これから外構工事を予定している人にとって避けたいのは、工事をめぐるトラブルではないでしょうか。
「外構の仕上がりが悪かったらどうしよう」「工事の過程で問題が生じたらどう対処したらいいのだろうか」「法外な料金を請求されたら?」など、外構工事に関する悩みは尽きなません。特に、間違った業者選びはトラブルに発展しやすいため注意が必要です。
そこで本記事では、外構工事で起こりやすいトラブル事例とともに、解決策や業者選びのポイントについてご紹介します。
目次
1.外構工事とは?
外構工事とは、住宅などの敷地まわりや駐車スペースの整備に必要な作業のことです。主な外構工事の種類には、以下のものがあります。
・敷地まわり:ブロック塀、フェンス、生け垣など
・駐車スペース:カーポート、ガレージなど
・敷地入口:門扉、門柱など
・玄関周辺:石畳、コンクリート、砂利など
・庭:芝生・花壇、階段など
・その他のスペース:倉庫、物置など
外構工事業者は、依頼主の要望をもとに外構を設計し工事を行います。
2.よくある外構工事のトラブル
業者との間で外構工事をめぐるトラブルが発生することも少なくありません。発生しやすいトラブルについて、ご紹介していきます。
2-1.業者が追加料金を請求してきた
ほとんどのケースでは、外構工事を始める前に業者から見積もりを取り寄せ、金額や工事内容に納得したうえで契約、着工へと進みます。
依頼主が着工後追加工事を要求するなどの例外を除けば、通常は見積もりに掲載されている料金内で工事は終わります。ところが、中には工事が始まってから「◯◯を取り除く必要が発生した」「■■よりも、△△にした方がいい」などと言い、追加料金を上乗せしてくる業者もいます。
「結局見積もりの何倍もの料金を請求された」というふうに、トラブルに発展するケースも珍しくありません。
2-2.業者が原因で工期が遅れた
外構工事は外での作業となるため、天候の悪化などによって予定していた工期よりも後れてしまうのは、仕方のないことです。
しかし、業者の対応によって工期が大幅にずれてしまうケースもあるのです。例えば、「約束の日に業者が現場に来ない」「終了予定時間前に引き上げてしまう」など。中には、契約後音信不通になるといった悪質なケースも発生しています。
・参照:工期内に完了しなかった外構工事等の解約に関する紛争|独立行政法人国民生活センター
工期が後れると貸駐車場の延長をしたり、近隣住民に迷惑がかかったりするなど複数のトラブルを抱えるおそれがあります。
2-3.イメージとはかけ離れた仕上がりになった
外構工事で、「頭の中に描いていたイメージとは異なった仕上がりに納得できない」といった話を聞いたことはないでしょうか。また、「雑な仕上がりで不満」といった苦情もよくあります。
特にトラブルに発展するのは、業者が依頼主側の要望を無視したり、手抜きをしたりした場合です。一度完成したものを壊してやり直すことは時間的にも経済的にも負担が大きく、深刻なトラブルに発展しやすいでしょう。
2-4.完成後の修理に応じてもらえなかった
外構工事を取り扱う業者の中には、アフターサービスを提供していない、またはアフターサービスの体制が整っていないところもあります。そうすると、工事直後に欠陥が見つかったとしても、追加料金を支払わなければ補修を断られてしまう可能性が高くなります。
3.外構工事は近所とのトラブルに発展することもある
外構工事のトラブルは、依頼主と業者間だけにとどまらず、時には近隣住民を巻き込んだトラブルに発展してしまうこともあります。
近所トラブルが発生する要因を以下にご紹介します。
3-1.騒音
外構工事で発生した騒音によって、近所の方が生活に支障をきたすおそれがあります。外構工事は通常日中に行われます。
会社勤めなどでその時間帯は家を空けることの多い人であれば、騒音は苦にはならないです。けれども、例えば近所に赤ちゃんがいたり夜勤で昼間に睡眠をとっている人がいたりする場合は、騒音がトラブルに発展するおそれがあります。
騒音をストレスと感じている近所の方から、「工事の音がうるさくて眠れない」などの苦情がくる恐れがあります。
3-2.ホコリ
外構工事では、ショベルカーで土を掘り返したり、粉砕機でコンクリートを砕石したりする作業が多々あります。その際ホコリが舞い上がりますが、舞い上がるホコリの量が多い場合は、「洗濯物が干せない」「窓を開けられない」といった近所の方からのクレームが発生する恐れがあります。
3-3.業者の態度
優良な外構工事業者は、工事をする際に工事の内容だけでなく、近隣住民に配慮して行動します。ところが、中には隣家の駐車場の出入口付近に重機を停めたり、ゴミをポイ捨てしたりするなど、マナーを無視する業者もいるため注意が必要です。
行き過ぎたマナーの悪さは近所トラブルに発展しやすく、その業者に工事を依頼した依頼主は、対応に追われることになります。
4.外構工事のトラブルを避けるための具体策
外構工事をめぐるトラブルが発生すると、解決するまでに時間とコストがかかりがちです。
トラブル発生を避けるためにも、事前に対策を講じましょう。具体策を以下にご紹介します。
4-1.要望は具体的に伝える
外構工事の仕上がりに対してギャップを感じるのは、業者との間でイメージの共有が不十分であると考えられます。
業者に外構工事を依頼する前に、外構工事のイメージや内容を明確にしておくことをおすすめします。その際画像やイラストを使うと、こちらが描いているイメージを伝えやすいでしょう。
画像がないという場合は、「おしゃれな感じで」ではなく「全体的に△△のようなイメージで。素材は◯◯で、色は■■を使う」というふうに、誰が聞いても同じものを想像できるような言葉で伝えることがポイントです。
4-2.業者と打ち合わせを重ねる
工事前に業者と打ち合わせを重ねることによって、業者とより深く工事内容について話し合えるようになります。
外構工事のイメージの他に、工期やおおよその費用、工事の時間帯、駐車場の確保など詳細を確認し合うことで、トラブルは生じにくくなるなります。
可能であれば、打ち合わせの内容をメモしたり録音したりしましょう。後になって確認する必要が出てきた時に、役立ちます。
4-3.進捗状況などを定期的に確認する
定期的に工事現場に訪れることで、外構工事が具体的にどのように進んでいるのかを把握しやすくなります。
できるだけ進捗状況を正確に把握するためにも、図面や計画表を見ながら、担当者に確認をとりしましょう。
工事現場では、進捗状況を確認するだけでなく、変更や疑問があればその場で話し合うことも可能です。
4-4.近所へのあいさつ回りを済ませておく
事前に外構工事を近所の方に伝えておくと、トラブルを避けやすくなります。あいさつ回りは通常外構工事業者が行いますが、依頼主もあいさつ回りをして近所の方と言葉を交わすことで、相手の心象はよりアップします。
あいさつ回りで伝えることは、工事の内容と工期、工事の時間帯、依頼主の連絡先などです。その際「工事中はご迷惑をおかけします」といった言葉を添えて、こちらの気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。
5.外構工事のトラブルが発生した時の対処法
外構工事のトラブルが発生した時は焦ってしまうかもしれませんが、まずは落ち着き冷静になって事態に対応することが賢明です。
外構工事のトラブルが発生した時の対処法を以下にご紹介します。
5-1.契約書や見積もりを確認する
仕上がりに納得できないなど業者の仕事に不満がある場合は、外構工事開始前に業者と交わした契約書の内容を確認してみましょう。
見積もりには、工事に必要な建材の数量や値段、工事内容などが記載されています。契約書とあわせて確認することで、業者が契約したとおりに作業を行ったかどうかが明らかになるでしょう。業者の仕事が契約内容を満たしていないのであれば、無料で補修を受けられる可能性が高まります。
5-2.担当者に相談する
「現場責任者に説明しても、らちが明かない」という場合は、外構工事を依頼した時の担当者に相談しましょう。
担当者は工事の相談から内容を把握しているため、双方が納得できるような解決策を得やすくなります。
相談する際は、話を伝えやすくするために困っている内容を時系列でまとめ、具体的な言葉を使いながら説明することがポイントです。不満やネガティブな感情をむき出しにせずに、冷静に話し合うことも忘れないようにしましょう。
5-3.専門機関や専門家に相談する
トラブルについて当事者同士で話をしても平行線のまま、ということも珍しくありません。解決が難しいと判断した場合は、「消費者生活センター」または「住まいるダイヤル」を利用するのが無難です。
①消費者生活センター:地方自治体が運営している相談機関。商品やサービスをめぐるトラブルを相談できる
②住まいるダイヤル:国土交通大臣指定の(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営している電話相談サービス。ナビダイヤルの利用は有料(携帯電話は、99円/3分。固定電話は9.35円/3分。いずれも税込価格)
上記の相談機関を利用しても解決しないという場合は、弁護士に相談することも視野に入れましょう。その場合は、リフォームや建築トラブルに強みを持つ弁護士事務所を選ぶのが賢明です。
6.優良な外構工事業者を選びトラブルを避けよう
外構工事でトラブルを避けるために最も大切なのは、優良な外構工事業者を選ぶことです。
優良な外構工事業者は、依頼主の要望にできるだけそってていねいに作業することを心がけますし、近隣住民に迷惑がかからないように行動する傾向にあります。
外構工事業者の選び方のポイントを、以下にご紹介します。
6-1.工事内容とマッチしている
外構工事業者には、それぞれ得意または不得意分野があります。得意分野であるということは、必然的に施工実績が豊富にあると考えておく必要があります。
逆に不得意な分野は経験が少ないため、料金が高い、話がスムーズに進まない、仕上がりに雑な点が目立つなどの問題が生じがちです。
依頼したい工事内容を得意とする業者を選ぶことで、これらの問題を避けることが期待できます。
6-2.気軽に相談しやすい
納得のいく外構に仕上げるには、必要な情報を業者と共有する必要があります。打ち合わせを重ねることによって、依頼主と業者が持つ仕上がりのイメージのギャップが埋まり、「こんな仕上がりになるとは思っていなかった」という結果を避けられます。
気軽に相談できる業者であるかどうかは、問い合わせに対するレスポンスが早い、アクセスしやすい場所に店舗を構えているなどやり取りしやすい環境が整っているかどうかなどを確認します。
6-3.工事に必要な資格や保険に加入している
資格や保険は、業者の信頼度を判断する材料の一つです。できるだけ外構工事に関連した資格(土木施工管理技士、造園施工管理技士など)を取得している人のいる業者を選びましょう。
建築工事保険など工事に関連した保険に加入している業者であれば、アクシデントが発生した時に補償を受けられる可能性が高いでしょう。
6-4.アフターサービスが手厚い
丁寧に施工したとしても、施工直後に不具合が生じる場合があります。そうした事態にも対応できるように、多くの外構工事業者では一定の期間内の修繕を無料で行うアフターサービスを実施しています。
アフターサービスがない場合は、施工後の補修に対応してもらえない、または有料で補修を受けなければならない場合がほとんどです。想定外の出費を避けるためにも、手厚いアフターサービスが受けられるところを選ぶ必要があります。
6-5.利用者の評判が良い
その外構工事業者について対応や仕事ぶりを知るには、実際に利用した人の口コミが役立ちます。
実際に利用した人の口コミには、こちらが知りたいと考えているリアルな情報が記載されている場合が多く、依頼を検討する際に便利です。業者を利用した知り合いに聞いたり、Google Mapsなどインターネット上に投稿された口コミをチェックしたりして情報を収集しましょう。
まとめ.
外構工事をめぐるトラブル事例から対策、さらに優良な外構工事業者を選ぶポイントまでご紹介しました。
ご紹介したトラブル事例は、以下のとおりです。
①業者が追加料金を請求してきた
②業者が原因で工期が遅れた
③イメージとはかけ離れた仕上がりになった
④完成後の修理に応じてもらえなかった
外構工事のトラブルは、上記のように依頼主と業者間に発生しますが、時には近隣住民を巻き込んでしまうこともあります。こうしたトラブルを避けるためには、工事前のあいさつ回りなど事前の対応策が必要です。
トラブルを避けるために最も大切なことは、優良な外構工事業者を選ぶこと。業者選びを間違えなければ、トラブルが発生することなく外構工事が完了する可能性が高くなります。
優良な外構工事業者を選ぶポイントは、以下の4つです。
①工事内容とマッチしている
②気軽に相談しやすい
③工事に必要な資格や保険に加入している
④アフターサービスが手厚い
外構工事をご検討されている皆様が、失敗やトラブルが起きることなく、理想の外構を手に入れて頂くために本記事を参考して頂ければ幸いです。
筆者:外構工事職人歴20年 石川公宣