和を意識した外構工事(エクステリア工事)を行う際、押さえておきたい条件があります。
それは、「自然」を取り入れることです。自然を取り入れることで一気に和庭を意識した外観になります。
また、季節ごとに色や形を変える植栽を植えることで、四季を楽しむことも可能になります。
植栽や自然石は私たち日本人にはとても親しみ深い外構です。そこに池などの水回りができると、一気に純和風庭園が出来上がります。
和庭の外構を行いたいのであれば、植栽や自然石、水の調和を意識しなければいけません。
和を意識した外構
私が職人だった頃、予算500万円以内で、「風情のある和庭を造りたい」と願うお宅の工事を行ったことがあります。この家のお施主さん(工事依頼主)は、とてもこだわりが強く、見栄えのある庭を希望していました。そこで、丁寧に手入れをされた植栽や自然石で飾り付けを行い、見て美しい外構を作りました。
特に、石にこだわりを持っていて、ご自身で石を用意していました。
自然石の良さは「同じ色や形の石が存在しない」ことにあります。
大きい石や小さい石をバランスよく設置した周りに、砂利を敷き詰めたり芝生を貼りあわせたりすることで、日本庭園を思わす外構が出来上がりました。
お施主さんは、立派になった庭に感動したのはもちろんのこと、工事費用を安く抑えられたことに大きく喜んでいました。実は、安価な工事である芝生や砂利敷き(砂利を敷き均すこと)を取り入れたことで、大幅に工事費用を削減することができたのです。
当初予定していた500万円からかなり安くなり、最終的に400万円以内で和庭が完成しました。
このように、かなり手間暇をかけた和庭でしたが、上手にプランニングすることで工事費用を抑えることが可能になります。
ただし、和庭を作るときに妥協してはいけません。お金をかけるところはきちんと高額な工事を行い、安く済ますことができる場所は金額を抑えた工事を行います。そうすることで、見栄えのある外構を安い値段で施工できます。
和庭は二つの顔を持ち合わせている
有名なお寺やお城の庭をイメージすると、必ず敷地内に池があります。その池には鯉が泳ぎ、鯉を眺めながら優雅なひと時を過ごすことができます。
しかし、一般家庭の庭に池を設ける人は多くありません。むしろごくわずかです。建設費や維持費のことを考えると、池の建設を諦める人がほとんどです。ただ、和庭に水辺があると、建物の印象はガラッと変わります。
また、庭に雨や打ち水(水をまくこと)を行うだけでも、全く別の和庭を楽しむことができます。張れている日であれば、打ち水を行うと植栽は水のしずくでキラキラして、自然石は水が染み込むことで深みが増します。
一方、雨の日には葉に落ちる雨の音や、和庭独特の雨に濡れた匂いなどを楽しむこともできます。
さらに、季節ごとの庭の顔も異なります。縁側などに座り、季節ごとに変化する外観を楽しむことで、家にいながらアウトドア気分を味わうことも可能です。
自然あふれる場所に自然がかけあわさることで、本物の大自然を感じることができます。
例えば、夏に打ち水を行うだけでも日本の風情を楽しむことができます。それに、打ち水を行うことで気化熱が発生します。気化熱とは、水が気体になるために周囲から吸収する熱のことを指します。打ち水が蒸発する際に熱を奪っていくので、実際に打ち水をした周辺は涼しくなります。
今ではあまり見かける光景ではありませんが、美しい和庭を大切にしている方は面倒くさがらずに毎日行っています。涼しくなる以上に、打ち水を行っているときのにおいや庭の変化を楽しむことが醍醐味でもあります。
もし、あなたが和庭の外構を望んでいるのであれば、多少の手入れや手間は覚悟してください。ただ、その手間から得ることができる和庭の感動は比になりません。共に長い年月を過ごしていく外構を、共に成長していく和庭にしてみてはいかがでしょうか。