デザイン性豊かな外構工事(エクステリア工事)を行う場合、石張りやタイル張りを採用する方は多いです。
駐車場やアプローチ(敷地の入り口から玄関までの路)を石張りにするだけで、オシャレな外観を演出することができるからです。
ただ、石やタイルは職人が手作業で一つ一つ張り合わせていかなければいけないため、工事費用は高額になりがちです。そのため、予算の問題で庭全体を石張りやタイル張りにする人は少ないです。
そこで、石張りをエクステリアの一部のみに採用する方が多いです。
アクセントとして取り入れるだけでも、同じような外構よりもワンランク上の庭になります。
また、石やタイルを張り合わせた模様はたくさんあるため、和庭や洋風外構のどちらにも採用できます。
このページでは、石張りやタイル張りのデザインをいくつか紹介します。建物との相性や希望とする様式を考慮して、最適なパターンを採用しましょう。
馬踏み目地(うまふみめじ)
石やタイルの張り方の中で、最もポピュラーな方法が「馬踏み目地」です。またの名を「馬目地(うまめじ)」と言います。
馬踏み目地の由来は、馬が歩くと交互に足跡が付くのと同じように、目地が互い違いに付く張り方だからといわれています。
交互に並べていくだけなので、特殊な技術を持たなくても施工可能です。
通し目地(とおしめじ)
縦の目地が交互にくる馬目地と異なり、通し目地では「目地が垂直に通っている張り方」のことを指します。目地が一直線になっていることを「目地が通る」ということから、通し目地と名がつけられています。
また、「芋目地」と呼ばれることもあります。芋の根が規則正しく伸びる姿に似ていることから、芋目地という名称なのです。
お風呂やキッチンなど、水辺をタイル張りにする際に採用されるケースが多いです。
乱張り(らんばり)
乱張りとは、自然に存在する材料を活かし、形や大きさの不揃いな石を不規則に合わせる工法のことです。
張り合わせるパターンが決まっているわけではないため、職人の腕とセンスで仕上がりが大きく異なります。
石を一つ一つハンマーなどで形を整えて張り合わせていくため、目地の間隔を一定に保つのが難しく、バランスをが取りづらいです。そのため、乱張りの仕上がりは目地を見れば一目瞭然です。ここに、職人の技術力が顕著に表れます。
ちなみに、乱張りの石張りを行う際、目地が十字になるように張ってはいけません。見栄えが悪くなり、素人が施工した作品のようになってしまうからです。
見栄えを気にするのであれば、凄腕の職人が在籍している優良業者へ依頼する必要があります。
乱尺張り(らんじゃくばり)
乱尺張りとは、大きさの異なる材料を使用して、縦目地が不揃いになるように張り合わせる工法です。
フローリングなどで多い張り方で、飽きのこないデザインが人気です。
矢筈張り(やはずばり)
矢筈張りの「矢筈」とは、弓の弦に矢をかける場所のことを指します。
形状が「V」の字になっていることから、石やタイルをV字に張り合わせていくことを矢筈張りと呼びます。
日本では古くから愛されているデザインであり、床や家の外壁の柄を矢筈模様にする方もいるほどです。
インターロッキング(ブロックを互い違いに並べたもの)やレンガなどを矢筈張りで施工すると、デザイン性豊かなエクステリアを演出することが可能です。
四半張り(しはんばり)
四半張りとは、石やタイルなどを45度の角度を付けて張り合わせていく工法です。「四半敷き」とも呼ばれます。
単に張り合わせていくのではなく、斜めに張り合せていくことで一風変わった見栄えを実現できます。
ただ、端を中途半端にしてしまうと風格が半減してしまうため、施工する範囲の寸法(大きさ)を測って設計する必要があります。
必ず端が三角形で終わるように張り合わせていき、全体のバランスを整えながら施工します。
簡単なようですが、多少の誤差を生じるだけで収まらなくなってしまうため、腕が立つ職人でなければ施工することができません。
モザイク張り
モザイク張りとは、石やタイルを無数に敷き詰めていき、最終的に絵や模様になるように仕上げる工法のことです。熟年の技と勘が無ければ絵が歪んでしまうため、高度な技術が必要です。
また、一つ一つ考えながら張り合わせなければいけないため、このページで紹介した石張りまたはタイル張りの中で最も高額な費用がかかります。
ただし、モザイク張りを採用している家はほとんどありません。そのため、誰にでも自慢できるエクステリアです。一つの作品として考えることができるため、その存在感は他を寄せ付けません。
まとめ
冒頭で述べた通り、石やタイルは職人が手作業で一つ一つ張り合わせていかなければいけないため、工事費用は高額です。
また、出来上がったものを配置するだけではないので、職人の技術力次第で仕上がりが変わります。
「石張りやタイル張りをエクステリアの一部に採用したい」と考えるのであれば、まずは凄腕の職人が在籍している業者探しから始めることをお勧めします。
そして、石張りをさりげなく庭に取り入れ、ワンランク上の外構を造り上げてください。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣