外構工事は、専門業者に依頼すると砂利を敷くだけの小規模な工事でも数万円以上の費用が掛かってしまいます。
この費用の中には、材料費はもちろんのこと、職人の人件費も含まれています。
そのため、全てを外構専門業者に任せてしまうのではなく、あなた自身で行える作業は率先して行うと良いです。
そのこともあり、近年ではDIYを行う家庭が多くなってきました。
本来であれば高額な外構工事を、材料費のみで行うことができるため、最小の費用で見栄えの良い庭を造り出すことができるからです。
例えば、ブロックで作られた門扉や塀は時間の経過と共に汚れたり風化したりします。
そこで、DIYでブロックにモルタル(セメントと砂、水を混ぜ合わせたもの)を塗ると良いです。
これがコーティングになり、耐久性を高めることができます。
また、モルタルは柄や色をつけることができるため、建物の印象を大きく変えることができます。
ただ、「素人がモルタルを塗るのは難しいのでは?」と考える人は多いです。
しかし、ブロック塀は平面なため、施工方法さえ分かっていれば比較的簡単にDIY可能です。
目次
そもそもモルタルとは?
モルタルの塗り方を知る前に、そもそもモルタルとは何なのかという基礎知識を身に付けておきましょう。
モルタルとは、セメントと砂、そして水を混ぜて作るペーストのような建材のことです。
モルタルは厚くするとひび割れなどのリスクが高く、主に壁の仕上げや接着用の材料として使われます。
モルタルの色はグレーが一般的ですが、色を付けることも可能です。
モルタルに色を付ける場合、通常のセメントではなく白いセメントを用い、砂を混ぜるときに色粉を投入します。
このように、好きな色に変えてデザインの違いこのように、好きな色に変えてデザインの違いを楽しめるのもモルタルの醍醐味です。
ただし、色粉は水を加える前に混ぜるため、実際にどのような発色になるのか投入する時点では判断できません。
思い通りの色にアレンジできるようになるには、それなりの経験が必要となるでしょう。
モルタル自体の色付けが難しい場合、モルタルを塗って乾かした後で、上から塗料を塗る方法もあります。
ちなみに、モルタルに砂利を加えたものがコンクリートです。
ブロック塀にモルタルを塗るメリット!
ブロック塀は擁壁(ようへき:コンクリートの壁)に比べて施工費用が安価なため、目隠しや塀として多くの場所で採用されています。
ただ、従来のコンクリートブロックは柄や色が統一されているため、どこか味気ないです。
特に、古くなったブロック塀は黒ずんでしまうため、時間の経過と共に見栄えを失ってしまいます。
だからといって、取り壊して新しく化粧ブロック(色や柄のついたCB)のような洒落た材料で作り直すには多額な費用が必要になってきます。
そこで、ブロックをモルタルで塗り直すことで、見栄えはもちろんのこと、耐久性も向上するため一石二鳥です。
低予算で庭の印象を大きく変えたい場合はお勧めです!
また、モルタルを塗ることで割れやヒビなども補修することができ、耐水性も向上します。
もし、「塗料でブロック塀を塗りたい」と考えている場合、コンクリートブロックに直接塗装してしまうと、どうしても目地が目立ってしまいます。
しかし、下地にモルタルを塗ることで表面が平坦になるため、塗り替えを行った際の仕上がりが良くなります。
モルタルを塗るときに必要な道具
モルタル塗りに必要な道具は、「セメント」と「コテ(モルタルを撫でる道具)」、「コテ板(練り上げたモルタルを持ち運ぶ道具)」です。
これらの材料は、ホームセンターやインターネットで入手することができます。
もし、どれを使用すれば良いか分からない場合、店員に相談すれば必要な材料を揃えてくれます。
上で挙げた道具以外に、砂やバケツ、ひしゃく、スコップ、計量カップといった道具も必要になります。
ホームセンターには多彩な種類の砂がそろっていますが、モルタルには川砂が向いているでしょう。バケツはプラスチックのもので問題ありませんが、高所で作業するなら丈夫な左官バケツがおすすめです。
バケツからモルタルをすくう道具として、ひしゃくがあると便利です。
ただし、なるべく出費を抑えたい人はおたまなどで代用してもよいでしょう。スコップはモルタルを混ぜる目的で使います。
角スコップがあると便利ですが、ガーデニングなどで使っているものがあればそれでも構いません。
モルタルを大量に作る場合は、先端が丸まったシャベルや練り鍬を使うことをおすすめします。
計量カップは砂やセメントの分量を量るときに使用します。
その他、ゴム手袋や安全ゴーグルを用意することも大切です。
モルタルはアルカリ性なので、素手で触るとやけどをする恐れがあります。モルタルを塗るときは、なるべく分厚いゴム手袋を用意するとよいでしょう。
ちなみに、セメントには混合セメントやエコセメントなどの種類がありますが、最も一般的なポルトランドセメントを使用するのが無難です。
モルタルを作るときのポイント!
必要な道具をそろえたら、実際にモルタルを作っていきます。モルタルは時間が経つと固まってしまうので、すばやく作業できるように作るときのポイントを前もって押さえておきましょう。
基本的に、袋に記載されている配合比率にしたがってセメントと砂と水を混ぜることになります。
最初はセメントと砂を容器に入れ、しっかりと混ぜ合わせてください。
次に、混ぜ合わせたセメントと砂の真ん中をくぼませて水を加えていきます。加える水の量はメーカーが推奨する分量に従いますが、天候や気温などによって必要な量が変わってきます。
やや硬めのペーストになるように調整しながら、少しずつ水を加えていきましょう。
モルタルが水っぽくなってしまうと、あらためてセメントと砂を加えて調整しなくてはなりません。追加する分量が難しいので、水を入れすぎないように気を付けることが大切で
す。
ちょうどよい硬さのモルタルができあがったら、なるべく時間を置かずに作業に取りかかりましょう。
ブロック塀にモルタルを塗る方法
施工方法はまず、モルタルを塗る予定のブロック表面を水洗いします。
苔や砂などのゴミが付着している場合、モルタルの定着が悪くなるからです。
また、濡れている間にモルタルを塗り込むことで、接着力が強くなります。
このとき、汚れてはいけない場所は養生(ようじょう:ビニールや新聞紙、マスキングテープなどで覆うこと)しておくようにしましょう。
次に、練ったモルタルを塗り上げていきます。
塗る順番は、右利きの方であれば左上から始めて左から右へ、左利きの方であれば右上から開始して右から左へ施工します。
このとき、下から上へモルタルを塗っていくときれいに仕上がります。
また、コテの進む方向を少し浮かし気味にして作業を進めれば、見栄え良く表面をならすことができます。
高さがある場合、一度で塗り上げようとすると仕上がりが悪くなってしまうため、上下半分ずつ施工すると良いです。
このとき、下を塗装する際の順番は、上を塗ったときと同じように進んでいくようにしましょう。
全体を塗り終えたら、「周囲 → 全体 → 周囲」の手順で撫でていきます。
そうすることで、コテの跡が残りづらくなり、見栄え良く仕上がります。
注意点としては、一点を集中して撫でるのではなく、上下左右に大きくコテを動かすようにしましょう。
硬化する前のモルタルは柔らかいため、コテの後が残ってしまうからです。
このとき、コテの角度は初めにモルタルを塗るときのように浮かさず、全体の面を使って仕上げていきます。
あとは、コテの跡がなくなるまで撫でれば完成です。
ただし、モルタルが完全に乾燥するには3週間前後の時間が必要です。
そのため、施工直後は触ったり人が近づいたりしないように、バリケードを置くなどして対処しておきましょう。
また、モルタルを塗った後に塗装を考えている人も同じように、乾くまで待ってから塗料を塗ると良いです。
ただ、塀や門扉は敷地の入り口に位置する場所「建物の顔」であるため、「見栄えの良い外観にしたい」と考えているのであれば、外構専門業者に施工してもらうことをお勧めします。
素人が行うDIYでは、プロの品質には遠く及ばないからです。
また、ブロック塀は法規を守った上で正しい施工されたで作られたもので耐用年数は30年程度といわれています。
そのため、ブロック塀の状態に応じてモルタルを塗るかどうかを判断してください。
自分でモルタルを塗るときの注意点
自分でモルタルを塗る場合は、いくつかの注意点を肝に銘じておきましょう。
まず、ゴム手袋やゴーグルをつけて安全対策をするのが必須です。
先述のとおりモルタルはアルカリ性で、直接皮膚に付着したり、目に入ったりすると危険です。作業を始める前に、身の安全を守るための防具をしっかりと装着してください。
小さな子供やペットがいる場合は作業するところへ近づかせないように気を付けましょう。
また、セメントと砂を混ぜる際に細かい粉末を吸い込む恐れがあるため、マスクを装着することも忘れないようにしてください。
次に、事前に作業工程をよく確認しておくことも大切です。
モルタルの塗装は一度作業を始めたら、途中で止めるのが困難です。
作業が終わった後も長い期間にわたって乾燥させておく必要があるため、スケジュールや天候に配慮しなくてはなりません。
最後に、道具についたモルタルは固まる前に落としておきましょう。
なお、モルタルを流した水はアルカリ性で排水管を傷める恐れがあるため、道具は少量の水で洗浄してください。
残ったモルタルで簡単に作れる小物
作ったモルタルが余ってしまったとき、そのまま捨てるのはもったいありません。
その日のうちに使い切る必要があるため、小物などを作って無駄なく楽しむとよいでしょう。
残ったモルタルで簡単に作れる小物として、まずはモルタル鉢が挙げられます。
モルタル鉢は、牛乳パックの型にモルタルを流し込み、その内側に紙コップなどを入れておくだけで簡単に作れます。
そのままでも無骨でおしゃれですが、乾いてからペイントして好きなように仕上げるのもよいでしょう。
その他、型に流し込んでペーパーウェイトを作るのもおすすめです。
硬めのモルタルであれば、直接手で成型して好きなデザインにすることもできるでしょう。なお、手を使うときは忘れずに手袋をつけてください。
まとめ
表面をきれいにしたところで、ブロック塀の強度が無くなっている場合、地震や外部からの力(寄り掛かったり風が吹いたりすること)が加わったときに倒壊してしまう恐れがあるからです。
DIYを行う際は、いきなり大きな工事から始めずに、小さな作業から挑戦するようにしましょう。
なお、意外に思われるかもしれませんが、DIYよりも職人に依頼したほうが安いケースも多々あります。
材料を安く仕入れられるのはもちろんのこと、失敗がなく作業が早いからです。
当然仕上がりも美しいため、DIYで始める前に一度無料見積りを依頼しておおよその金額を把握してから取り掛かることをお勧め致します。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣