ブロック塀とフェンスのどちらかを設置したい場合、費用の面からどちらが安いのか悩んでしまう人は多いでしょう。家の境界やプライバシー確保に欠かせない外構ですが、素材やデザインと共に予算も選択のポイントです。
この記事では、ブロック塀とフェンスを施工するにあたってのコスト感について解説します。どちらが安いかを比較しながら、耐久性、安全性にも触れるので、選択の参考にして下さい。
目次
1.ブロック塀とフェンスの基本情報

まずはブロック塀とフェンスについて、それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説します。
1-1.ブロック塀とは
ブロック塀とは、コンクリートブロックを積み重ねた塀のことです。敷地の境界を明確にしつつ、高い目隠し効果や耐久性を持つため、一般の住宅で広く採用されています。
主な用途は住宅街における境界線の明示や、道路から庭や家へ向けての目隠し、防犯対策です。しかしブロック塀は現在、デザインや素材感が多様化しており、住宅の外観に重厚感やナチュラルさなど意図した雰囲気を与えるのにも役立ちます。設置場所に応じて多様な目的を果たせるエクステリアといえるでしょう。
1-2.ブロック塀のメリットとデメリット
ブロック塀のメリットは、高い目隠し効果によって内部のプライバシー保護ができること、また堅牢なつくりで防犯性を高められることなどです。耐久性も高く長期間にわたって使用でき、日常では防音性、災害時には障壁としての役割も期待できます。
一方で、初期費用が高く、設置には専門的な施工が必要になることがデメリットです。地震による倒壊の危険を避けるには、定められた安全基準を満たさなければなりません。またフェンスに比べると施工期間が長くなるのが一般的で、工事が大がかりなことから、金額も高くなりがちです。
1-3.フェンスとは
フェンスは、敷地を区切るための軽量な構造物のことを指します。素材や種類が豊富で、デザイン性や用途に応じて選べるのが特徴です。
一般的にフェンスは、庭のデザイン性や風通しを保ちながら境界を明確にしたい場所に使用されます。転落や越境を防ぎ、安全性を重視したい場所にも、フェンスが設置されることが多いでしょう。
設置する場所や目的によってさまざまなスタイルが選べ、機能性とデザイン性を両立させやすいのが魅力です。軽量で設置が比較的容易なため、家庭から公共施設まで幅広く利用されています。
1-4.フェンスのメリットとデメリット
フェンスのメリットは、設置が簡単で低コストなこと、またデザインが豊富で住宅の外観に合わせやすいことです。軽量で風通しが良いデザインを選べば、地震や強風時にも高い安全性を保ちやすいというメリットもあります。
一方、デザインによっては目隠し効果が低いものがあり、プライバシー確保に注意が必要です。反対に、完全に内部が見えないつくりのものは強風や衝撃に弱く、防犯性にも不安が残ります。耐久性が低いフェンスはメンテナンスも必要で、初期費用が安い反面、維持コストがかかる可能性があるでしょう。
2.ブロック塀とフェンスはどちらが安い?

ここまで、コスト面も含めてそれぞれのメリットやデメリットを見てきましたが、結局ブロック塀とフェンスではどちらが安いといえるのでしょうか。ブロック塀とフェンスの費用感を比較してみましょう。
2-1.ブロック塀の費用相場
ブロック塀の費用は、素材や高さ、装飾の有無によって変動します。
一般的なブロック塀の相場は、1メートル当たり約15,000円〜30,000円です。ただしデザインや追加機能を加えると費用が上がるため、目的や予算に応じて適切に選択する必要があります。
例えば化粧ブロックを使うと、本体の単価が上がりやすいでしょう。高さが増せばブロックを積む数が増え、材料費も施工費も上乗せとなります。ブロックの加工が必要な場合も追加の費用が必要です。
2-2.フェンスの費用相場
フェンスの費用は素材による価格差が大きく、デザインや機能性によっても変動します。平均的な施工費用の相場は1メートル当たり約10,000円〜25,000円です。
一見して、ブロック塀に比べると相場が安いフェンスですが、手頃な価格帯から高級仕様まで幅広く選べるため、実際には用途や予算に合わせた選択が可能です。よりデザイン性や機能性の高いものを設置する場合、一般的なブロック塀の施工よりも高くなることがあるでしょう。
3.ブロック塀の種類と費用感
ブロック塀にもさまざまな種類があります。ここでは、代表的なものについて特徴と費用感を解説します。
3-1.標準的なブロック塀
標準的なブロック塀は、コンクリートブロックを積み上げてつくるシンプルな塀です。コンクリートを固めてつくるブロックには特別なデザイン性を施さず、費用感と耐久性を重視しながら敷地の境界を明確にできます。
費用感は1メートル当たり15,000円~25,000円程度です。高さが高くなると費用が上がるものの、装飾性が少なく施工の手順もシンプルなため、比較的手頃な価格でブロック塀をつくり上げることが可能です。
3-2.デザインブロック塀
デザインブロック塀は、模様入りやカラーバリエーションのあるブロックを使用したタイプのブロック塀です。モダンや和風など、住宅の外観に合わせたカスタマイズが可能で、目隠し効果も兼ね備えることができます。
費用感は1メートル当たり約20,000円〜40,000円程度です。施工費自体は標準的なブロック塀と変わりませんが、装飾性が高いブロックや特殊加工されたブロックはコンクリートブロックに比べて価格帯が上がるため、全体の費用に差が出ます。
3-3.強度重視の特殊ブロック塀
強度重視の特殊ブロック塀とは、災害対策用に適したブロック塀のことです。代表的なものには耐震ブロック塀があります。
耐震ブロック塀の場合、費用感は1メートル当たり約25,000円〜50,000円程度です。地震や災害時の倒壊リスクを軽減するためにブロック自体が強度を高めた構造になっている他、施工にあたっても鉄筋の使用や基礎部分の強化が標準仕様となっており、製品代と施工費の双方が上乗せされる形となります。
なお、耐震ブロック塀の施工に対しては一部の自治体で補助金が適用される場合もあるので、併せて考慮すると良いでしょう。
4.フェンスの種類と費用感
フェンスには、素材やデザインによって豊富な種類があります。代表的な種類と費用感について確認してみましょう。
4-1.アルミフェンス
アルミフェンスは、錆びにくく軽量で、耐久性が高いのが特徴です。また設置以降はほぼメンテナンスが必要ないため、コストパフォーマンスが高いフェンスであるといえるでしょう。シンプルから高級感のあるデザインまで選択肢も幅広く、住宅の外観に合わせやすいのもメリットです。
アルミフェンスの費用感は、1メートル当たり約10,000円〜25,000円程度が一般的です。デザインや高さにより価格が変動するため、どのようなものを必要としているかよく検討すると良いでしょう。
4-2.木製フェンス
木製フェンスは、自然な風合いとあたたかみがあり、庭や住宅のナチュラルな雰囲気によく合います。ただし素材によっては腐食やシロアリ被害を受けやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。塗装や防腐処理を施すことで耐久性を向上させることができます。
木製フェンスの費用感は1メートル当たり約8,000円〜20,000円程度と幅広く、一概にはいえません。高級な無垢材や防腐加工付きの製品は初期費用が高くなる傾向です。一方、安価なものはメンテナンスコストが必要でしょう。
4-3.スチールフェンス
スチールフェンスは、鉄製で高い強度と防犯性を持つため、耐久性・安全性を重視したい場合に最適なフェンスです。形状はメッシュタイプが多く、視界を遮らずに境界線を明確にするのに適しています。ただし素材の特性として錆びやすく、時間の経過と共に防錆塗装やメンテナンスが必要です。
スチールフェンスの費用感は、1メートル当たり約5,000円〜15,000円程度です。頑丈なタイプになるとコストが上がる傾向にあります。
4-4.樹脂、プラスチックフェンス
樹脂やプラスチック製のフェンスは軽量で腐食しないため、雨風に強くメンテナンスも簡単なのが特徴です。またデザインが豊富で、木製フェンスのような見た目を持つデザインもあります。製品自体が軽量な分、衝撃にはやや弱いですが、耐久性を高めたフェンスも選択が可能です。
樹脂・プラスチックフェンスの費用感は、1メートル当たり約7,000円〜20,000円程度と幅があります。デザインや品質により価格が変わり、耐久性の高い樹脂フェンスになるほど価格が上昇する傾向です。
5.メンテナンスコストの違い

ブロック塀とフェンスでは、メンテナンスコストにも違いがあります。メンテナンスにおける注意点をそれぞれ解説します。
5-1.ブロック塀のメンテナンス方法と費用
ブロック塀のメンテナンスでは、ひび割れや劣化部分の定期的な点検が重要です。軽微なひび割れの修繕は数千円程度で済みますが、全面補修が必要な場合は数万円の費用がかかることがあります。
ブロック塀のメンテナンスコストを抑えるには、定期点検を行い、早期に対応することが大切です。早めの対処は、それだけ安全性を保つことにもつながるでしょう。とはいえブロック塀は耐久性が高いため、普段は目視で安全性を確認しておくだけで手間はかかりません。
5-2.フェンスのメンテナンス方法と費用
フェンスのメンテナンスは素材に応じて異なります。アルミフェンスの場合は大きく破損がなければ特段のメンテナンスを必要としませんが、鉄製フェンスの場合は、劣化が進まないうちに塗装やサビ止めの処理が必要です。
フェンスを修理する場合、軽微な修理は数千円程度で済むことが多いですが、部材交換が必要な場合は数万円かかることがあります。定期的な点検と適切なケアを行うことで、フェンスの美観と機能を長持ちさせることができるでしょう。
5-3.長期的に見たコストパフォーマンスの比較
ブロック塀は初期費用が高いものの、耐久性が高く長期間使用できるため、結果的にトータルコストが抑えられる場合が多いでしょう。
一方、フェンスは初期費用を抑えられるものが多い反面、素材や設置環境によりメンテナンス頻度が増え、長期的には費用がかさむことがあります。フェンスの中でもメンテナンスにコストがかからないものもあるため、一概にどちらが安いとはいえません。予算を参考にしながら、目的に合ったものを選ぶことが重要です。
6.耐久性と安全性の比較

ブロック塀とフェンスのどちらを選ぶかは、耐久性や安全性にもよります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
6-1.ブロック塀の耐久性
ブロック塀は、適切な施工を行えば耐久性が大変高く、長期間の使用が可能です。とりわけ地震や強風時の災害対策としての強みを持ちます。
ただし、ひび割れや地盤沈下による変形などが劣化の要因となるため、定期的な点検と補修が重要です。バランスが崩れると歪みや倒壊の原因にもなってしまうため、耐久性を維持するには、ていねいな施工と定期的なメンテナンスが鍵となります。
6-2.フェンスの耐久性
フェンスの耐久性は素材によって大きく異なります。アルミやスチールは長持ちしやすい一方、木製は劣化しやすい傾向があるでしょう。この他、主な劣化要因にはサビ、色あせ、素材自体の劣化があるため、平時からよく観察して早めのメンテナンスを行うことが大切です。
またフェンスはブロック塀に比べて軽量なため、雨風の強い地域はいっそうの注意を必要とします。施工時、風雨に対応できるようしっかりと固定することが重要です。
7.どっちを選ぶべき?ブロック塀とフェンスの選択ポイント

ブロック塀とフェンスのどちらを選ぶべきかは、どちらが安いかだけでは決められません。ブロック塀とフェンスの選択のポイントを解説します。
7-1.敷地や用途に応じたブロック塀の選び方
ブロック塀は、プライバシー保護や防音性を重視する場合に適しています。目隠し効果の十分に得られる高さやデザインを選ぶ他、防音性が求められる場合には厚みや構造を考慮すると良いでしょう。
またブロック塀は高級感のある外構を演出するのにも役立ちます。装飾ブロックやカラーバリエーションを取り入れることで、住宅全体の雰囲気を引き立てることが可能です。
用途や予算に応じて適切な素材を選び、安全性とデザイン性を両立させることがポイントとなります。
7-2.敷地や用途に応じたフェンスの選び方
フェンスは、コストを抑えつつも取り扱いやすさを求める場合に適しています。軽量で設置が簡単なフェンスは、ブロック塀に比べて初期コストを抑えられることが多いでしょう。
また、視界を確保しながら境界を明確にできるため、風通しや開放感を重視する場所にも利用できます。ブロック塀は風や視界を遮る傾向が強く、開放感を必要とする場所には適しません。豊富な選択肢の中から場所に合ったデザインを選びたい時も、フェンスがおすすめです。
8.信頼できる外構工事業者の選び方
ブロック塀やフェンスを安全かつ適切に施工するなら、信頼できる外構工事業者を選ぶことが大切です。
見積もり時には、工事期間や保証内容、見積もりの内訳について、しっかり確認しておきましょう。信頼できる業者であれば詳しい説明をしてもらえます。
また、過去の施工実績や評判を調べることで、業者の信頼性や技術力を判断するのもおすすめです。
口コミや紹介、ホームページに掲載された実績写真などを確認し、自分の希望に合った業者を選びましょう。
まとめ.
どちらが自分の敷地や用途に合うかを判断するには、専門業者への相談が最適です。
見積もりを依頼することで、具体的な費用や施工期間、使用素材に関する詳細な提案を受けられます。
また、信頼できる業者を選ぶ際には、過去の実績や評判を確認することも大切です。専門家のアドバイスをもとに、最適な選択を目指しましょう。
筆者:外構工事職人歴20年・石川公宣