土留めや塀、境界線の明示など幅広く活用されているのがブロック塀工事です。
外構工事を行う際に切り離せない工事と言えます。
ブロック塀に用いるブロックの種類は豊富でデザインや、使用する用途に適したブロックを選ぶ必要があります。
ブロックの種類により価格も1本5000円の物から、1本250円のものまで多種多様です。
種類の豊富なブロックの中から、一般の人がデザインを含めた用途に最適なブロックを選ぶことは難しいと言えます。
なぜなら、一般の人が普段の生活の中でブロック塀に触れたり購入したりする機会が少ないからです。
そこでこのページでは、ブロック塀に使用する用途に合わせたブロックの選び方と、ブロックの種類による価格の相場を解説していきます。
これを学ぶことにより適正価格にてブロック工事ができることに貢献できれば幸いです。
※以下の記事では無駄に費用をかけることのないように、ブロック塀工事の手抜工事を防ぐ正しいブロック塀工事を解説していますので参考にしてください。
目次
1.そもそもブロック塀とは
ブロック塀とは、コンクリートブロックを基礎の上に積み重ねて建てる塀のことです。
内部に鉄筋が通っており、モルタルで隙間を固めているので高い強度を誇ります。
近年では多様なデザインのコンクリートブロックが出てきており、デザイン性を評価する人も少なくありません。
ブロック塀のメリットは、隙間なくブロックを並べるので目隠し効果が高いことです。
隣家と距離が近く、完全に視線を遮蔽したい場合はブロック塀が効果的に使えるでしょう。
また、メンテナンスの手間がかからず、耐久性に優れている点もブロック塀の強みです。
丁寧に施工してもらえば、ブロック塀の強度は30年保たれるといわれています。
しかし、ブロック塀もメリットばかりではありません。
ブロック塀のデメリットとして、まず通気性の悪さが挙げられます。
隙間を完全に埋めてしまうため、フェンスなどに比べると風が通りにくくなるので注意が必要です。
次に、ブロック塀は重厚感があり、圧迫感が出やすいというデメリットもあります。
色味もグレーのものが主流なので、なるべく明るい雰囲気にしたいのであればデザイン性の高い化粧ブロックを活用しましょう。
通気性を確保するために、穴が開いている透かしブロックを使うという手段もあります。
2.ブロック塀工事の目的に適したブロックを選ぶ
一言でブロックと言っても、その種類は豊富で、その中から用途に合ったブロックを選ばなければなりません。
強度重視が優先される工事なのか、またはデザイン重視で行わなければならない工事なのかを見極めなければいけません。
しかしながら、一般の人がこれらを見極めるのは無理に等しいと言えます。
そこでこの項ではブロック工事の種類と、それらの工事に適したブロックとその1mあたりの費用を解説していきます。
2-1.花壇や門柱などのおしゃれアイテムとしてブロック塀を用いる
外構工事を行う際に、植栽や花を植えるのに花壇を設けるのは必要な工事と言えます。
また、四季折々の季節を感じさせてくれる植木や植栽は、外構計画を立てる上で取り入れたいと思う人も多いです。
花壇の素材としては、レンガやブロックが多く使われています。
強度の面では、レンガよりもブロックの方が頑丈な花壇ができます。
費用の面でも、レンガで花壇を作るよりも、ブロックを用いた方が安値で工事ができます。
上記の写真のような花壇の場合は、スタンダードブロック(一般的なブロック)よりもおしゃれな化粧ブロックがおススメです。
ブロック1段積み(高さ18cm位)と基礎工事を含めた距離1mあたりの花壇工事費用の相場は¥4.500円〜¥6.500円が(施工される化粧ブロックによる価格差です)一般的です。
2-2.土留めブロック塀工事
土留めとは、土が崩れてくるのをくい止める壁のことを言います。
主に、段差や法面(切土や盛り土により人工的に作られた斜面のこと)に作られています。
例えば以下の写真の様に庭の真ん中の土を取り除いて駐車場を設けた場合に、駐車場周りの土が崩れるのを防ぐためブロックを用いて壁を作る必要があります。
①もとのお庭
②土を取り除いた状態
③土留めブロック
④駐車場の完成
土留めブロックといっても、ご近所などで花壇や塀で使用されている一般的なブロック塀ではありません。
なぜなら、土留めブロックを用いた擁壁(土が崩れるのを防ぐ壁状の物)には、かなりの土圧(土の重みによる圧力)がかかるため一般的なブロックでは強度不足です。
一般的なブロックで土留めの擁壁を設置した場合、数年後には壁に亀裂やひび割れが入る恐れがあります。
最悪の場合、壁自体が倒れる危険性があるため60cm以上の土の厚みがある箇所の土留め工事では必ず、土留め専用のブロックを使用してください。
土留め専用のブロック工事では、基礎工事自体も一般的なブロック工事より強固に作り上げていくので安心と言えます。
土留めブロック4段積み(高さ80cm)と基礎工事を含めた距離1mあたりの花壇工事費用の相場は¥42.000円〜¥51.000円が(施工される場所の状態による価格差です)一般的です。
より詳しく土留めブロック塀の施工方法などを知りたい方は以下のサイトを閲覧ください。
2-3.防犯対策としてのブロック塀とフェンス
ブロック塀には防犯対策として昔から活用されています。
外部からの人の侵入を防ぐなどの役割を果たしてきました。
しかしながら、現在では台風の勢力の増大やブロック塀の老朽化により倒壊による重大な事故が起きています。
そのため下記の写真の様にブロック塀のみを使用した防犯壁ではなく、2~3段程度(高さ40cm~60cm)ブロックを積み上げ、防犯として足りない高さはフェンスを用いて補っています。
考え方によっては、フェンスの基礎としての使用も可能です。
3.ブロック塀のリフォームが必要なケースとは
ブロック塀は耐久性の高さが特徴ですが、当然ながら時間が経過するほど劣化していきます。
風雨にさらされて劣化したブロック塀を放置しておくと、倒壊などの危険につながる恐れもあります。
地震などの天災に備える意味でも、古くなったブロック塀は早めにリフォームしなければなりません。
自分の家のブロック塀はリフォームが必要かどうか、判断基準を確認しておきましょう。
まず、ブロック塀にひび割れや破損がある場合はリフォームが必要です。
塀が傾いたり、ぐらついたりする場合も危険なので業者にリフォームを依頼しましょう。
なお、1981年にブロック塀の高さ上限は3.0mから2.2mに引き下げられました。
それ以前に建てられたブロック塀は高さが2.2mを超えている可能性があり、倒壊の危険性が高いので確認しておきましょう。
その他、ブロック塀の厚さは10cm以上あるか、ブロックは変色していないかといったポイントも要確認です。
なお、ブロック塀の高さが2m以上であれば15cm以上の厚さが必要です。
ちなみに、倒壊の危険があるブロック塀の撤去にあたって、自治体の補助金を利用できる可能性があります。
補助金の支給条件や金額は自治体によって異なるため、事前によく調べておくことをおすすめします。
4.ブロック塀に使用するブロックの拾いだし方法(積算方法)
ブロック塀工事を行うにあたり、工事費用が気になるところです。
かと言って、施工業者から提出された見積金額が適正な価格とは思えません。
昨今、依頼主が工事には無知式なことを逆手に取り、過剰な高値で工事を行っている悪質業も多く存在しています。
高値だけならまだしも、手抜き工事をされては本末転倒です。
そこでこの項では、ブロック塀工事の相場を解説していきます。
これを学ぶことにより、悪質業者の過剰なまでのお支払いを防ぐことができます。
4-1.ブロック1本の大きさ
以下の写真は、一般的に使用されているスタンダードブロックです。
基本適菜ブロック1本あたりの大きさは、縦(たて)約20cm/横 約40cmです。
ブロックの厚みは数種類あり、10cmから大きいものでは20以上の物もあります。
このブロックの厚みが厚くなるほど耐久性が強固になっていきます。
4-2.使用するブロックの本数と費用を求める
ブロック塀工事で使用するブロックの本数を拾い出すには、設置したい場所に行く必要があります。
ブロック塀を設置したい場所に行き、メジャーやスケールで設置したい距離を測ります。
さらに、希望するブロック塀の高さを図りだします。
高さを図りだす際に、家の周りであれば、目隠し対策、防犯対策、デザイン目的なのかの用途を考慮して考える必要があります。
それでは、拾い出しをしていきます。
例えば、距離2mで高さ60cmの場合は以下の図になります。
したがって使用するブロックの本数は15といった具合です。
ただ、工事距離が2mというのは、あまり例がないので、10mや20mで計算してみます。
例) 高さ60cmで距離10m場合を計算していきます。
まず高さを決めて、その高さに間に合うブロックの段数を決めます。
設置高さ60cmの場合の計算式は、設置高さ60cm÷ブロックの1本高さ20cm=3
つまり3本となります。
次に距離ですが、一般的なブロック1本の距離(長さ)40cmなので、施工距離1mにたいして2.5本使用します。
施工希望距離が10mとします。
その計算式は10m÷0.25=40本となります。
最終的な計算式は施工高さ60cmのブロックの本数3本×施工距離10m:40本=120本となります。
計算式 3×40=120です。
ここまで、使用するブロックの本数の求め方を解説しました。
次に、ブロック1本あたりの施工金額の相場を解説していきます。
厚み10cmのスタンダードブロックの材料を含む1本あたりの工事相場は850円から900円です。仕入先による価格差です。
厚み12cmのスタンダードブロックの材料を含む1本あたりの工事相場は900円から950円です。仕入先による価格差です。
厚み15cmのスタンダードブロックの材料を含む1本あたりの工事相場は950円から1100円です。仕入先による価格差です。
この金額に、ここまで解説してきた使用するブロックの本数を掛けるとブロック塀の工事相場が算出されます。
ただし、ブロック工事にはブロック塀を支える基礎工事が必要となります。
基礎工事の距離1mの工事相場金額は3500円~4500円です。
これらの基礎工事金額は、積むブロックの段数や施工会社の行う工事内容に大きく左右されるため、施工会社への確認が必要不可欠です。
5.ブロック塀工事の費用の節約方法とは
誰もが少しでも出費をおさえて、工事を行いたいと思うことは決して間違ってはいません。
しかし、施工業者にただ単に、工事金額を値切ることは得策とは言えません。
なぜなら、手抜き工事を行われてしまうからです。
外見では目視できない部分や地中に埋まってしまう箇所の手抜き工事が行いやすいからです。
どこの施工業者も自社で算出した見積金額で工事を行いたいのは当たり前のことなので、そこに値引きの圧力をかけても、材料を減らしたり工事の項目を一つ減らしたりなどの対策をとる可能性があります。
結果、手抜き工事に繋がってくるのです。
そこでこの項では、業者に値引きの圧力をかけないで、効率よく工事費用を抑える工夫を解説していきます。
※以下の記事では、外構工事では欠かすことのできない駐車場工事についても適正な行ったうえでの費用の抑え方を解説していますので合わせて参考にしてください。
5-1.見えない箇所の費用を効率よく節約する
ブロックには、大きく分けて2種類のブロックがあります。
色や表面がオシャレな化粧ブロックと、一般的によく目にするスタンダードブロックです。
ブロック1本あたりの値段は、スタンダードブロックよりも化粧ブロックのほうが圧倒的に高値にまります。
そのことを踏まえた上で、以下の図を用いて解説します。
ブロック塀工事では、一番下の段数のブロックは基本的に地中に設置します。
これを根入れブロックと言います。
つまり、根入れブロックは地中に施工するため、目視することができないのです。
目視できない箇所に高値の化粧ブロックを使用する必要はありません。
根入れブロックはスタンダードブロックを使用することで工事費用の節約になります。
もちろん、根入れブロックだけ地表に見えるブロックと異なっても、工事工程やブロック塀の強度には問題はありません。
もう一つのブロック塀工事の費用の節約方法は、以下の図のように道路に面している人の目に留まる箇所はオシャレな化粧ブロックを使用しています。
しかし、隣地の境界線や家の裏側の人の目に留まらない箇所のブロック塀はスタンダードブロックを使用することで工事費用の節約になります。
この場合、施工業者からの提案は少なく依頼主から、これらを提案しなければなりません。
なぜなら、工事店も商売ですので、少しでも売り上げが欲しいのは当たり前なため、売り上げが下がる提案は望まないからです。
6.正しいブロック塀工事
ブロック塀工事は、外構工事を行う上で欠かせない工事と言えます。
しかしながら、ブロック塀工事は国の建築法などでの整備はなされていないのが現状です。
そのため、手抜き工事によるブロック塀のひび割れや倒壊などの被害が多いです。
いくら工事の依頼主が適正な工事を行いたくとも依頼主自身が工事を行う事は難しいため施工業者に工事を依頼するしかありません。
現在、施工業者の多くが利益を上げるための、スピード重視の工事や材料などを減らして行う手抜き工事が頻繁に行われています。
そのような工事の被害にあわないようにするには、どうすればいいのかわからないはずです。
なぜなら、一般の人が頻繁にブロック工事を依頼しているわけではないので、ブロック工事と携わる機会が極めて少ないからです。
かと言ってすべてを施工業者に委ねるわけにはいきません。
そこで、依頼主自身が少しでも正しいブロック工事を理解し、行われている工事の確認をすることが手抜き工事を防ぐ方法と言えます。
ブロック塀工事の正しい工事内容を詳しく知りたい方は以下のリンクから閲覧できます。
7.ブロック塀以外の目隠しの種類
庭などの目隠しを設けるにあたって、ブロック塀以外の選択肢を検討することも重要です。
ここでは、ブロック塀以外の目隠しの種類を紹介し、それぞれの特徴について解説します。
7-1.コンクリート塀
コンクリート塀はコンクリートブロックを積み重ねるのではなく、コンクリートをそのまま壁にしています。
ブロック塀よりも密度が高いので強度が高く、植物なども繁殖しにくいのが特徴です。
ただし、施工に手間がかかるのでブロック塀よりも費用が高くなります。
コンクリート塀は、多少コストがかかっても地震に強い頑丈な壁が欲しい人におすすめです。
7-2.レンガ塀
レンガ塀はデザイン性が高いので、おしゃれな目隠しにしたいのであれば検討したい種類です。
施工から時間が経っても、レンガのダメージがむしろ味になります。
耐久性にも優れていますが、コンクリート塀よりも費用が高いのが難点です。
施工可能な業者も少なく、依頼先を探すこと自体が難航する場合もあります。
7-3.土塀
目隠しに趣のあるデザインを求める場合は、粘土のような土を使って建てる土塀もおすすめです。
土塀には、柔らかい土で施工するためにデザインの自由度が高いというメリットがあります。
しかし、雨風によって土が少しずつ削られていくので注意が必要です。
職人の高い技術が必要であり、費用が高い点にも留意しておきましょう。
7-4.タイル塀
タイル塀は、ブロック塀やコンクリート塀をタイルで装飾した壁です。
モダンなデザインにすることができますが、耐震性が低いというデメリットがあります。
タイルの重みが加わることで、地震のときに倒壊しやすくなるのです。
また、タイルを貼る分、通常のブロック塀などよりも費用が高くつきます。
7-5.フェンス
最後に、軽量で簡単に設置できるフェンスという選択肢もあります。
フェンスには木製や金属製など多様なデザインがあり、自分の好みに合わせて選択可能です。
ブロック塀の代わりにフェンスを新設する際、補助金が支給されることもあるので事前に確認しておきましょう。
ブロック塀工事の施工事例
工事前、工事後の写真を用いて施工事例をいくつかご紹介していきます。あなたの希望の工事の参考してみてください。
施工事例1.
工事前は、駐車場スペースは1台も無い状況でしたが、息子さんご夫婦と同居とのことで、息子さんが所有する車を停めたいとのご相談でした。
今回の工事での重要な点は、お庭を切り開くにあたり、隣地(左側)の持ち物である8段積みブロックが、約25年前に設置しているため老朽化が激しく、負担を掛けられない状況であるため、いかに付加を掛けずに工事を完了させることが重要になっていました。
また、土を搬出した後の、残りの土を抑えるための土留を強固な土留めブロックを使用することにより、安心と安全が保たれるようにしました。
土留めとは、土が崩れてくるのをくい止める壁のことを言います。
主に、段差や法面(切土や盛り土により人工的に作られた斜面のこと)に作られています。
例えば以下の写真の様に庭の真ん中の土を取り除いて駐車場を設けた場合に、駐車場周りの土が崩れるのを防ぐためブロックを用いて壁を作る必要があります。
工事前
工事後
施工事例2.
目の前の道路が、小学生の通学路とのことで、老朽化したブロック塀を撤去して、新たにお洒落なブロック塀を施工しました。
少しでもお洒落にしたいとのご要望に応え、ガラスのブロックや笠木を用いてみました。
施工前
施工後
施工事例3.
家の正面が道路面に面しており、人の目線を気にせずに洗濯物を干せたらとのご相談でした。
フェンスに少し隙間の有る商品を提案させていただきました。
なぜなら、洗濯物に少しでも風をあてたいためです。
工事前
工事後
8.まとめ
ここまで、ブロック塀工事の種類や相場価格と共に、効率的な費用の節約方法を解説してきました。
しかし、節約の仕方を間違えれば、施工業者の手抜き工事に繋がります。
ブロック塀の手抜き工事の場合、塀の倒壊により人を巻き込んだ重大な事故になることもあります。
確かに悪質な施工業者も存在しますが、熱心に情熱をもって作業をしてくれる優良業者も少なからず存在します。
優良業者の場合、まずは、お客様の立場にたって、使い勝手や利便性などの説明があります。
また、どのような工事にもメリットとデメリットがあるのできちんと説明してくれるのが優良業者です。
ここで学んだことを参考にしていただき、そのような優良業者に出会い適正なブロック塀工事が行えることができれば幸いです。