駐車場工事は、コンクリートがよいといわれています。
その理由として挙げられるのが、耐久性です。「長持ちするから」と、土間コンクリートを選ぶ人も少なくありません。
確かに土間コンクリートは長持ちしますが、その耐久性は、環境や土間コンクリートの質に影響されます。
つまり、耐久性を高めるには、コンクリートの特徴と駐車場工事のやり方を知ることがポイントになります。
そこで本記事では、駐車場のコンクリートの耐久性について、長持ちさせるコツとともにご紹介します。
目次
1 駐車場をコンクリートにした場合の耐久性はどのくらい?
「コンクリートの寿命は、約15年」と言われています。これはおそらく、コンクリートの法的耐用年数のことを指していると考えられます。
コンクリート舗装の法的耐用年数は、15年と定められています。法的耐用年数とは、法令上の耐用年数のことなので、15年以上は絶対に持たないというわけではありません。
15年という年数はあくまでも目安で、実際には20年たっても良い状態を保っていることも珍しくないのです。
「土間コンクリートの耐久性は高く、15年~20年程度持つ」と覚えておくと良いです。
2.コンクリートの耐久性はアスファルトよりも優れている
コンクリートの他に、駐車場の工事によく使われている素材として挙げられるのが、アスファルトです。
駐車場を土間コンクリートにするかアスファルトにするか迷うかもしれませんが、耐久性の点からいうと、土間コンクリートをおすすめします!
コンクリートの法的耐用年数が15年なのに対して、アスファルトの法的耐用年数は、10年です。
コンクリートは、セメントに砂や水などを混ぜて固めたもので(これらの材料を総称して骨材といいます)、表面の硬さに特徴があります。
一方のアスファルトは、蒸留した原油から抽出される物質(パラフィンなど)からつくられています。
アスファルトは常温で固まりますが、温度が高くなるとやわらかくなります。アスファルトがコンクリートよりも耐久性が低いのは、こうした性質が影響しています。
アスファルトは、コンクリートよりも早く固まるため、工事をしてから1~2日後には、車を乗り入れできます(土間コンクリートの場合は、養生だけで7~10日程度かかります)。
また、水はけの良さにおいてもコンクリートよりも優れています。ですが、耐久性を重視するならコンクリートを選んだ方が、満足のいく結果を得られるでしょう。
3.土間コンクリートはひび割れに注意
土間コンクリートで気をつけなければならないのは、ひび割れです。
ひびが入っているコンクリートを見たことがあると思いますが、取り扱い方などによって耐久性が低下し、ひびが発生することがあります。
ひび割れの主な原因は主に4つあります。
1つずつ詳しく解説していきます。
3-1 温度差
コンクリートの温度と、外気の温度との差が大きくなると、ひび割れが起きやすくなります。
液状のコンクリートを地面に流し込むと、徐々に中心部の温度が上昇していき、ピークに達した後低下します。
この時、コンクリートの中心部では温度の上昇とともに膨張し、温度の低下とともに収縮するという動きがありますが、もともと温度の低いコンクリートの表面部で引張力がはたらき、中心部の動きを制限します。
この引張力が強くなると、ひびが発生するのです。引張力は、中心部と表面部の温度差が大きいほど強くなります。
3-2.基礎地盤
地盤の弱い場所に作った土間コンクリートは、耐久性が低下します。
地盤が弱いと揺れやすく、引張力が生じます。石のように硬いコンクリートは引張力に弱く、地盤が揺れて引張力がコンクリートの耐久度を超えてしまうと、亀裂が生じひびが入ってしまいます。
3-3.重い負荷
トラックなどの重い車両の行き来が激しい場所では、常に重い負荷が土間コンクリートにかかります
車両の重さを考慮せずに土間コンクリートをつくってしまうと、土間コンクリートにかかる負荷が耐久度を超え、ひびが入ってしまいます。
3-4.乾燥
乾燥によってコンクリートに含まれている水分が蒸発すると、コンクリートの体積は減少します(コンクリートが縮む)。
このように水分を失ったコンクリートは乾燥収縮を起こしますが、その際に引張力が強くなって発生するのがひび割れです。
乾燥収縮は下記によって引き起こされます。
- 長期間使用する
- 相対湿度が低い
- 骨材を配合する際の水量が多い
このように、土間コンクリートにひびが入る原因は、多岐にわたります。
発生するひびの程度も、小さなものから隙間ができ明らかにそうだと分かる大きなものまでさまざまです。
いずれにしても、ひびが入るとそこから水が入ったり、さらにひびが広がったりするなど土間コンクリートの劣化を加速させることにつながります。
4.水はけの悪い土間コンクリートは耐久性が低下する
耐久性を低下させるという点においていえば、水はけの悪さも土間コンクリートの劣化を加速させる原因のひとつです。
コンクリートは、アスファルトと比べて排水性が低く、表面に水分がたまりやすいという特徴があります。
コンクリートにできた水たまりを放っておくと、コケやカビが生え劣化を招きます。
土間コンクリートが劣化すると、内部の腐食が進行し耐久性が低下します。場合によっては法的耐用年数よりも早く限界が来て、再工事する可能性も出てきます。
5.土間コンクリートの耐久性を高める最も良い方法とは?
土間コンクリートを長持ちさせるコツは、耐久性を高めて、それをできるだけ長く持続させることです。
ひび割れや劣化を防ぐ対策としては、下記の2点があげられます。
- 養生期間中に水をまき表面が乾燥しすぎるのを防ぐ
- コケやカビが生えないようにデッキブラシで表面をこまめにブラッシングする
確かに長持ちさせるために自分でメンテナンスすることも大切ですが、それには限度があります。
なぜなら、耐久性を考慮せずに駐車工事を行った場合、どんなに作業後のメンテナンスをがんばっても、ひび割れのリスクや劣化の速度を下げることは難しいからです。
土間コンクリートの耐久性を高める最も良い方法は、駐車場工事の時点でコンクリートの欠点を補強することです。
コンクリートには、下記のような欠点があります。
- ひび割れを起こしやすい
- 水はけが悪い
工事の段階でこれらの欠点をカバーすることによって、さらに耐久性を高めることが期待できます。
この項では、主な補強工事について解説いたします。
5-1.砕石転圧(さいせきてんあつ)を行う
砕石転圧(さいせきてんあつ)とは、砕石(細かく砕いた石)に上から圧力を加えて空気や水を押し出し、密度を高める作業のことをいいます。
土間コンクリートにおいて砕石は、地面とコンクリートの間にある層を形成しますが、地面を覆い地盤を補強するはたらきがあります。
密度を高めると骨材の吸水率が低下しますが、吸水率の低い骨材は、密度の高い骨材と比べて耐久力が高くなります。
このように、砕石転圧によって基礎地盤を安定させれば、地盤沈下によるひび割れの発生防止に繋がります。
5-2.ワイヤーメッシュや鉄筋を入れる
ワイヤーメッシュとは網状の金属のことで、コンクリートの強化によく使われています。
ワイヤーメッシュには、異なる太さがありますが、駐車場工事では6センチのものを使うのが一般的です(駐車場のコンクリートの厚さは約10センチというのが理由)。
乗用車の駐車場ならワイヤーメッシュでも十分ですが、トラックなど重量のある車両用の土間コンクリートという場合は、鉄筋を使用するのが無難です。
鉄筋は、厚さ10センチ以上の土間コンクリートに対応し、ワイヤーメッシュよりも強度の高い駐車場を作ることができます。
5-3.骨材の選定などを工夫する
ひび割れ防止を目的に骨材を選ぶことで、耐久性を高めることが期待できます。
例えば石灰石は、吸水率が低く、乾燥収縮の発生を抑えられます。混和剤の使用も効果的です。
混和剤とは、食品でいう添加剤の役割を果たしていて、コンクリートの骨材に混ぜて使用します。
混和剤には、収縮低減や単位水量(コンクリート1m²中の水量)の低減など種類があり、目的別に使い分けることによってコンクリートの耐久性アップにつなげます。
6.駐車場工事(コンクリート)の流れ
この項では、駐車場工事を外構工事業者に依頼した場合の工事の流れを解説していきます。
①駐車場の測定をする(高さだし)
②土をすきとる(掘削)
③砕石転圧を行う
④型枠を設置する
⑤伸縮目地を設置する
⑥ワイヤーメッシュを敷きコンクリートを流し込む
⑦表面をならして仕上げる
6-1.駐車場の測定をする(高さだし)
最初に、駐車場工事を行う場所において、「高さだし」と呼ばれる測定をおこないます。
これは、オートレベルという測量機器で測定しますが、その結果をもとに駐車場の高さと勾配(水はけや車の乗り入れを考慮した土間コンクリートの傾斜)を決めます。
適切な高さや勾配にしないと、水がたまったり、転んだりするリスクの高い土間コンクリートになってしまいます。
その為、高さだしは非常に大事な作業です。
6-2.土をすきとる(掘削)
車を支えられるほどの耐久性を持つ土間コンクリートをつくるには、ある程度の厚みが必要です。
そのため、土や砂利を取り除いて、コンクリートを流し込むためのスペースを確保しなければなりません。
それが、掘削(くっさく)と呼ばれている作業のことです。掘削は通常重機を使って行います。
6-3.砕石転圧を行う
砕石転圧は、基礎地盤を強化するための大事な作業です。
最初に砕石を敷き、次に転圧機を使って砕石を転圧します。この砕石は土間コンクリートの下地となるため、適度な厚みを持たせるのが理想です。
砕石の厚みは、土間コンクリートの厚みによって異なりますが、例えば通常の駐車場ですと、10cmのコンクリートの厚さに対して、砕石層は10cmが基準です。
6-4.型枠を設置する
コンクリートを流し込む型枠を設置します。型枠の素材にはいくつか種類がありますが、通常の駐車場工事では、木製のものが使われることが多いです。
6-5.伸縮目地を設置する
駐車場工事における伸縮目地とは、土間コンクリートに一定の間隔で入れる目地のことです。
コンクリートは、温度などによって変形するという性質がありますが、目地を設置することによってコンクリートの柔軟性を高め、耐久性をアップさせます。
伸縮目地の設置は、土間コンクリートの耐久性に影響が出ます。どのくらいの間隔で設置すればよいかなどについては、業者と話し合って決めることをオススメします!
6-6.ワイヤーメッシュを敷きコンクリートを流し込む
ワイヤーメッシュ(または鉄筋)を敷き、その上からコンクリートを流し込みます。
ここでワイヤーメッシュを“設置する”と説明しましたが、実際には土台から少し浮かせてコンクリートを流し込みます。
これは、ワイヤーメッシュが砕石に直接触れると、本来持っている耐久力を発揮できないというのが理由です。
6-7.表面をならして仕上げる
コンクリートを流し込んだら、左官コテを使って表面をならします。
この作業は3回以上続けますが、職人さんの「コンクリートの表面をならす」技術と、天候などを考慮した乾燥時間を「よむ」能力によって仕上がりは左右されます。
7.駐車場工事(コンクリート)の相場
駐車場工事で気になることといえば、「どのくらいの費用がかかるか」ということではないでしょうか。
土間コンクリートにかかる費用の相場は、依頼先や駐車場の広さ、場所などによって異なりますが、車1台を駐車するスペースの相場は、15~25万円程度です。
相場には、以下のものが含まれています。
- 材料費
- 掘削費
- 砕石転圧費
- 残土処分費
- 人件費
- 重機回送費
などが含まれています。
重機回送費は、駐車場工事に対して一律にかかる費用で、それ以外の費用は駐車場の広さに比例して高くなる傾向にあります。
つまり、駐車場の広さが大きくなればなるほど、コンクリート1m²あたりの費用は安くなるということです。
外構業者より見積りを出してもらった際には、内訳をよく見て、何にいくらかかるのかを確認することが大切です。
8.まとめ
コンクリートを使って駐車場工事をした場合の、耐久性について解説してきました。
コンクリートは、アスファルトと比べて耐久性の高い素材です。法的耐用年数もアスファルトと比べて長く、耐久性を重視した場合は、土間コンクリートが最も適していることが分かります。
ただし、コンクリートには欠点があり、耐久性を高める場合は補強工事をしっかり行うことが重要です。駐車場の工事には、専門的な知識と技術が必須ですので、外構工事を依頼する際には優良業者を選ぶことが求められます。
外構工事業者といっても、それぞれ強みが異なりますので、土間コンクリートづくりに実績のあるところを選ぶのが賢明です。
土間コンクリートの駐車場工事に適した業者を見つけて、耐久性の高い土間コンクリートをつくりましょう。
お住まいの地域で施工業者を選ぶ際はGoogleの口コミを是非、参考にして有料業者を探しましょう。
この記事を参考にして、高強度な駐車場工事を、完成して頂けると幸いです。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣