外構工事(エクステリア工事)の種類の中でも、クローズ外構は日本の住宅に適しています。クローズ外構とは、塀やフェンスで建物を囲むタイプのエクステリアのことです。
敷地周辺に対して、外構を開くか閉じるかによって、その住宅の印象や快適性は違ってきます。特に、都心部のような住宅密集地では、敷地が隣家に取り囲まれている場合が多く、閉じるエクステリアはよくみられます。
ただ、考えてプランニングしなければ、閉塞的(外部のものを受け入れようとしないさま)な庭になってしまう可能性があります。
そこで、庭の一部を開放的にすることで、圧迫感をなくすことができます。「エクステリアをクローズド外構にしたい」と考えているのであれば、このページの内容は必読になります。
中庭を活用したクローズ外構
外部からの視線をカットしつつ、光や風が入る快適環境を作り出すためには、坪庭(屋敷内の建物や、塀などで囲まれたごく小さな庭園)や中庭などを設けることが有効です。ちなみに、建物や塀で囲まれた庭を持つ住宅のことを、「コートハウス」と呼びます。
都心部のような住宅密集地で、プライバシーを確保するにはクローズ外構が最適です。敷地の周りを囲って外部からの視線を遮りつつ、敷地内では快適に過ごすことができるからです。
例えば、新築の場合、中庭を設けると良いです。それを中心として各室を配置すれば、住宅のどの部屋からでも庭の眺望を楽しめます。さらに、プライバシーを確保しながら光や風を効率よく取り込むことができます。
また、中庭の床をウッドデッキやタイルばりにして、その高さを室内の床と同じにすることで、中庭を室内の延長として使うことも可能です。都心部だとしても、自然を感じながらバーベキューやホームパーティーを手軽に楽しむことができます。
ただ、中庭や坪庭を設けるためには、家を建てる前にプランを考えておく必要があります。できることなら、庭作りは新築工事を依頼するハウスメーカーに依頼するのではなく、エクステリア業者(外構専門業者)に頼んだ方が無難です。住宅メーカーにエクステリア工事を依頼すると、割高になるからです。
ただし、「ハウスメーカーによっては、自社で外構工事まで施工しなければいけない」という条件がある住宅販売業者もいるため、新築工事を依頼する前に確認しておきましょう。
クローズ外構を街の景観に溶け込ませる方法
コートハウスはプライバシーの高い住宅になる反面、街並みに対して孤立してしまいがちです。建物や塀で敷地内を囲ってしまうため、街の景観に馴染まないからです。
それを避けるには、エクステリアを塀や門扉で完全に閉じてしまうのではなく、不完全なロの字型やコの字型にすると良いです。そうすることで、外部へと視線の抜ける部分が閉じた中庭にも確保され、内部の閉塞感が和らぎ、外構に柔らかさが生まれます。
なお、壁で囲む場合は、植栽や板塀(いたべい:すのこのように、板を並べて作った塀)や格子などを活用することで、圧迫感をなくすことができます。ところどころに抜けのある閉じ方を採用すると、移住者のプライバシーを確保しつつ、外にも開くエクステリアになります。
また、街の景観にあう植栽を植えることでも、町にやさしく繋がる住まいを演出することができます。
外部と内部を完全に遮断してしまうのではなく、光や風、風景を通すものの、見る位置によっては外の視線を通さない外構プランを考えましょう。
もし、あなたの家の庭にクローズ外構を検討しているのであれば、プライバシーの高いエクステリアでありながらも、開放的な印象を与える庭作りを目指してください。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣