コンクリート構造物(ビルや壁などのコンクリートでできたもの)やブロック積みといったセメントを使用した工事の場合、必ず「養生期間」と呼ばれるものを確保しなければいけません。
養生期間とは、コンクリートが硬化するまでの間に急激な乾きや寒さ、あるいは雨風から守る期間のことを指します。
養生期間は非常に重要ですが、工事を安く請けている業者は工期(工事期間)が少ないので工程を省かなければ赤字になってしまいます。そこで、養生期間をけずって工事を進めていきます。しかし、工期がないということは「養生期間を十分に確保することができない」ということになるので、非常に危険です。
コンクリートが硬化する前は「生コンクリート(以下生コン)」と呼ばれています。生コンは液状なので、硬化するまで十分な時間が必要とされています。コンクリートの強度は打設後28日経過後に強度を測定します。
ただ、28日間も養生期間をおくのかというと、そうではありません。国の仕事である「公共工事」でさえ養生期間は3日から7日とされています。また、養生期間は季節によって異なります。
コンクリートが硬化するために外気温が大きく影響してくるので、十分な養生が必要になります。
また、早く乾燥しすぎたり風雨にさらされたりするのを保護する必要があります。そこで、シートなどで覆ったり十分に水分を与えてコンクリートの亀裂を防ぐため散水をしたりします。このような作業を「養生作業」といいます。
きちんと養生期間を守ることで、構造物の品質は向上します。逆にいえば、十分に養生期間をとらなければ、コンクリート本来の強度を引き出すことができません。
工事費用をなるべく安くしたい気持ちは痛いほどわかるのですが、安い工事を依頼すると最後に「悲劇」しかありません。安い工事は工期がないので、十分な養生期間をおくことができずに粗悪な工事しかできない可能性が非常に高くなります。十分に養生期間をおかないと以下のような悲劇が待ち受けています。
コンクリート強度は養生期間で決まる
コンクリートは高強度で耐久性に優れているため、様々な構造物に採用されています。
きちんとした工事を行えば、一般的なコンクリートは30年から65年その姿を保つといわれています。また、高強度コンクリートであれば100年もつともいわれています。
ただ、前述の通り十分に養生期間をとらなければ、ンクリート本来の強度を引き出すことができません。
例えば、駐車場をコンクリート舗装にして固まったと思って車で乗り上げてしまうと、写真のように簡単に割れてしまいます。コンクリートの硬化スピードは非常にゆっくりなので、負荷がかかる場所は、最低でも1週間は養生期間を確保したいところです。
また、擁壁(コンクリートの壁)の場合、打設後は型枠(生コンを流し込む型)をばらさずにそのままの状態で養生期間をおきます。
型枠をばらさずに養生期間を置く理由は、ばらす際に起きる振動でコンクリートがかけてしまったり、強度の伸びが鈍化したりすることを防ぐ役割があります。
また、写真のように土を埋め戻してもとの状況に戻す擁壁の場合、型枠をばらしてからすぐに土の埋め戻しを行ってしまうと、擁壁が傾いたりひびが入ったりしてしまう原因になります。
ひび割れを防ぐため、ばらしてからも十分に乾燥をさせる必要があります。土を埋め戻すと、「土圧(土が崩れようとする圧力)」が擁壁にかかるのでかなりの負担がかかります。
完全に硬化した擁壁なら耐えることができるのですが、硬化しきっていない擁壁だと最悪の場合倒れてしまう可能性もあります。
外構工事は非常に高額なので少しでも金額を抑えたい気持ちはわかるのですが、安くしようとするとその分だけできあがる構造物は粗悪なものになってしまう確率が非常に高いということを覚えておいてください。
まとめ
外構工事を検討する際は、十分な工事費用を用意しましょう。
また、どうしても予算が足りない場合、外構専門業者(エクステリア業者)に相談をしてみましょう。
親身になって聞いてくれる業者であれば、予算に合った外構プランを組み立ててくれます。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣