外構工事(エクステリア工事)を考えたとき、工事内容でおおよその値段を決めていくと思います。
ほとんどの人は物を作るときの工事費用を意識しますが、実は外構工事は物を作るとき以外にもお金が発生します。
駐車場工事やアプローチ(敷地の入り口から玄関までの路)などの外構工事を行うと、どうしても残土(掘り出した土)が発生してしまいます。
この残土を処理するためには、処理場に運んで有料で処分する必要があります。
外構工事を行うには、庭の土を掘り返さなければいけません。
この掘り返した土が、畑や花壇に使えるような良い土なら、残土処理にかかる費用は安く済みます。
ただ、この土の中に大きな石やコンクリートの破片、あるいはゴミが混入している場合、ゴミと土を分別しなければリサイクルを行うことができません。
残土の中に大量のゴミが入っている場合、ごみを取り除かなければ産業廃棄物扱いになってしまうので、処分料金が跳ね上がります。
掘り起こした土の性質にもよりますが、これら「残土」にかかる費用が外構工事費用に加算されると工事の値段はおのずと高くなります。
土を捨てるだけでお金がかかる
前述の通り、残土を処分するにはお金がかかります。
工事を依頼する人のほとんどが「土を捨てるだけで料金が発生する」ことを知りません。
そのため、工事費用の見積もりを確認すると、土工事にかかる費用が加算されていることに驚かれます。
残土を処理するためには、重機とトラック(ダンプカー)が必要になります。都心部のような住宅が密集している場所では、2tトラックのような小さい車でなければ、周り近所に迷惑をかけてしまいます。
2tトラックだと積める量が決められているため、現場と処分場を何度も往復しなければいけません。
このとき、往復する回数が多くなるほど、運賃が別途で加算され続けてしまうことになります。また、処分場の距離によって費用が大きく異なるため、同じ県内でも地域によって金額が変動します。
ブロックを並べるだけの工事でも、右の写真のように土を掘り返さなければいけません。
少し掘り返しただけでも土の中に空気が入るため、土の量が増えます。これをほぐし土量と呼びます
また、構造物は全て根入れを行わなければいけません。根入れとは、地盤の高さから構造物の一番下までの深さのことを指します。
根入れがなければ、霜や凍結などの影響を受けて構造物が変形したり、最悪の場合崩壊したりしてしまいます。
根入れをきちんと行わないと構造物の品質に影響してきます。
根入れの深さは、深ければ深い方が良いとされているので、業者によっては根入れを深くとるため、残土処理を行う金額を割増することがあります。
壊れにくい構造物を作り上げるためには、根入れは深くとらなければいけません。
たとえ工事費用が高くなったとしても、これは外構工事の品質を向上させるために必要な費用だということを覚えておいてください。
お見積りの際は土工事の費用を確認する
先に述べた通り、工事費用の見積もりを確認すると、土工事にかかる費用が加算されていることに驚かれます。
本やインターネットで調べると、外構工事のおおよその値段が分かります。
しかし、これはあくまで一例であり、あなたの家の外構工事を同じ値段で行うことができるわけではありません。
これは、掘り返す土の質や量によって値段が大きく異るからです。
例えば、駐車場の台数が多かったりアプローチの距離が長かったりする工事は、土工事だけでかなりの金額になります。
残土処理にかかるお金は諸々であり、1m31万円前後はかかります。また、捨てた後の整地も必要なため、これらの費用を無料にするわけにはいきません。
まとめ
外構工事を行う際は、後から知らされて驚くのではなく、お見積りをする際に「今回の外構工事では、残土処理にどれほどの費用がかかりますか?」と尋ねてみましょう。
優良業者であれば、費用を抑える対策法や、工事費用がかからないプランなどを提案してくれるはずです。
筆者:外構工事歴20年 石川公宣