外構工事(エクステリア工事)では、ブロックを用いた構造物が多く施工されます。ブロックは値段が安い上に、見栄えが良いからです。
例えば、花壇の土留め(土が崩れないようにするもの)ブロック塀など、さまざまな場面で活用されます。
そこで、素人の方は「自分でも簡単に積み上げることができるのでは?」と考えます。
しかし、ブロックは積み方を間違えると、倒壊してしまう恐れがあります。花壇のように小規模で高さがない構造物であれば素人でも施工する人は可能です。ただ、ブロック塀のように高さのある工事になると、専門知識と熟年の技がなければ大変危険です。
ブロック塀は本来、建築基準法で定められた施工方法で造り上げなければいけません。
しかし、民間工事(一般の人から依頼される工事)の場合、特別な検査が行われないため、その基準を満たしていない危険なブロック塀はたくさん存在しています。
また、素人がブロックを積み上げる場合、正しい積み方を勉強する必要があります。適当に積んでしまうと、崩れたり倒れたりして人に怪我を負わせてしまう危険性があるからです。最悪の場合、地震や台風などの自然災害が発生した際に、倒壊して尊い命を奪ってしまう可能性も十分に考えられます。
そのため、ブロックを3段以上積む場合、素人の方は辞めておくのが無難です。もしくは、外構専門業者(エクステリア専門業者)に依頼することをお勧めします。
特に、「建築コンクリートブロック工事士」の資格を所有している職人さんであれば、安心して工事を依頼できます。
建築コンクリートブロック工事士とは
建築コンクリートブロック工事士とは、ブロック工事の施工に関して、 材料や構造、施工、原価管理を含めた専門的知識と技術を身につけたものに与えられる民間資格です。この資格を取得することで、コンクリートブロックの専門技術者として認められます。安全な設計監理をするのはもちろんのこと、施工監理もできるようになります。
この資格は、「公益社団法人:日本エクステリア建設業協会(JPEX)」が定めている民間資格です。
受験資格は、年齢が25歳以上に達していれば他に必要な要件はありません。
また、建築コンクリートブロック工事士を取得した場合、1級エクステリアプランナーやブロック塀診断士の受験資格を満たすことができます。これから外構工事関係の免許を取ろうとしている方であれば、この資格から受験することをお勧めします。
なお、技術力を維持し続けるために、建築コンクリートブロック工事士は 5年ごとの更新登録が義務付けられています。
そのため、この資格を有している職人であれば、ブロック塀の構造を熟知しているため、安心して施工を依頼できます。
ただ、建築コンクリートブロック工事士の免許を取得していない方でも、エクステリア工事でブロック塀を造ることができます。そのため、この資格を持っている方は圧倒的に少ないです。
しかしながら、建築コンクリートブロック工事士の称号がない職人であっても、正しい工法でブロック塀を施工することは可能です。ブロック積みには基本的なルールがあり、それに従って造っているからです。
つまり、建築コンクリートブロック工事士の権威は、「お客様に対して、信頼性が高まる」こと以外はありません。
そのため、有資格者ばかりにこだわるのは良いことではありません。実績のある業者であれば、安心して工事を依頼できます。
そうはいっても、建築コンクリートブロック工事士を所有しているに越したことはありません。無資格の会社と比べられたとき、優位に立つことができるからです。特に難しい資格ではないため、エクステリア業者は仕事の合間をみて受験しておくことをお勧めします。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣