ブロック塀が古くなってきたタイミングで、フェンスへのリフォームを検討する人が増えています。
リフォームを機に家全体の雰囲気をまとめたいと考え、イメージチェンジをするケースもあるようです。
そこで、本記事では「ブロック塀とフェンスはどちらが良いのか」について、ブロック塀の改修方法、ブロック塀とフェンスそれぞれのメリットを含めた特徴などについて解説します。
目次
1.ブロック塀は定期的な点検が必要!
古くなったブロック塀は崩れたり、ひび割れたりと危険です。そのため、国土交通省では定期的なブロック塀の点検を推奨しており、その際にチェックすべきポイントも示されています。
たとえば、塀の高さは2.2m以下、厚さは10cm以上であることが望ましく、塀の高さが1.2m以上ある場合は長さ3.4m毎に控え壁を設置しなければなりません。
控え壁は控柱とも呼ばれており、強風や地震で塀が倒れないように支えるものです。また、塀に傾きやひび割れがないか、コンクリートの基礎があるかどうかもチェックポイントになっています。
塀は1.2m以上の高さがある場合、地面に埋められている基礎の根入れ部分が20~30cm以上であるのがルールです。
2.ブロック塀を改修する方法
こちらでは、ブロック塀を改修する3つの方法について紹介します。
2-1.新たにブロック塀を立て直す
古くなったブロック塀を解体し、丸ごと新たなブロック塀に立て直すというのもひとつの方法です。こちらの方法の場合、部分的な改修より出来上がりまでの時間がかかりますが、立て直した後は耐久性が向上します。
この場合も、基礎工事は行わなければなりません。そのため、ブロック塀の解体費、撤去費用、基礎工事費用、新しいブロック塀の工事費用などが必要です。元々あるブロック塀を解体し、廃棄処分をすることは「既存構造物撤去工事」といいます。解体後に基礎を作るための土を掘ったり、埋めたりする掘削工事を行い、続いて基礎工事、ブロック塀を立てれば完了です。
ブロック塀はシンプルなコンクリート製が一般的ですが、家の雰囲気に合わせて細かな装飾を施したり、塗装をしたりして個性を出している人もいます。シンプルから凝ったものまでさまざまなデザインや色のブロック塀に仕上げることができるため、専門業者に相談してみましょう。
2-2.ブロック塀の上にフェンスを立てる
既存のブロック塀が低く、高さを出して目隠しにしたい場合は、ブロック塀の上にフェンスを立てるという方法もあります。設置するフェンスの種類は樹脂やメッシュ、アルミなどさまざまな素材から選択可能です。既存のブロック塀の上に垂直に穴を開け、そこにフェンスの支柱を設置する「コア抜き」、ブロック金物を使用するなどの方法があり、状況に合わせていずれかを選択します。また、高さが出る分、強風の影響を受けやすくなるのでその点も考慮したうえで立てる必要があります。
ただ、玄関まわりに関してはブロック塀の上にフェンスを立てると圧迫感が一気に出てしまう可能性があります。そこで、玄関まわりのみ塀やフェンスで囲わず、門柱や門扉で目隠しをするといった方法がとられるケースが多いです。ブロック塀あるいは塀の上に立てるフェンスとデザインが合っている門柱や門扉であればイメージバランスをとることもできるでしょう。
2-3.ブロック塀を撤去してフェンスを立てる
ブロック塀が古くなり、安全性を確保できない場合などには撤去し、新しくフェンスを立てるのも良いでしょう。倒壊する危険性があるまま放置していると、通行人や近隣住人、家族などが被害に遭わないとはかぎりません。そういった事態を避けるためにも、思い切ってブロック塀を撤去し、フェンスに切り替えるのは有効な安全策のひとつです。
安全面以外にも、フェンスを立てるとさまざまなメリットを得ることが期待できます。たとえば、目隠しフェンスは人の目線を遮り、空間を仕切ることが可能です。素材・デザインが豊富にあるため、家の雰囲気をがらりと変えたいときにブロック塀からフェンスに変える人もいます。低コストでも強度があるフェンスを選べば長期間保つことができるでしょう。この場合、既存ブロック塀の解体・撤去費用、新しいフェンスの工事費用が必要です。風通しが良くなり、ブロック塀のときより敷地内が明るくなる点も良いところといえます。
3.ブロック塀の上にフェンスを立てるメリットと注意点
既存のブロック塀を残したうえで目隠しが欲しい場合は、その上にフェンスを立てる方法がおすすめです。
こちらでは、ブロック塀の上にフェンスを立てるメリットや注意すべき点について解説します。
3-1.メリット
ブロック塀の上にフェンスを立てることで高さが出て目隠し効果が高まり、周囲の目線が気にならなくなります。プライバシーを重要視したい場合には、特に良い方法だといえるでしょう。警視庁が行った「平成30年犯罪情勢」によると、侵入窃盗の約4割が一戸建て住宅で起こっていることがわかっています。
さらに、その5割は鍵を閉め忘れた窓やドアからの侵入です。多くの窃盗犯が外から施錠されているか、人の気配があるかを確認したうえで侵入している傾向にあります。ブロック塀の上にフェンスを立てれば目隠し効果によって室内の状況が外からは見えにくくなるため、防犯性能が向上することが期待できるでしょう。
しかも、フェンスはカラーやデザインが豊富で、家の周りを囲むことでおしゃれ度もアップするという点も良いところです。住み心地が良い家だったとしても、玄関から出た途端に通行人や隣近所の目が気になってしまってはストレスになります。フェンスであれば、ブロック塀で高さを出すより圧迫・威圧を感じることもありません。
3-2.注意点
建築基準法によってフェンスの高さは1.2m以下でなければなりません。「ブロック塀とフェンスを合わせても高さは2.2m以下」というルールになっています。また、目隠し効果を意識するあまりにフェンスを高くしすぎてしまう場合もありますが、敷地内がまったくわからない状態になると周囲から不審に思われてしまうことがあるので避けましょう。窓からフェンスまでの距離が十分あったり、小さな窓や低い窓だったりする状況などであれば、低めのフェンスを選んでもプライバシーを守ることは可能です。
さらに、ブロック塀の構造についてもチェックするのがおすすめです。ブロックの中が空洞か充填かによって強度が違います。鉄筋が埋め込まれ、コンクリートやモルタルなどが充填されたブロック塀であれば強度が高いです。
ブロック塀とフェンスで高さが出るということは風の影響を受けやすく、台風時の強風などで倒れてしまう可能性も考えておく必要があります。風のあおりを受けにくいデザインのフェンスを選ぶことも重要です。
4.ブロック塀を撤去してフェンスを立てるメリット
古いブロック塀はコケが発生していたり、ひび割れがあったりと見た目が良いとは言えない状態です。そのため、ブロック塀を解体することで見た目が改善される可能性があります。フェンスには洋風、和風どちらのタイプの家にも活用できるデザインやカラーがあるので、家全体のイメージを変えることも可能です。
ブロック塀は地震による倒壊防止対策として、自治体から補助金が出る可能性があるので、あらかじめ確認をしておきましょう。補助金の対象になるのは、道路に面していたり、地震時に倒壊する危険性があったりするブロック塀を除去した場合です。
ブロック塀の撤去後に新しくフェンスなどを新設する費用も対象になっているため、自身の出費を抑えることができます。ブロック塀の撤去に対する補助金の条件や助成される金額については自治体に詳細を問い合わせるほうが安心です。
5.結局ブロック塀とフェンスはどっちがいいの?
ブロック塀とフェンスのどちらにするか迷ったときは、それぞれの特徴に注目してみましょう。
5-1.ブロック塀の特徴
ブロック塀は長年放置したままにしておくと倒壊する危険があるため、定期的にメンテナンスをする必要があります。しかも、塀が倒壊して事故が起こった場合には所有者の責任になるケースが多いです。ただ、ブロック塀の耐久性は約30年といわれており、鉄筋を入れた施工をすることでより強度が増します。
もし、定期的にメンテナンスできる環境であればブロック塀にするのも良いでしょう。また、構造的に隙間がなく、外からの視線を完全に遮断できることからプライバシーという意味では効果的です。
しかし、隙間がないので人目が気にならないというメリットの反面、風や光を通しにくく、暗い印象になりやすい点が気になるという声もあります。ブロック塀は部分的に使用したり、家の周り全体を囲む場合も高さを低くしたりと上手に取り入れるのが望ましいといえるでしょう。
ほかにも、塗装をして明るく見えるイメージ作りをするという方法も選択肢のひとつです。通行人や周辺住民から見えてしまう塀の外側はシンプルに、家族が見る内側にイラストや模様を描くといった遊びを取り入れる人もいます。
5-2.フェンスの特徴
フェンスはブロック塀と比較すると軽いため、倒壊しても大きな被害が起こりにくいです。災害時にも救助等を行うなかで妨げになりにくいので、万が一のときのことを考慮してフェンスを選ぶ人もいます。
また、隙間があるので風通しが良く、明るい印象を与えることが可能です。さらに、フェンスはデザインが豊富にあり、板と板の間隔や高さなども好みのものを選びやすいという特徴があります。カラーひとつとっても印象はまったく異なるものになる可能性があるため、家とのバランスを考慮して選ぶのもおすすめです。
一方、外からの視線の遮断については板と板との隙間があるので、ブロック塀ほど遮断することができません。隙間が狭いタイプを選ぶこともできますが、そうなると風通しの良さや明るい印象になるといったフェンスならではのメリットを活かすことが難しくなってしまいます。
そのため、プライバシーをより重要視するか、風通しを優先するかなど条件面で譲歩しなければならない場面が出てくる可能性もあるでしょう。費用についても、デザインによっては繊細な作りになっていることもあるため、ブロック塀より施工費用が高くなるケースもあります。
まとめ.
ブロック塀を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスや補修が欠かせません。ただ、プライバシーを守るという意味では効果が高く、鉄筋を入れた施工をすれば強度を高めることもできます。
フェンスと組み合わせれば風通しや明るさなどのイメージチェンジを図ることも可能です。正しい知識と豊富な経験があり、お客様の立場になって取り組んでくれる施工業者に依頼できるように、本記事で紹介したことを参考にしてみてください。
筆者:外構工事職人歴20年・石川公宣