家づくりをするうえで、「外構」「エクステリア」という言葉をよく目にするものの、両者にはどのような違いがあるのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、外構とエクステリアの基本的な定義や外構の範疇に含まれるもの、外構工事を依頼する場合にかかる費用や業者に依頼する場合の注意点などを紹介します。
目次
1.外構とは?エクステリアとはどう違う?
まずは、外構とはどのようなものを指していうのか、外構と並んで使われることが多いエクステリアとはどのような違いがあるのかを紹介します。
1-1.外構とは
外構とは、敷地内の住宅以外の部分で機能性を有する構造物自体を指すことが一般的です。
一例として、防犯や目隠しを目的として敷地と外の道路を区切るために設置されるフェンスや塀、門扉から玄関までのアプローチなどの通路、排水など、生活するうえで欠かせないものが含まれます。
この他、家の印象を決める顔となりうる庭や駐車場、門扉なども外構の範疇に含まれる要素です。
1-2.エクステリアとは
エクステリアとは、外壁や門、車庫、アプローチ、塀、フェンスなどの外構に庭も含めた家の外装全体のことです。
外構の範疇に含まれる構造物の集合体がエクステリアといえます。言い換えれば、エクステリアとは建物全体を装飾し、空間の演出を目的としたものを意味します。
エクステリアの対義語として位置づけられるのがインテリアです。
インテリアとは、壁紙や床材、室内ドアなどの内装建材、キッチンやトイレ、お風呂などの設備機器、カーテンや照明、家具など建物の室内に設置されている装備や装飾品のことを意味します。
2.外構にはどんなものがある?構成要素を知ろう
ここからは、外構を構成するものとしてどのようなものがあるのかを紹介します。
2-1.門扉・門柱
門扉は、住宅の敷地への出入り口に設置されている門についた扉のことです。
門扉の素材は、アルミ製や木製、アルミに樹脂をプラスしたものなどさまざまなものがあります。
アルミは腐食やさびに強いことから、門扉として用いられていることが多い素材です。
門扉は両側が開くもの、片側だけが開くもの、横にスライドするものなど、3つの開閉方式があります。
両側に開くもの、片側が開くものは、門扉の前後に開くスペースが必要です。
横にスライドするタイプは前後のスペースは必要ありませんが、門を横に引き込むスペースを設けなければなりません。
門扉があることで道路と敷地の境界線を示すことができますし、防犯にも役立ちます。
門柱とは、文字通りに取れば門扉の横に設置されている柱のことですが、壁状になっているものも広い意味では門柱です。門柱には表札やポストなどが設置されます。
2-2.フェンス・塀
フェンスは家を囲む柵や囲いのことで、外から家の中が見えないようにする目隠しを目的として設置されるものです。
また、フェンスがあることで人が家の敷地内にすぐに入って来られないようになるので、防犯効果も期待できます。
塀も家の敷地を囲むもので、道路と敷地を隔てたり隣家との間の境界線を示したりするために設置されるものです。
フェンスの素材はアルミや木製、アルミと樹脂を組み合わせたものなどの他に植栽を施して生垣にすることもあります。
塀はコンクリートやタイル、レンガなど、使われる素材はさまざまです。下半分はブロック塀、上半分はアルミフェンスなど、違う素材を組み合わせて仕切りを作ることもあります。
フェンスや塀を設置すると外からの見た目だけでなく中からの見た目も変わるので、高さや大きさ、形、色は慎重に選ばなければなりません。
また、外から中がまったく見えないフェンスや塀は防犯上の心配があるので、ある程度は外から見えるよう工夫が必要です。選ぶときは風通しや日当たりも考慮します。
2-3.アプローチ

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アプローチとは、門扉から玄関まで続く通路のことをいいます。
素材として用いられるのは、タイル・レンガ・コンクリート・インターロッキング・石材などさまざまです。
素材の選び方や敷き方によって印象が大きく変わります。アプローチの近辺に花壇を作って植栽を楽しむ人も少なくありません。
アプローチの素材を選ぶときに、見た目がおしゃれであることや自分のイメージを形にすることだけでなく、雨で濡れたときに滑らないかなど、機能面も考慮することが大切です。
2-4.駐車場
駐車場は3種類に分けられます。
車を停めるための屋根がないスペースは駐車場、柱と屋根がついた簡易的な駐車スペースはカーポート、車を格納できるスペースがある建造物はガレージです。
カーポートは屋根があることで紫外線や雨を避けることができます。シャッターやゲートを設けておけば、盗難防止にも役立つでしょう。
駐車場を設置する際には、停める台数や道路への出入りのしやすさ、動線なども考える必要があります。積雪が多い地域の場合や防火地域・準防火地域にあたる場合などでカーポートの選び方も違ったものにしなければなりません。
2-5.デッキやテラス
家のリビングが外につながっており、外にあるリビングとして使えるのがデッキやテラスです。
室内の床から一続きになった、同じ高さに設置されているものをデッキといい、庭よりも一段高いところに作られた場所をテラスといいます。
デッキやテラスには、いすやテーブルを置いて食事をしたりお茶をしたりと、開放的にくつろげる空間として利用する人が多いです。
テラスをガラスの壁と屋根で囲むとサンルームになり、庭側の扉を開けられるようにするとガーデンルームになります。
木製のデッキはウッドデッキといわれており、人気が高い反面、手入れを怠ると木が傷んだり変色したりする恐れがある点がデメリットです。
本物の木ではなく、木の風合いを持ちながら手入れが楽な人工木のデッキも人気です。デッキやテラスの素材はこの他にタイルや天然石などがあります。
2-6.植栽
植栽とは、庭やアプローチの付近に植えられた樹木や草花のことです。
家のシンボルツリーとして木を植えると、家の歴史を重ねるごとに家族の歴史も刻まれていき良き思い出となります。
緑や草花が身近にある生活は、心に癒しをもたらしてくれるでしょう。また、植栽を行うことで家の外からの目隠しにもなります。
塀やフェンスなどの人工物でも外からの目を遮ることはできますが、植栽なら目にも優しく、安らぎを与えてくれるでしょう。
夏は直射日光が当たると暑いので、なんとか涼しく過ごしたいものです。庭に木を植えることで木陰が作られるので、日差しが和らいで快適に過ごせます。
果実を収穫できる植物を植えれば、収穫の楽しみを味わうこともできるでしょう。花の咲く木を植えれば、開花期は家にいながらにして花の色や香りを楽しむことができます。
2-7.照明
照明を設置することで夜間の歩行の安全を確保するだけでなく、防犯対策としての効果を期待できます。
照明は、外壁や門柱、シンボルツリーを優しく照らすようにライトアップするとおしゃれです。
まぶしさを感じてしまうほど明るくしてしまうと、光害につながることもあります。
外壁や表札が凝った仕様になっている場合は、上または下から光を当てると素材の凹凸感がはっきり出て立体感を出せます。
3.外構工事の費用はどのくらい?目安をチェック!
外構工事の費用は住宅本体の工事とは別に用意しなければなりません。外構工事にかける予算は、住宅の工事費用に対して10%程度を目安にすると住宅とバランスが取れて良いといわれています。
たとえば、フェンスの場合は素材や形状によってかかる費用は異なるものの、幅200cmで約5万円(材料費・工事費含む)が相場なので、20m設置する場合は約50万円になります。
カーポートの場合は、車1台分を設置する場合は約15万円、2台分で約30万円~、3台分で50万円程度が相場です。
駐車スペースの仕上げ方によっても費用は異なり、コンクリート仕上げにするなら1平方メートルあたり約1万円、アスファルト仕上げなら1平方メートルあたり約5000円が相場になります。
門柱や門扉はデザインや大きさによって差が出ますが、一般的な住宅の門柱・門扉・インターフォンの工事費は約30万円が相場です。
4.外構工事はDIYでできる?
外構工事の中でも駐車場やアプローチに砂利を敷いたり庭に芝を張ったりするなど、それほど難しい技術を必要としないものはDIYで対応することができます。
ただし、外構は家の印象を左右する人目につきやすい場所ですし、一度施工してしまうと変更が難しい箇所です。
長年暮らしていくとなれば、素人が仕上げたものは見た目のうえでもプロが仕上げたものとは差があるだけでなく、安全上の問題が出てこないとも言い切れません。
一見、工事自体は素人でも対応できそうに感じられるものであっても、きちんとした基礎工事を行わなければ倒壊の危険性が出てくるフェンスやブロック塀の工事などもあります。
また、電気工事や水道工事は専門的な資格を有していなければ工事を行うことはできません。安心して生活を送るためには、外構工事はプロに依頼するのが無難です。
5.外構工事を依頼する際のポイント
外構工事を行う際は、工事を行う場所とどのように行うのかを事前にはっきりさせておきましょう。計画が曖昧な状態で工事を依頼してしまうと、予想していたよりも予算オーバーになってしまうという事態が起こりかねません。
外構工事を行う際は、業者選びも大切です。外構工事はハウスメーカーに依頼することもできますが、ハウスメーカーは外構業者に工事を外注するので中間マージンが上乗せされ、結果的に費用は割高になります。
費用を安く抑えるためには、外構業者に直接依頼するのがおすすめです。費用を抑えられる以外に、外構業者から外構に関する積極的な提案やアドバイスを受けられるというメリットもあります。
また、外構工事にかかる費用は業者ごとにまちまちです。工事を依頼する業者を決めるにあたっては、複数の業者から見積もりを取り、費用や内訳を検討しましょう。複数業者から見積もりを取ることで、工事費の相場も把握できます。
まとめ.
これまでの解説で外構工事に含まれる内容や費用の相場が理解できたでしょうか。
外構工事は住宅本体の工事には含まれていないので、費用に関しては慎重に検討することが必要です。
ハウスメーカーや工務店を通じて依頼すると費用は高くなってしまいます。
正しい知識や豊かな経験を元に、お客様の立場になって熱心に取り組みを行う施工会社を選ぶべく、ここまでで紹介したことを踏まえて検討してみましょう。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣