カーポートを設置すると、大切な自動車を雨風や飛来物などから保護できるだけでなく、雨の日などでも乗り降りしやすいといった利便性の工場や資産価値の向上につながります。
この記事では、カーポートの種類と設置の価格相場、設置費用を抑えるポイントや設置の流れと注意点について詳しく解説します。
また、施工業者の選び方や確認事項、カーポート設置を検討する際によくある疑問についても紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
目次
1.カーポートの基礎知識

まずは、カーポートの基礎知識について押さえておきましょう。主なポイントは次の3点です。
- カーポートの役割とは?
- カーポートの値段相場(工事費込みの金額)は?
- カーポートの選び方のポイントは?
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
1-1.カーポートの役割とは?
カーポートとは、自動車を保護する目的で設置する屋根を意味します。カーポートがあれば、自動車に雨や雪、風、紫外線などが直接当たるのを防げるため、自動車へのダメージを軽減できます。
また、雨や雪の日に自動車の乗り降りが楽になる点もカーポートを設置するメリットです。駐車場から自宅までは近いため傘をさすほどではありませんが、それでもぬれるのはストレスではないでしょうか。荷物がある時や子どもを連れている時などは特に、ぬれずに速やかに移動できることが大切です。
1-2.カーポートの値段相場(工事費込みの金額)は?
カーポートの施工費込みの値段は、以下が目安です。
- 1台用:12万~60万円程度
- 2台用:22万~200万円程度
- 3台用:48万~220万円程度
- 4台用:50万~200万円以上
上記の値段相場にはかなり幅があります。カーポートの値段は、種類やサイズ、素材、デザイン、工事内容やオプションの有無、メーカーなどによって大きく変動するためです。詳しくは後述します。
1-3.カーポートの選び方のポイントは?
カーポートを選ぶ基準やポイントは主に次の4つです。
①自動車の台数
現在の保有台数に加えて、将来の保有台数や来客頻度、自転車やバイクを置くかなど
②車の大きさ
軽自動車1台は全長3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2m以下
小型自動車(5ナンバー)1台は全長4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2m以下
普通自動車(3ナンバー)1台は全長4.701m以上、幅1.701m以上、高さ2.001m以上
2台以上を並列駐車する場合は左右に20~30cm、ドアの開閉をスムーズに行うためには0.7~1.1m程度のゆとりが必要です。
③居住環境
台風、豪雪、猛暑、潮風などの影響を受けやすいか
④デザインなど
平らで直線的なフラット型、曲線的なアール型、複数台の場合は並列駐車タイプ(ワイド、M合掌、Y合掌、横2連棟)と縦連棟タイプなど
2.カーポートの種類と特徴

ここでは次の通り、カーポートの種類と特徴、値段の目安やどんな人に向いているかなどについて、それぞれ詳しく解説します。
- 1台用カーポート(幅2.4~3m)
- 2台用カーポート(幅4.8~6m)
- 3台用カーポート(幅7.2~8m)
2-1.1台用カーポート(幅2.4~3m)
1台用カーポートは自動車1台分の駐車スペース向けで、幅は2.4~3mです。コンパクトで場所を取らないことや安価で手軽に設置できることが1台用カーポートのメリットです。
1台用カーポートの値段は、低価格帯の製品では施工費込みで15万~30万円程度が目安となります。台風や積雪に対応している製品やデザイン性の高い製品の場合は30万~60万円程度です。1台用カーポートは一人暮らしの人や小型住宅に向いている他、2台以上を駐車するスペースはあるが全体を覆わず開放的な仕上がりにしたい人にもおすすめです。
2-2.2台用カーポート(幅4.8~6m)
2台用カーポートの施工費込みの値段相場は、安い製品では22万から40万円程度、台風や積雪に対応する製品では50万~90万円程度、デザイン性が高い製品では100万~200万円程度となっています。
2台用カーポートは複数台の自動車を収納できるため、家族人数や保有台数の多いファミリー世帯、来客が多い人向きです。加えて、駐車テクニックに自信がない人も2台用カーポートなら切り回しがしやすく駐車しやすいというメリットもあります。
2-3.3台用カーポート(幅7.2~8m)
3台用カーポートは、3台以上の自動車を収納できる大型設計で、幅は7.2~8mです。
3台用カーポートの施工費込みの値段相場は安い製品でも48万~65万円程度、台風や積雪に対応した製品では85万~150万円程度、デザイン性を重視した製品では150万~220万円程度となっています。
3台用カーポートには広いスペースが必要で設置費用も高額となるため、駐車場を経営する人や複数車両を保有している人向けです。
3.価格を左右する要因

カーポートの価格を左右する主な要因として、次の5つが挙げられます。
- 材質
- サイズ
- 施工費
- オプション機能
- メーカー
それぞれの要因について、以下で詳しく見ていきましょう。
3-1.材質
カーポートの材質には、ポリカーボネート、アルミ、スチール折板、木材などがあります。
ポリカーボネートは熱可塑性(ねつかそせい)プラスチックの一種で、弾力性や耐熱性に優れ、加工も容易です。安価なものから高品質で高価なものまで幅広い製品が展開されています。
アルミ製のカーポートは軽量でサビに強いことが特徴で、中価格帯の製品が一般的です。
スチール折板製のカーポートは強度が高く、大雪や強風に対応する製品などがあります。遮光性も高いため、夏の車内温度上昇を防ぐ効果もあります。ただし、価格は高めです。
木製のカーポートは住宅とデザインを統一しやすく、バルコニーとしても使える点がメリットですが、他の素材と比べて耐久性が低く、価格が高い点はデメリットです。
3-2.サイズ
サイズもカーポートの価格に影響する要素です。台数別の価格相場は次が目安となります。
- 1台用:12万~60万円程度
- 2台用:22万~200万円程度
- 3台用:48万~220万円程度
- 4台用:50万~200万円以上
また、自動車の屋根にキャリア―を付けている場合に柱を高くするなど、特注サイズを選ぶ場合は追加費用が発生します。
3-3.施工費
カーポートの施工費は設置場所の状況によっても変動します。例えば、コンクリートの上に設置する場合は支柱を立てるためのハツリ工事が必要です。また、傾斜地や変形したスペースに設置する場合などは、支柱を高くしたり屋根を切り詰めたりする必要から、加工費が別途かかる場合があります。
加えて、既存のカーポートを撤去する場合やオプションを追加する場合には特別工事費用が発生します。
3-4.オプション機能
カーポートのオプション機能には、人感センサー付き自動照明やサイドパネル、シャッターの取り付け、屋根材を耐風圧強度や耐熱強度の高い素材に変更するといったものがあります。
目安として、人感センサー付き自動証明の取り付けには約5万円、屋根材を太陽熱と直射日光を遮断する熱線遮断FRP板に交換する場合は約10万円の追加費用が必要です。
3-5.メーカー
カーポートの主要メーカーにはYKKAP、LIXIL、三協アルミなどがあります。
YKKAPはシンプルなデザインでコストパフォーマンスの良い製品が特徴です。機能性や耐久性が高く、オプションの種類も豊富ながら、費用を押さえて設置できます。
LIXILは種類や材質、カラーの選択肢が豊富です。設置場所に障害物があったり形が特殊であったりする場合の加工オプションも多数用意されています。価格帯もリーズナブルなものから高級品まであるため、ニーズに合う製品の選択が可能です。
三協アルミはデザイン性が高く、太陽光発電システム搭載など機能性の高い製品もあります。価格は製品によって安価なものから高価なものまでさまざまです。
4.カーポート設置費用を抑えるポイント
カーポート設置費用を抑える主なポイントとして次の2つが挙げられます。
- 相見積もりをとる
- ホームセンターと専門業者を比較する
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
4-1.相見積もりをとる
カーポートの設置を依頼できる業者には大手ハウスメーカーや地元の工務店などがあります。カーポート費用は施工業者によって異なるため、複数業者から見積もりをとって比較することが大切です。
見積書に工事費や人件費、諸経費、消費税などの内訳がしっかりと明記されているかチェックし、不明点があれば必ず確認して下さい。見積書の有効期限も把握しておきましょう。また、トラブルに備えて、依頼が決まった後も見積書は保管しておいて下さい。
4-2.ホームセンターと専門業者を比較する
ホームセンターの中にはカーポートの販売に加えて施工も請け負う店があります。実物を見て製品を選べ、メーカー品よりも安い点がホームセンターのメリットです。
ただし、ホームセンターのカーポートは耐風圧強度や色の選択肢などにおいてメーカー品より劣る場合があります。また、ホームセンターにはカーポート製品や施工の専門家がおらず工事も外注するため、設置場所などに応じた専門的なアドバイスを得るのは難しいでしょう。
その点、カーポート専門業者に相談すれば、的確なアドバイスや高品質の施工をしてもらえます。
5.カーポート設置の事前準備と見積もり・契約時の注意点
カーポートを設置する際は、事前の準備、業者への見積もり依頼、見積もりを比較した後に契約といった流れになりますが、それぞれの段階で注意点があります。ここでは、次の項目に分けて詳しく解説します。
- 事前に準備すること
- 見積もり・契約
5-1.事前に準備すること
まず、設置場所の測量とスペースの状態確認が必要です。施工業者に見積もりを依頼すると、現場を下見して測量や状態確認から行ってくれるので、内容をしっかりと把握しておきましょう。
カーポートは建築物の扱いになるため、建築基準法や都市計画法など地域条例に沿った内容になっているかを判断する目的で、建築確認申請が必要となる場合があります。建築確認申請は施工業者ではなく注文した人が提出しなければならないため、申請の必要があるかについて事前に確認しましょう。カーポートの屋根面積(床面積)が10平方メートルを超える場合は申請が必要です。
5-2.見積もり・契約
カーポート施工業者と契約する前に必ず複数の業者に見積もりを取り、工事内容や費用の内訳を明確にしておきましょう。確認事項は次の通りです。
- 総額:カーポート本体代、標準工事費、加工費、特別工事費などの内訳を確認し、総額でいくらになるのか確認
- 施工内容:どのような工事を何人で行うのかなどを確認
- 保証内容:設置後にトラブルが発生した場合の保証内容や保証期間について確認
他社より大幅に安い場合は、信頼できる業者かどうか判断するために、安くできる理由についてしっかりと確認する方が安心です。
6.カーポート施工業者の選び方
カーポート施工業者を選ぶ際のポイントや方法として、次の2点を覚えておきましょう。
- 業者を選ぶ際のチェックポイント
- 信頼できる業者を見つける方法
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
6-1.業者を選ぶ際のチェックポイント
カーポート施工業者を選ぶ際の主なチェックポイントは、「過去の施工事例の確認」「保証内容の明確化」「費用の透明性」です。
施工事例については、業者のホームセンターのページに掲載されている場合があるので、チェックしてみて下さい。掲載されていない場合は電話や対面で質問してみましょう。
また、施工保証やアフターケアなど保証内容、明細がしっかりと記載された見積書など費用の透明性についても、複数の業者を比較した上で選ぶことが大切です。
6-2.信頼できる業者を見つける方法
信頼できるカーポート施工業者を見つけるためには、地域密着型の業者をインターネット検索してみると良いでしょう。
地域密着型の業者は営業拠点と工事現場が近いため、すぐに下見に来てくれるなど迅速な対応をしてもらえます。また、地域の気候風土や利用できる補助金など地域特性についても熟知しているため、有用なアドバイスを得ることが可能です。
業者のホームページに掲載されている利用者の声や、口コミサイト、Googleマップなどに寄せられたレビューを参考にすると、信頼できる業者の見当をつけやすくなります。
7.問い合わせをスムーズに進めるための準備
カーポート施工業者に問い合わせる前に、次の準備をしておくとスムーズです。
- 必要な情報の整理
- 問い合わせ時に確認すべき内容
それぞれの内容について、以下で詳しく解説します。
7-1.必要な情報の整理
カーポート設置の相談をするためには、諸条件を整理して明らかにしておくことが重要です。主に、次の情報についてまとめておくようにしましょう。
- 駐車スペースの寸法
見積もりを依頼すれば業者が現地調査に来て測量してくれるが、問い合わせの段階である程度のサイズ感を伝えられるとベター
- 希望する対応台数
自動車何台に対応するカーポートを希望しているのか、保有している自動車のサイズなど
- 希望する機能やオプション
物干し場や自転車置き場としても利用したい、人感センサー付き自動照明を付けたいなど
- 予算
7-2.問い合わせ時に確認すべき内容
問い合わせ時や見積もり依頼時、見積書の発行後などに随時確認すべき内容は次の通りです。
- 総額の見積もり
本体価格と施工費用を合計して全部でいくらになるか、追加費用が発生することはないのかなど
- 施工開始と終了予定日
業者によっては稼働の空きが少なく、施工開始日や工事終了日が予想以上に延期される場合があるため
- アフターケアの有無
施工後のトラブルに対応してくれるか、メンテナンスなどを行ってくれるかどうかを確認
- 保証期間や保証内容、免責内容
どのような場合に保証対象になるか、商品保証(メーカー保証)もきちんと受けられるかなど
まとめ.

カーポートには自動車の保護や乗り降りのしやすさといったメリットがあります。カーポート設置の値段は、サイズや種類、素材、設置場所の環境、デザイン、オプションなどによってさまざまです。
カーポートは長く使うものなので、自宅の条件やニーズに合ったカーポートを選んで適切に設置する必要があります。複数の業者に相見積もりをとって不明点はよく確認し、信頼できる業者を選んで依頼しましょう。
筆者:外構工事職人歴20年・石川公宣