外構工事(エクステリア工事)を行う方の中で、目隠しまたは隣家との境界を示すものとして、ブロック塀を採用する方は多いです。
その他にも、フェンスを設ける際の支えとして、ブロックを活用するケースはたくさんあります。
ブロック塀が選ばれる最大の理由は、「擁壁(コンクリートの壁)に比べて安価」だからです。
また、化粧ブロック(表面に柄や色が入ったブロック)を選べば、低価格で見栄えのある外観を演出できることも魅力の一つです。
ただ、ブロック塀はコンクリートの壁に比べて耐久性に劣ります。
良い設計・施工で造られたものだとしても、常に外気に接する過酷な環境下にあるため、約20年で中に入っている鉄筋がさび始めます。
そのため、ブロック塀に期待する耐久年数は30年程度と言われています。
ただし、30年というのは、あくまでもきちんとメンテナンスをした上での数字です。
そのため、手入れを怠っているブロック塀に関しては、10~15年程度で倒壊してしまう恐れがあります。
このページでは、ブロック塀のメンテナンスについて詳しく述べていきます。
劣化してしまうとブロック塀は倒れてしまい、最悪の場合は人を傷付けてしまう可能性があります。
ブロック塀が劣化する理由
ブロックはコンクリート製品なので、それ自体は耐久性に優れた建材です。
しかし、塀として積み上げたものは別です。
ブロック単体で耐久力があったとしても、接着面は外部からの力が加わるとひびが入ったり割れたりしてしまいます。
ブロック塀を施工する際、横からの力に耐えられるように、中に鉄筋を入れてモルタル(水と砂とセメントを混ぜ合わせたもの)で固めていきます。
ブロック塀は劣化していくと、目地に入れられているモルタルやブロック自体が「中性化」していきます。
中性化とは、アルカリ性でできているコンクリート製品が、空気中に含まれる炭酸ガスの侵入によって、中性になる現象のことです。
すると、アルカリ性で守られていた鉄筋が酸化を始めて、さびてしまいます。
すぐに倒壊してしまうわけではなく、鉄筋が少しずつ細くなり、自重で立っているだけの状態になります。
こうなると、地震や横からの力が加わった瞬間に、崩壊してしまう危険性が高くなります。
もし、鉄筋のさび汁によって表面が汚れているブロック塀を見つけたら、絶対に近づかないようにしてください。
強風や地震が起きた際に、倒れて下敷きになってしまう恐れがあるからです。
特に、子供がいる方は注意が必要です。
もろくなっているブロック塀に登ってしまうと、そのまま崩壊してしまう可能性があります。
さらに、そのブロック塀があなたの家のものだとしたら、全ての責任があなたに降りかかってしまいます。
もしブロック塀に保証が付いている場合、全責任は施工を担当した外構専門業者(エクステリア業者)が負うことになります。
ただ、保証は長くても10年程度しかついていないので、昔からあるブロック塀の保証は切れている可能性があります。
そこで、ブロック塀の劣化を最小限に抑えるために、定期的にメンテナンスをすることをお勧めします。
ブロック塀のメンテナンス
ブロック塀の劣化を進める原因は、大きく分けて4つあります。
・白華現象(はっかげんしょう:コンクリートやモルタルの表面部分に白い生成物が浮き出る現象)
・汚れ(雨やコケなどによる腐食)
・凍結
・中性化
白華現象は、雨によってモルタルの中に含まれる水酸化カルシウムが流され、それが表面に付着して白くなる現象を指します。
また、水に濡れている時間が長いと汚れが付着しやすくなり、コケやカビが生えて水分がこもりやすくなります。
水が抜けないまま放置しておくと、冬には凍結してひび割れを生じやすくなります。
水は氷るときに膨張するからです。
これらの状況が中性化を加速させて、ひび割れ部分から水が入り込み、補強鉄筋をさびさせます。
メンテナンスを行っていないブロック塀はこのサイクルが繰り返されています。
このような現象を防ぐためには、4つの原因の共通点である「水」の浸透するのを防ぐこと、つまり防水対策がポイントです。
汚れについては、ホームセンターで販売されている薬品を使用したり、高圧洗浄機で掃除したりすれば綺麗になります。
しかし、残りは自然現象なので、メンテナンス不可のように思われがちですが、そうではありません。
実は、ホームセンターなどでコンクリート専用の防水塗料が販売されています。
それを塗布すれば、水分の内部への侵入を防ぐことができます。
内部に水が侵入しなければ、白華現象や汚れ、凍結、中性化まで抑えることができます。
ただし、防水効果は永遠ではないため、防水塗料に記載してある用法用量を守り、定期的に塗布しましょう。
まとめ
こまめにメンテナンスをすることで、見栄えのある外観を保つことができます。
それだけではなく、当初の設計通りの強度が衰えにくくなります。
事故が起きてからでは遅いので、こまめに手を加えるようにしましょう。
なお、ブロック塀の劣化の程度が分からない場合、ブロック塀の施工を依頼したエクステリア業者に点検してもらうと良いです。
また、点検を無料で行っている会社もあるので、あなたの住まいに近い業者を頼りましょう。
素人から見て平気だと思っても、実際はかなりボロボロになっているケースは多いです。
倒壊してからでは工事金額も高額になるので、こまめなメンテナンスが大切です。
しかしながら、素人ではメンテナンスや修復に限界があります。
大地震がきて倒壊してからでは遅いため、安全性を常に確保するためにプロにブロック塀の補強を相談して見ましょう。