと同様に、お庭の工事の費用もつなぎ融資を利用するか自己資金から支払うことになります。
外構をハウスメーカーに任せると、こういった費用面や工事の進め方において面倒がないという利点はたしかにあります。
これらを考慮したうえで、ハウスメーカーに工事を依頼するのか、あるいは専門業者に直接発注するのかを検討しましょう。
2-2.別途業者に依頼する人は意外に多い
わが家の場合、ハウスメーカーと外構専門業者(石川デザイン企画)を比較検討した結果、後者に依頼しました。値段はもちろんのこと、直接やり取りができて希望通りの提案を受けることができたからです。
わが家の周りでも、半分以上は別業者に依頼されたようです。
外構着手は、引渡しの少し前、完成したのは入居してから半月後くらいでした。当初はハウスメーカーに外構も依頼する予定でしたが、その当初日程表でも、建物の竣工完了検査を終えた後に外構に着手されることになっていました。
そのため、施主が別途業者に外構を依頼しても、工事時期が有利ということは特にないと思います。
ただ、生活面で不便にならないように、入居前に駐車スペースとアプローチだけは完成してもらえるようにお願いしました。そのため、手付金のみを外構着手前に業者へ支払い、残額は完成時に渡すことになっていたので住宅ローンから充当できました。
おかげで手元の貯蓄を減らすことなく、早い段階で快適な新居に住むことができたのです。
外構工事を直接手配して最も良かった点は、なんといっても費用が削減できたということです。わが家が依頼したハウスメーカーの場合、外構工事に利益を上乗せされていないということでしたが、外構専門業者と同じ内容で再見積してもらったところ、55万円も紹介のほうが高額でした。
実際は中間マージンが上乗せされていたのでしょう。
つまり、同じプランでも、専門業者のほうが費用面では圧倒的に安くなる可能性が高いのだと思います。ただし、悪かった点もありました。
2-3.専門業者で外構を依頼した場合のデメリット
後に気づいた大きなデメリットは以下の3つです。
- テラス屋根などの取り付けの際、外壁に穴を開けると家屋の保証適用外となる場合がある
- エアコン取り付け後に砂利敷きなどの外構工事を行うと、室外機を動かすためエアコン工事の保証適用外となる
- 全て自社施工の業者にしたため格安だったが、その分熟練した職人さんでない部分もある
実際に、わが家は入居後エアコンが壊れたのですが、外構業者が取り付け後に入っていたため保証が適用されませんでした。これをエクステリア業者に言っても、因果関係の立証ができないため保証はしてもらえませんでした。
またテラス屋根も取り付けようとしましたが、上記の理由で保留しています。
外壁に穴を開けないタイプのテラス屋根もあるということですが、テラス屋根の柱だけで支えるために、基礎をかなり丈夫にする必要があるそうです。わが家の場合、テラス屋根の下をコンクリートで固めてしまうほうが良いということで、かなり割高になったため一旦見送りました。
雨どいなどで外壁に穴などたくさん開いているのに、テラス屋根を取り付けると家屋に何かあっても保証してもらえないとは盲点でした。
2-4.価格だけで決めた場合のデメリット
わが家は相見積をして、プランが一番良かったという理由もありますが、最も費用が安い「全て自社施工」の業者に決めました。
ただ、それが良かったのかというと、正直分かりません。
コンクリート工事やタイル施工、植栽などエクステリア業者にもさまざまなタイプがあるため、普通は外構専門業者でもそれぞれの下請け業者に依頼するものなのでしょう。
しかし、すべて自社施工の業者の場合、中間利益が発生しないぶん格安になると思います。
ただ、その代わり熟練した職人さんがやってくれるわけではないというリスクもあります。わが家が依頼した業者は、境界ブロック設置の際に地面とのへいこうを測るための紐を張るのに、「隣家のブロックに釘穴を開ける」という信じがたい行為をしたらしく、ハウスメーカーのほうに苦情が入りました。
外構業者は工事前に近隣に挨拶に行くと言っていたのですが、実際は行っていなかったのです。「入ったばかりの職人だったので善悪の判断ができなかった」とよく分からない説明をされました。謝罪にはすぐ行ってくれたようですが、ところどころ雑な仕上がりの部分もあり、安ければそれなりのリスクは伴うのだと痛感しました。
2-5.「ハウスメーカーも候補に入れつつ相見積り」がおススメ
大手ハウスメーカーともなると、外構工事費用が3~4割増しになることも多いと聞きます。保証面や支払面がシンプルだということなど、ハウスメーカーに外構を依頼するメリットは大きい部分があるのは事実です。
とはいっても、それでもやはり費用を抑えたいのが正直なところです。
そのために相見積は行うようにしましょう。通常の相場を把握でき、思ってもみなかった提案を受けることもあります。
よくハウスメーカーに外構を依頼するメリットとして「建物とのバランスなどが取れる」と言われます。
しかし、メーカーから外観イメージや地盤面の高さ、排水の位置などが書かれた図面も受け取れるため、他の業者でもプランニングするのに特に問題はないと思います。
また、ハウスメーカーオリジナルのタイル外壁などで門柱も統一したい場合などは、そこだけメーカーに依頼するという手もあります。そのため、工務店を候補から外さず、他社からも見積をとるのが後悔のない結果に繋がると思います。
相見積りの結果、メーカーの提案がベストならそれが一番楽で安心ですし、メーカーより安く良いエクステリアが叶う場合もあります。
もちろん、どちらが良いかは人それぞれです。
ただ、わが家がもう一度やり直せるなら、建物に触る必要がある部分や境界ブロックなどはメーカーに依頼して、アプローチや駐車スペースなど費用が多くかかるところは専門業者に依頼したいと思っています。
以下に、ハウスメーカーの良し悪しを記します。
ハウスメーカーの良い点 | ハウスメーカーの悪い点 |
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3.外構工事の見積もりが出来るまでの流れと時間
外構工事を検討しているときは、見積もりが出るまでの流れと期間の目安についても把握しておくことをおすすめします。
基本的に、「見積もり依頼」「打ち合わせ」「現地調査」「見積もり完成」といった流れで行われるのが一般的です。ここでは、それぞれの過程について簡単に説明していきます。
まず工事を頼みたい外構業者を見つけ、問い合わせて見積もりを依頼します。
このとき、工事したい場所や希望の工期、予算の目安などを伝えておくとスムーズに話が進みます。
見積もりを依頼したら、次のステップが打ち合わせです。1~2時間程度の打ち合わせのなかで、デザインや使う素材の希望などを伝えて相談しましょう。
ある程度イメージが固まった段階で、現地調査が行われます。ここで敷地の面積や外構デザインなどの細かなデータを集め、見積もりを出す際の参考とします。
このような流れで見積もりが提示され、金額に納得がいけば契約という運びになります。
見積もりにかかる期間は、1週間~1カ月程度が目安です。
4.外構工事の見積もりを取る前に必要な準備
外構工事を依頼する時は、施工後のトラブルを防ぐためにも、必要な事前準備について知っておくのが賢明です。
最初に、工事を依頼する住宅の設計図面を用意しておきましょう。
設計図面には、住宅の高さや土の量、配置図といった工事に必要な情報が記載されています。
現地調査でもこれらのデータは確認されますが、設計図面をあらかじめ渡しておけば工事の計画も立てやすくなります。
設計図面にはさまざまな種類がありますが、特に平面図と配置図、立面図などは重要なので用意しておきましょう。
次に、イメージを伝えられる資料を用意することも大切なポイントです。
外構業者と自分の認識をしっかりとすり合わせなければ、希望どおりの工事をしてもらうのは難しいでしょう。
理想のイメージに近い写真を探してプリントする、希望の条件を紙に書き出すといったひと手間で、完成した外構への満足度も大きく高まるはずです。
最後に、予算を明確に決めておくことも見逃せないポイントです。
予算の上限を明示しておけば、外構業者も実現可能な範囲が把握しやすくなるので話がスムーズに進みます。
このとき、少なめの予算を伝えると設計の自由度も低くなるため、支払える最大の予算を伝えておくとよいでしょう。
5.外構工事の見積書のチェックポイント
外構工事の見積もりを取った後、見積書のどこを見ればよいのかわからず困ってしまう人もいるでしょう。ここでは、見積書の基本的なチェックポイントを紹介します。
まず、工事内容が詳細に書かれているかどうかをチェックします。基本的に、工事費は施工箇所ごとに詳しく記載されています。
「土工事一式」「外構工事一式」といったようなあいまいな書き方がされている場合は、具体的にどの工事にどれだけの費用が必要なのかを確かめなくてはなりません。
工事内容やその費用、使われる素材などを把握しないまま工事が進められると、後から問題が発覚する場合もあるので気を付けてください。
特に、「一式」表記が多用されているときは見積内容をごまかしている場合があるので要注意です。
次に、見積条件が記載されているかどうかもしっかりと確認しておきたいポイントの一つです。
「何月何日における価格をもとに仕入れ値を計算しました」など、適切な見積書にはどのような条件で金額を算出したのかが明示されています。
最後に、不明な言葉がないかどうかもチェックしておきましょう。見積書には業界の専門用語も使われているので、わからない言葉が何を意味しているのかいちいち確かめ、お互いの認識をすり合わせることが重要です。
6.信頼できる外構業者の見極め方
外構の見積もりで失敗しないためにも、信頼できる業者の見極め方を押さえておきましょう。
まず、悪質業者の特徴を知っておくことが大切です。全額先払いを求められる、図面の盗用をしようとするなど、おかしいと感じるところがあったら悪質業者である可能性を疑ってください。外構工事で着手金を求められるのは珍しくありませんが、全額先払いという条件はほとんどありません。
図面の盗用についても、ニューモラルスタンダードに反する姿勢です。ニューモラルスタンダードとは、設計図面の盗用を防ごうとする活動のこと。モラルに反することを平然と行う業者は、施工の際も手抜きなどをする可能性が高いです。
次に、実績を確認することも重要なポイントです。依頼する業者の候補をある程度絞ったら、施工してほしいジャンルでどの程度の実績があるのかを調べ、信頼できるところに依頼する必要があります。
最後に、外構に関わる資格を取得しているかどうか確かめることも有効な方法です。
7.新築外構にかかる実際の費用と相場
ここからは、具体的な費用についてみていきましょう。新築外構工事の相場は、建物価格の1割程度と言われますが、前面道路との高低差がある場合など、敷地の状況によってはかなりの費用がかかることもあります。
参考までにUR都市機構のエクステリアガイドによると、高低差があるだけで以下のように工事金額が大きくなる傾向があるようです。
(参照元:UR都市機構のエクステリアガイドより引用) |
わが家は高低差2mであったため、総額240万円に収まれば相場通りでした。ただ、コンクリートの擁壁(以下画像左半分)が元々あったため最低で150万円程度だと言われました。
しかし、メーカーから150万円の予算で最初出されたプランは、コンクリート階段のアプローチ、土ののり面(斜面)という素っ気ないプランだったのです。
7-1.ハウスメーカーからのプランと実際の見積書
ハウスメーカーから最初に提案された、最低限の最もシンプルなプランが以下の図です。見ての通り、寂しいエクステリアです。
わが家の場合、地盤改良の際の見積りでメーカーと揉めたせいもあるのか、外構はメーカーを介さず直接支払う設定で別業者に発注した形になっています。普通にハウスメーカーを経由すると利益が上乗せされ、この金額の2~4割増しに、工務店であっても1~2割増しになるようです。
最終的に決定した業者とは別に、もう一社からも見積りをしてもらいました。そちらとハウスメーカー見積書の価格はほぼ同額だったので、相場から遠くない額になっていると思います。
実際の見積りの内容は以下の通りです。
見積総額1,540,435円(税別)
- 土間コンクリートが44㎡(駐車スペース2台分とアプローチ)
- 土留めの擁壁ブロックと境界ブロックは普通のコンクリートブロック
- 擁壁の上のコンクリートブロック(建物正面側)のみ化粧ブロック
- 階段13段は土間コンクリート
- 全方向にアルミメッシュフェンス(約50m分)
- 機能門柱(表札灯一体型の門柱)+ポスト
- 建物周りは赤砂利
すき取り・残土処分などの土工事に76,500円、重機廻送・運搬費などに76,000円、諸経費に73,000円ほど。幅1.5mほどの階段1段に約1万円、土間コンクリートは平米単価7,400円、下地・型枠などに38,400円かかっています。
フェンスや機能門柱・ポストなどは定価の35%オフでした。
7-2.外構専門業者(オール自社施工)の実際の見積書
次に、実際に依頼した外構専門業者の見積書です。メーカーのプランにがっかりしたので、とりあえず予算は伝えず、希望を伝えて引き算していくことにしました。個人的には、この引き算方式がいいと思います。
自分の希望を叶えるのにどのくらいの費用がかかるのかを知ることができる上に、予算にこだわりすぎないことで業者からも柔軟性のあるプランニングを提案してもらえると思ったからです。
わが家は、上の最低条件に加えて以下の希望を伝えました。
- 車1台分はカーポートがほしい
- 機能門柱ではなく、タイルの門柱にしてほしい
- 階段はなるべくゆるやかにしてタイル張り
- アプローチもタイルで
- 正面側だけフェンスのグレードを少しアップ
この条件を加えた見積総額が1,944,445万円(税別)でした。ハウスメーカーの最低限プランより40万円高くなりますが、その費用で希望がすべて叶うなら、こちらに決めたいと思いました。当初予算はオーバーしたものの、想定範囲内で満足のいくエクステリアが叶ったことになります。
ちなみに、シンボルツリーなどの植栽は見積に入っておらずイメージです。プラス2~3万円で施工できると口頭で言われました。すべて自社施工の外構専門業者の見積ですので、実際の相場よりかなり安いようです。
7-3.ハウスメーカー経由の業者からも同内容で見積してもらった結果
ちなみにメーカーからも「同じ内容で見積してみましょうか」と言ってもらえたので、お願いしたところ、同内容で見積総額2,494,359円(税別)。結局、外構専門業者へ依頼することに決めました。以下がメーカーからの最終見積書です。
オール自社施工の業者より55万円高くなりましたが、相場はこの程度だと思われます。
もう一度、プランごとに相場で比較してみると、以下のようになります。
- プラン1:約150万円
- プラン2:約250万円
プラン2の場合、わが家が契約した業者では約194万円となりました。予算は超過したものの、価格にこだわり過ぎて当初プランで妥協していたとしたら、結果的に後悔することになっていたと思います。
高低差が大きいので100万円ほどの差がつきますが、高低差のない土地ならそこまでの差はなくグレードアップ可能だと思います。見栄えだけでなく耐久性のことも考えると、機能門柱やコンクリートむき出しのアプローチよりタイルを選択して正解だったと思っている次第です。
次項では、さらにポイントごとに相場をまとめます。
8.ポイントごとの外構工事価格相場
最後に、外構工事の種類ごとの価格相場をまとめていきます。あなたが希望する工事に、以下の費用を当てはめれば、おおよその金額を導き出せるはずです。
これらはあくまでも参考程度にしていただき、実際の金額は実際にお見積もりを取らなければ分からないことをご理解の上、読み進めていただければ幸いです。
8-1.境界ブロックとフェンスにかかる費用相場
境界ブロックとフェンスについては、土地によってかかる費用が変わってきます。隣接した土地に境界フェンスなどがあれば、その方向には新たに立てない場合が多いようです。
隣接地にまだ建設がされていない場合、少しでも地盤面の高い方が土留めと同時に境界ブロックを立てるのが一般的です。分譲地などではルールがある場合もあるので、確認してみましょう。
相場の単価(m) | 10mほどの価格目安 | |
---|---|---|
基礎 | 3,800円 | 38,000円 |
コンクリートブロック2段積み | 6,000円 | 60,000円 |
化粧ブロック2段積み | 7,400円 | 74,000円 |
高さ80cmアルミメッシュフェンス | 4,040円 | 74,000円 |
木目調コーティングフェンス | 25,514円 | 255,140円 |
最低限のコンクリートブロック2段の上にアルミメッシュフェンスを施工すると、基礎や施工費も合わせて1mあたり13,840円、一般的な住宅の建物周囲3方向に施工するとしたら40~50万円が相場となります。
8-2.駐車スペースなどのコンクリート工事にかかる費用相場
駐車スペースは土間コンクリート施工が一般的です。費用を節約したい場合、タイヤが通る部分のみにコンクリートを施工し、あとは砕石を敷き込んだり芝を植えたりする方法もあります。
相場の単価 (平米) |
車1台分スペース (10㎡)の目安 |
|
---|---|---|
砕石による地盤締固め | 3,500円 | 35,000円 |
土間メッシュ敷き込み | 900円 | 9,000円 |
土間コンクリート(枠入れ込み) | 7,234円 | 72,340円 |
つまり、駐車スペースを土間コンクリートにする相場は1㎡あたり11,000~12,000円程度、車1台分なら11~12万円程になるようです。
8-3.カーポートにかかる費用相場
カーポートに関しては、定価の半額程度になることも多いです。
下をコンクリートに施工する場合の工事費は、1台当たり35,000~46,000円くらいなので、後で取り付けるよりコンクリート敷き込みのときに同時に行うのがいいと思います。施工費込みでカーポートの定価から半額程度になることはあっても、定価以上になることはまずないでしょう。
一般的な業者が製品を卸す値段で施工費込にて行っている会社もあるため、品質のことを考えるとリスクが大きいです。
8-4.アプローチ・階段にかかる費用相場
基本的に、土間コンクリート仕上げが最も費用がかかりません。その一方で、タイルや天然石が最も高価になるようです。安価な施工から順に、並べると、以下のようになります。
- 土間コンクリート < 洗い出しコンクリート < タイル・天然石
相場の単価(㎡) | 10㎡ほどの価格目安 | |
---|---|---|
段付・下地コンクリート | 9,000円 | 90,000円 |
タイル貼り | 18,000円~36,000円 | 360,000円 |
とにかく、タイルは人件費が高いようです。わが家の場合は、階段とアプローチ22.5㎡を1人で2~3日がかりでされていました。
8-5.費用を抑えるためにはDIYも検討
擁壁ブロックや階段、コンクリート工事、境界ブロック、フェンス設置などは難易度が高いですが、庭部分の植栽や芝植え、アプローチなどは工夫すればDIYでも可能です。お笑い芸人のバッファロー五郎さんも、家やウッドデッキを自分で施工して500万円以上もの費用を浮かせたそうです。
ただし、安く仕上げたいあまりに、メンテナンス性を無視してはいけません。
たとえば、ウッドデッキなどは安い天然木だとすぐに腐朽して数年後にはやり直す羽目になりやすいです。ウッドデッキの相場はメンテナンス性に優れた人口木なら平米単価(1平方メートル当たりの単価)が4万円くらいと言われています。5㎡(約3帖)程度のであれば、20万円かかることになります。
自分で施工するなら材料費だけなので、半額は節約できると期待できます。挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
新築外構工事は、金額だけで決めてしまうと失敗しがちです。予算を多少オーバーしつつも柔軟性のある提案をしてくれて、プランも費用もこちらの希望にできる限り寄り添ってくれる業者が一番良いでしょう。
そのためには、まず自分の希望を盛り込んでみて、あとから引き算で考えるのがいいのではないかと思います。
予算を聞いて最低限のプランしか提出しない業者、そもそも予算や希望を無視して勝手なプランを提出してくる会社、回答が遅すぎるところは注意したほうがいいでしょう。あなたのことを第一に考えてくれていない証拠だからです。
間取りを確定する前、できればゾーニングの段階で外構のプランもざっくり考えておいた方が失敗は少ないと思います。
外水道や照明など、後から気づくことも多いため、どこに何が必要かということを考えながらプランを立てるとより良い家になるのではないでしょうか。これに関しても、プロである専門の方に相談するのがベストです。
使えるものを有効活用して、優良業者に外構工事の相談をして一生に一度の庭造りを成功させましょう。
筆者:外構工事職人歴20年 石川公宣