自宅のブロック塀のひび割れや傾きが気になっている方もいらっしゃると思います。自分で修理すべきか、プロの専門業者に頼むべきか悩むところです。
そこで、今回は自分でできる?プロに頼むべき?ブロック塀のひび割れ・傾きトラブルシューティング完全ガイドを紹介していきます。
この記事を読むことで、ブロック塀のひび割れ・傾きのトラブルを解決できること間違いなしです。
目次
1.ブロック塀ひび割れの種類

ブロック塀のひび割れの種類と特徴があります。ひび割れの原因特定と応急処置を知っておくと、非常に便利であるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.ヘアークラッシュ
ヘアークラックは、ブロック塀の表面にできる非常に細いひび割れのことです。
幅は0.3mm以下であることが多く、深さも表面的な場合がほとんどです。
主な原因としては、モルタルの収縮や乾燥、あるいはごくわずかな温度変化などが考えられます。
1-2.乾燥収縮
ブロック塀を建設する際に使用するモルタルは、水分を含んだ状態で塗られます。
その後、水分が蒸発していく過程で収縮が起こり、その際にひび割れが発生することがあります。
これが乾燥収縮によるひび割れです。
1-3.温度変化や寒暖差
日々の温度変化や季節による寒暖差によって、ブロック塀を構成する素材はわずかに膨張したり収縮したりします。
この膨張と収縮が繰り返されるうちに、ひび割れが生じることがあります。
1-4.不同沈下
ブロック塀の下の地盤が均等に沈下せず、一部だけが大きく沈んでしまうと、塀全体に歪みが生じ、ひび割れが発生します。
これが不同沈下によるひび割れです。不同沈下によるひび割れは、他の原因によるひび割れに比べて幅が広く、斜めに大きく入ることが多いのが特徴です。
1-5.地震
地震の強い揺れは、ブロック塀に大きな負荷を与えます。
この負荷に耐えきれず、ひび割れが発生することがあります。
地震によるひび割れは、規模や震源からの距離によってひび割れの程度も様々です。
1-6.その他
車両の衝突や物をぶつけるなど、外部からの強い衝撃によってブロック塀にひび割れが生じることがあります。
海に近い場所に建てられたブロック塀は、潮風に含まれる塩分によって劣化が進み、ひび割れが発生することがあります。塩害によるひび割れは、海岸線に近いほど発生しやすい傾向があります。
2.ひび割れの原因特定と応急処置

ブロック塀に発生するひび割れは、その形状や位置によって、いくつかの原因が考えられます。
例えば、水平方向に走るひび割れは、地盤の不同沈下や、塀に加わる水平方向の力によって生じることがあります。垂直方向に走るひび割れは、温度変化による収縮や膨張、あるいはブロックの積み方の問題などが考えられます。また、斜めに走るひび割れは、地震や強い衝撃が原因となることもあります。
ひび割れを見つけた際には、まずその形状をよく観察することが大切です。直線状なのか、ジグザグなのか、網目状なのか。また、塀のどの部分に発生しているのか、角の部分なのか、中央部分なのかなども重要な情報となります。これらの観察結果から、ひび割れのおおよその原因を推測することができます。
ひび割れの進行状況を確認するために、幅と深さを記録しておくことは非常に重要です。ひび割れの幅は、クラックスケールなどを用いて正確に測定します。深さについては、目視で確認できる範囲で記録しておきましょう。可能であれば、写真撮影も有効な記録方法です。
定期的にこれらの記録を行うことで、ひび割れが進行しているのか、あるいは安定しているのかを把握することができます。もし、ひび割れの幅や深さが明らかに拡大している場合は、早めに専門業者に相談することをおすすめします。
ひび割れの応急処置として有効なのが、シーリング材の塗布です。シーリング材をひび割れ部分に充填することで、雨水が内部に浸入するのを防ぎ、ひび割れの拡大や、塀の劣化を抑制する効果が期待できます。
3.ひび割れへの対策

軽微なひび割れの場合、自身で補修できることがあります。例えば、壁や天井、タイルなどにできた小さなひび割れには、シーリング材や補修材が有効です。これらの材料はホームセンターなどで手軽に入手でき、比較的簡単に使用できます。
シーリング材は、ひび割れの隙間に充填することで、水の浸入を防ぎ、見た目を改善する効果があります。補修材には、ペースト状やパテ状のものがあり、ひび割れ部分に塗布して平らに仕上げることができます。
DIYで補修を行う際は、取扱説明書をよく読み、適切な材料を選ぶようにしましょう。また、作業前にはひび割れ部分の汚れをしっかりと落としておくことが重要です。
一方で、ひび割れの状況によっては、専門家への相談が必要となる場合があります。特に、目視で明らかに幅が広いと感じるひび割れや、深さが確認できるようなひび割れは、構造的な問題が潜んでいる可能性があります。
一箇所だけでなく、壁全体や建物全体に複数のひび割れが見られる場合は、建物の歪みや地盤の変動が考えられます。
時間の経過とともにひび割れの幅が広がったり、長くなったりする場合は、何らかの力が継続的に加わっている可能性があります。
建物の一部が沈下し、傾いているように見える場合、不同沈下が原因でひび割れが発生していることがあります。
これらのケースに該当するひび割れを発見した場合は、自身で判断せずに、速やかに建築士や専門の業者に相談することをおすすめします。
専門業者は、ひび割れの状況を詳しく調査し、原因を特定した上で、適切な補修方法や対策を提案してくれます。構造的な問題が疑われる場合は、早めの対応が建物の安全性を保つ上で非常に重要です。
4.専門業者への依頼タイミング

専門業者への依頼のタイミングとして、DIYでの補修が困難な場合、構造的な問題が疑われる場合、安全性の確保が最優先される場合が挙げられます。業者選びのポイントも併せて、詳しく見ていきましょう。
4-1.DIYでの補修が困難な場合
幅が0.3mmを超えるひび割れや、深さがブロックの厚みの半分を超えるようなひび割れは、単なる表面的な劣化ではなく、ブロック塀の構造的な問題を示唆している可能性があります。例えば、地盤沈下による基礎の不同沈下や、内部の鉄筋の腐食などが原因となっていることも考えられます。このようなひび割れをDIYで安易に補修しても、根本的な解決にはならず、再びひび割れてしまう可能性が高いです。専門業者であれば、ひび割れの原因を正確に特定し、適切な補修方法を提案してくれます。
ブロック塀の広範囲にわたって、複数のひび割れが見られる場合も、専門業者に依頼するべきタイミングです。これは、特定の原因だけでなく、複数の要因が複合的に絡み合ってひび割れが発生している可能性が高いからです。例えば、経年劣化と地震による揺れ、さらには排水不良による水分浸透などが同時に影響していることもあります。広範囲のひび割れは、ブロック塀全体の健全性に関わる問題であり、専門的な知識と技術がなければ、適切な診断と補修は難しいでしょう。
ブロック塀に明らかに傾きが見られる場合は、倒壊の危険性があるため、すぐに専門業者に相談してください。傾きは、ブロック塀の基礎や構造に深刻な問題が発生していることを示しています。特に、地震や台風などの自然災害が発生した際には、一気に倒壊してしまう可能性も考えられます。ご自身の安全はもちろん、近隣住民の方々への影響も考慮し、速やかに専門業者に調査と対策を依頼することが非常に重要です。
これらのケースに当てはまるひび割れを発見した場合は、DIYでの補修は避け、速やかに専門業者に連絡し、安全な状態を確保することをおすすめします。
4-2.構造的な問題が疑われる場合

ブロック塀のひび割れが、垂直方向ではなく、斜め方向や不規則な形で複数発生している場合、地盤の不同沈下が原因である可能性が高いです。不同沈下とは、地盤が不均一に沈下することで建物や塀に負荷がかかる現象を指します。この兆候が見られる場合は、ひび割れ部分の補修だけでは根本的な解決にはなりません。地盤調査によって地盤の状況を正確に
把握し、必要に応じて地盤改良などの専門的な対策を講じる必要があります。放置すると、塀全体の傾きや倒壊につながる恐れもあります。
地震後にブロック塀に大きなひび割れや欠損、傾きなどが生じた場合は、耐震性が著しく低下している可能性があります。特に10mm以上のひび割れや、ブロックがずれているような損傷は危険なサインです。現在の建築基準法では、ブロック塀の高さや補強に関する基準が設けられていますが、古いブロック塀の場合、これらの基準を満たしていないことも少なくありません。地震による損傷が疑われる場合は単なる補修ではなく、耐震性の再検討を含めた専門家による診断と補修が必要です。
ブロック塀のひび割れが、特に塀の最下部や地面との境界部分に集中している場合、基礎部分に問題が生じている可能性が高いです。基礎はブロック塀を支える最も重要な構造部分であり、この部分にひび割れや破損が見られる場合、塀全体の安定性が損なわれていることになります。基礎の損傷は不同沈下や施工不良、あるいは経年劣化など、様々な原因で発生します。基礎部分の損傷が見られる場合は、DIYでの補修は難しく、専門的な補修が不可欠です。
4-3.安全性の確保が最優先される場合

ひび割れが大きく、ブロック塀全体が傾いている、あるいは一部が膨らんでいるなど、倒壊の危険性が目に見える場合は、緊急の対応が必要となります。これは地震や強風などのわずかな衝撃で、実際に塀が倒れてしまう可能性があるためです。このような状況では、通行人や近隣住民だけでなく、自身の家族や財産にも甚大な被害が及ぶ恐れがあります。すぐに専門業者に連絡し、現状を伝え、可能な限り早く現場確認と応急処置を含めた対策を依頼する必要があります。
ひび割れが原因で、ブロックの破片が落下したり、塀の一部が剥がれ落ちたりする可能性がある場合も、早急な対策が求められます。たとえ倒壊に至らなくても、通行人や近隣の建物、駐車中の車両などに破片が当たれば、第三者への被害が発生しかねません。特に、通学路に面している、人通りの多い場所に建っている、あるいは隣接する建物がある場合は、その懸念はより高まります。目視で危険を感じたら、迷わず専門業者に相談し、安全確保のための具体的な修繕計画を立ててもらうことが重要です。
4-4.専門業者選びのポイント

ひび割れの状況は様々で、修理方法も業者によって異なります。そのため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。費用はもちろんのこと、どのような修理方法を提案しているのか、使用する材料は何かなどを比較検討することで、自宅のブロック塀に最適な修理方法を見つけることができます。安さだけで決めるのではなく、提案内容の丁寧さや説明の分かりやすさも判断基準にすると良いでしょう。
次に、その業者が確かな実績と適切な資格を持っているかを確認しましょう。ブロック塀の修理には専門的な知識と技術が必要です。過去の施工事例を参考にしたり、ウェブサイトで実績を確認したりするのも有効です。また、建築士やブロック塀診断士などの資格を持つスタッフがいると、より安心して任せられます。信頼できる業者を選ぶことで、修理後のトラブルを未然に防ぎ、長期的な安心を得られます。
修理後の保証やアフターサービスの有無も非常に重要なポイントです。修理後に再びひび割れが発生した場合や、何らかの不具合があった際に、無償で対応してくれる保証期間が設けられているかを確認しましょう。また、定期的な点検やメンテナンスの提案があるかどうかも、長期的な視点で考えると大切です。修理をして終わりではなく、その後のサポート体制がしっかりしている業者を選ぶことで、より安心してブロック塀を長く良い状態に保つことができます。
まとめ.

この項では、ブロック塀について解説してきました。ブロック塀には寿命があります。どんなにメンテナンスをしていても絶対に崩れたりしないとは限りません。
その時に備えて、トラブルへの対策方法を学び活用していただければ幸いです。ご自分で修理等が難しい場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
専門業者に依頼する際は、優良業者を選べるように口コミや実際のお客様の声を参考に依頼することをおすすめします。
筆者:外構工事職人歴20年・石川