テラスや庭、ベランダなどにウッドデッキの設置を考えている場合、樹脂ウッドデッキと天然木デッキのどちらを選ぶべきか、迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では木材樹脂デッキと天然木デッキの特徴について詳しく紹介します。
その上で、木材樹脂デッキと天然木デッキの比較やそれぞれのメリットやデメリット、選び方について解説します。
また、設置業者の選び方についても紹介するので、ご自宅にウッドデッキ設置をお考えの方はぜひ参考にして下さい。
目次
1.樹脂ウッドデッキとは?

まず、 樹脂ウッドデッキとはどのようなものなのか(材質や用途、人気の理由など)など、基本情報を押さえておきましょう。ここでは次の2点について説明します。
- 樹脂ウッドデッキの基本情報
- 樹脂ウッドデッキと天然木デッキの違い
1-1.樹脂ウッドデッキの基本情報
樹脂ウッドデッキは、人工樹脂に木粉やプラスチックなどを混ぜ合わせてつくる人口木をパネル形に加工して組み合わせたものです。
樹脂ウッドデッキに使われる人工樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、硬質低発泡ウレタンなどさまざまな種類があり、人工樹脂の種類によって紫外線や熱などへの耐性に差が出ます。
また、ペットボトルキャップなどリサイクル素材が使われることもあります。
天然木デッキよりもメンテナンスがしやすく寿命が長い点が樹脂ウッドデッキの人気の理由です。次項では樹脂ウッドデッキと天然木デッキの違いについて簡単に触れます。
1-2.樹脂ウッドデッキと天然木デッキの違い
樹脂ウッドデッキと天然木デッキの大きな違いは、まず、見た目です。人工物である樹脂ウッドデッキは、色や模様、質感などが均一で、そこが天然木デッキと異なります。
天然木デッキが持つ風合いに近づけるために木目プリントを施す場合もありますが、天然木と比べると単調な印象になりがちです。
一方、樹脂ウッドデッキは天然木デッキよりも耐久性が高く虫害や色あせなどに強い、メンテナンスが楽、というメリットがあります。
樹脂ウッドデッキと天然木デッキの具体的な比較は、後ほどさらに詳しく見ていくことにしましょう。
2.樹脂ウッドデッキのメリット

樹脂ウッドデッキにはさまざまなメリットがありますが、主なメリットとしてよく知られているものは次の4つです。
- メンテナンスのしやすさ
- 寿命
- デザインの多様性
- 製品によっては置くだけで設置可能
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
2-1.メンテナンスのしやすさ
樹脂ウッドデッキは天然木デッキよりも耐候性が高く、紫外線や雨などによる色あせやカビ、腐食、変形などが生じにくいという特徴があります。
そのため、定期的な塗装や防腐処理などのメンテナンスをしなくても、きれいな状態を保つことが可能です。
樹脂の種類によっては耐熱性が高いものもあります。また、汚れにくく、掃除しやすい点も樹脂ウッドデッキのメリットです。
2-2.寿命
樹脂ウッドデッキは上述の通り、ぬれても腐りにくく、シロアリなどの虫害にも強いという特徴があります。また、紫外線や雨にも強く色あせしにくいため、天然木デッキよりも長く使用することが可能です。
ウッドデッキの寿命は材質や使用環境によりますが、樹脂ウッドデッキの屋外で使用した場合の一般的な耐用年数は約10~15年と言われています。
一方、杉や赤松、ホワイトウッドなど柔らかい木材でつくられたウッドデッキの耐用年数は約5年です。ただし、高密度で硬い「ハードウッド」を使ったウッドデッキは耐久性が高く、20~50年使えるとされています。
2-3.デザインの多様性
樹脂ウッドデッキは人工樹脂に着色できるため、天然木デッキよりもカラーバリエーションが豊富な点がメリットです。天然木の色には限りがありますが、その点、人工樹脂であれば好きな色を選ぶことができます。
また、形の加工もしやすく組み合わせやすいため、テラスや庭だけでなく、ベランダやフェンス、手すり、階段などにも設置できるのが樹脂ウッドデッキの強みです。スペースに限りのあるマンションのベランダなどにも設置できます。
2-4.製品によっては置くだけ設置可能
樹脂ウッドデッキの中には、専門的な工事を必要とせず、置くだけで手軽に設置できる製品もあります。設置コストを抑えてDIYしたい場合は、そのような製品を利用するのも一つの方法です。
DIYで樹脂ウッドデッキを設置する際は、設置場所を整地して、パネルを組み立てながら置いていきます。設置する場所によっては防湿シートを敷いてから設置すると安心です。
ただし、置くだけで設置できる樹脂ウッドデッキは重量に対する強度が足りない場合があり、長期間、重いものを上に置いていると凹みやゆがみが生じる可能性があります。対策として、ウッドデッキの下に補強材を入れると良いでしょう。
3.樹脂ウッドデッキのデメリット
樹脂ウッドデッキにはデメリットも存在するため、導入する前によく検討しましょう。主なデメリットは次の4つです。
- 費用
- 見た目と質感
- 熱や滑りやすさ
- 経年劣化とメンテナンス
それぞれのデメリットについて以下で詳しく解説します。
3-1.費用
樹脂ウッドデッキは天然木デッキと比較して耐久性が高い一方で、費用も天然木デッキより高額になるケースが一般的です。また、置くだけで設置できるタイプを除き、ウッドデッキの設置は専門的な技術を持つ業者に依頼する必要があるため、その費用も別途かかります。
加えて、メンテナンスが手軽なことが樹脂ウッドデッキのメリットですが、それでも最低限のメンテナンスやその費用も必要です。
目安として、年に一度は表面の状態を確認し、汚れやきずがある場合はクリーニングや修繕をしなければなりません。
ウッドデッキを設置する際は初期費用だけでなく、メンテナンス費用も想定して長期的なコストパフォーマンスを考える必要があります。
3-2.見た目と質感
樹脂ウッドデッキは人工樹脂に木紛やプラスチックなどを混ぜ、色付けや木目のプリントなどを施してつくられるため、天然木ウッドデッキとは見た目と質感が異なります。
人工物を天然ものと比較すると、どうしても自然な風合いに乏しく、画一的な印象になりがちです。また、樹脂ウッドデッキでは天然木デッキのような木の香りも感じられません。
さらに、天然木デッキのような経年変化を楽しめないことも樹脂ウッドデッキのデメリットです。かと言って全く色が変化しないというわけでもなく、樹脂ウッドデッキも長く使ううちに色がくすんできたり変色が生じたりするリスクがあります。
3-3.熱や滑りやすさ
樹脂ウッドデッキの素材によっては日光などにより表面が熱くなりやすい点にも注意が必要です。
特に夏場などは素足で乗れないほど熱くなるおそれがあり、その場合は履物を着用して使用するか、ウッドデッキへの直射日光を遮るシェードや屋根を設置したりする必要があります。
また、樹脂ウッドデッキは表面が滑らかなだけに、雨などでぬれると滑りやすくなる点もデメリットです。そのため、樹脂ウッドデッキは小さな子どもが遊ぶ場所やスポーツをする場所、ドッグランなどへの設置に向かないと言われています。
3-4.経年劣化とメンテナンス
樹脂ウッドデッキは天然木デッキよりも劣化しにくいと言われていますが、それでも紫外線ダメージなどによる劣化は起こります。
紫外線を浴びやすい場所で樹脂ウッドデッキを長く使用するうちにプラスチックが劣化していくため、色あせやひび割れ、パネルの反りや曲がりなどが起こる場合もあるのです。
また、素材に木紛を含む樹脂ウッドデッキの場合、カビが生えるおそれもあります。樹脂ウッドデッキにおいてもカビの放置は寿命を短くする要因となるため、天然木デッキほどではないとはいえ、やはり定期的なメンテナンスが必要です。
4.樹脂ウッドデッキと天然木デッキの徹底比較

ここでは、樹脂ウッドデッキと天然木デッキの特徴や違いについて、具体的に比較してみましょう。次の3点について以下で詳しく解説します。
- 耐久性とメンテナンス性
- 見た目・デザイン性
- 費用
4-1.耐久性とメンテナンス性
天然木デッキよりも耐久性が高くメンテナンスの負担が少ないことが樹脂ウッドデッキの特徴です。
樹脂ウッドデッキの寿命は使い方や設置環境にもよりますが、一般的には10~15年程度と言われています。ただし、シェードや屋根などで直射日光から保護したり、定期的にメンテナンスを行ったりすることで、20年以上使える場合もあります。一方、天然木デッキの寿命は一般的に5~15年です。
メンテナンスのしやすさについては、樹脂ウッドデッキが優れています。樹脂ウッドデッキのメンテナンスは年に一度程度、状態を確認し、必要に応じて修繕するだけです。
一方、天然木デッキの場合は1~2年ごとに保護塗装の塗り直しが必要な他、防腐処理や防虫処理もする必要があります。
4-2.見た目・デザイン性
樹脂ウッドデッキが経年劣化しにくい一方で、天然木デッキは長く使用するうちに自然な風合いや色の変化などの経年変化が見られることが楽しみの1つです。
また、樹脂ウッドデッキは自然の木材にはない色も選べるなどカラーバリエーションが豊富ですが、天然木デッキで選べる色は限定されます。
さらに、樹脂ウッドデッキは予想通りの均一な仕上がりになることに対し、天然木デッキは自然素材ならではの色味や木目のばらつきがあるため「予想とは違う仕上がりになった」という可能性もあります。
加えて、樹脂ウッドデッキは加工性が高いため、設置場所に合わせて自在に整形したり曲線にしたりすることも可能です。
4-3.費用
樹脂ウッドデッキ材の価格相場は、1本につき約1,500円からです。それに対し、天然木デッキ材の価格相場は、1本につき約800円からとなっています。
そのため、樹脂ウッドデッキの方が初期費用は高くなるケースが多いかもしれません。ただし、樹脂ウッドデッキは天然木デッキよりもメンテナンス費用がかからないため、長期的なランニングコストを抑えることができます。
5.樹脂ウッドデッキのデメリット対策

樹脂ウッドデッキのデメリットについては、主に次の対策をすることができます。
- 正しい手入れ
- 購入時の品質チェック
それぞれの対策について、以下で詳しく見ていきましょう。また、樹脂ウッドデッキのおすすめのメーカーも紹介します。
5-1.正しい手入れ
きれいな状態で長く使用するためには正しい手入れが大切です。
汚れが目に付いたら拭き掃除や水洗いをし、汚れの種類によっては塩素系漂白剤や木材洗浄剤を使います。きずや焦げ跡が生じた場合はサンドペーパーで表面を薄く削れば落とせます。
色あせを防ぐためにはシェードを設けるなど、ウッドデッキに直射日光を当てない工夫も有効です。色あせしてしまった場合は専用の塗料で再塗装することもできます。
また、年に一度を目安に、クリーニングやメンテナンスをすることで、樹脂ウッドデッキの長寿命につながります。UVカット効果や防汚効果、きずや色あせを防ぐ効果のあるコーティング剤もあるため、活用すると良いでしょう。
5-2.購入時の品質チェック
樹脂ウッドデッキを購入する際は、信頼できるメーカーや製品を選ぶことが大切です。自分で製品を選んで購入するなら、インターネット検索で品質に関する口コミを調べたり、購入店のスタッフに相談したりするようにしましょう。
また、製品の保証期間や保証内容を確認することも大切です。例えば、LIXILの「人工木デッキ商品」においては、施行完了日から2年(施行を伴わない場合は購入日から1年)が保証期間で、保証期間内に適正使用における不具合が発生した場合は無料修理対応となっています。
5-2-1.樹脂ウッドデッキにおすすめのメーカー
YKKAP、三協アルミ、LIXILの樹脂ウッドデッキの特徴を紹介します。寿命とメンテナンス性は3社とも優れているため、カラーバリエーションやサイズ展開、価格などがチェックポイントです。
YKKAPはグレー系、ブラウン系で5色、サイズ展開は6種類で135,000円(1.5間×3尺)~となっています。ささくれが発生しにくい安全な加工法で、他の2メーカーより価格も安めです。
三協アルミの「ラステラ」はホワイトマーブルなどモダンでシックなカラーバリエーションとサイズ展開が豊富です。価格は248,000円(1.5間×4尺)~です。
LIXILは天然木の風合いに近い質感の樹脂ウッドデッキが特徴で、小さいサイズから大きいサイズまでサイズ展開しています。価格は120,000円(1.0間×5尺)です。
6.ウッドデッキ設置前の確認ポイント
ウッドデッキを設置する前に確認しておきたい主なポイントは、次の3つです。
- 設置場所と目的を明確にする
- 複数業者からの見積りを比較する
- 実績が豊富な設置業者を選ぶ
それぞれについて以下で詳しく解説します。
6-1.設置場所と目的を明確にする
ウッドデッキの耐久性やメンテナンスの必要性、使いやすさなどは設置場所や使い方によって変わってきます。
設置場所を決めたら、次のような点を考慮し、自宅に合ったウッドデッキを選びましょう
- 直射日光は当たりやすいか(遮光対策ができるか)
- 防腐や防虫、塗り直しなどのメンテナンスを続けられるか
- 鉢植えを置くなどぬれやすい使い方をするか
- 夏に熱くなったりぬれると滑りやすくなったりしても使用上問題ないか
6-2.複数業者からの見積もりを比較する
ウッドデッキの設置には、設置場所の整地などの準備から基礎工事、デッキ材の取り付けなど、さまざまな作業が発生します。
施工費は作業内容や設置業者によって異なるため、複数の業者に具体的な作業内容や費用の内訳を明記した見積もりを依頼した上で、内容を比較することが大切です。
また、後から追加費用を請求されて困ることがないように、不明点は見積もりの段階でしっかりと確認しておきましょう。
6-3.実績が豊富な設置業者を選ぶ
エクステリア施工業者にはそれぞれ得意とする分野があるため、ウッドデッキの設置に関する専門的な知識と経験を豊富な業者を選んで依頼することが大切です。
見積もりを取る前に業者のホームページなどで実績を確認した上で、ウッドデッキ設置の実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
7.まとめ
樹脂ウッドデッキは耐久性が高く、メンテナンスにそれほど手間と費用がかからない点が天然木デッキよりも優れています。
ただし、天然木デッキよりも初期費用が高くなりやすい、夏に熱くなりやすい、ぬれると滑りやすいといったデメリットもあります。
長期的なコストパフォーマンスや手入れの楽さも考慮して、自宅に合ったウッドデッキを選びましょう。
選び方に迷った場合はウッドデッキ設置実績の豊富なエクステリア施工業者に相談するのもおすすめです。
筆者:外構工事職人歴20年・石川公宣