「フェンスは基礎なしで設置できる」という手軽さが注目され、コスト削減や工期短縮を目的に選ぶ人が増えています。フェンス基礎なしはDIY愛好者に人気ですが、安全性や耐久性を確保するには注意が必要です。
本記事では、地中杭タイプや置き型タイプなど基礎なしフェンスの種類や特徴、メリット・デメリット、具体的な施工ポイントなどを解説します。
全体像を整理して自分に合った方法を選ぶための判断材料を提供します。プロに相談すべきケースや費用の目安も詳しく紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。
1.フェンス基礎なしとは?

フェンスの設置といえば、業者による基礎工事を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、フェンスは基礎なしでも設置できます。地面を大規模に掘削したり、コンクリートで基礎を作らずに設置可能です。これがフェンス基礎なしです。
独立基礎や簡易固定具を利用することで、外構工事の費用を抑えられるだけでなく、DIYでも設置できます。メッシュフェンスやウッドフェンスなどの種類に対応しており、庭や目隠し用途にも活用されています。
一方で強度や耐久性などの課題もあるため、用途や設置場所に合わせた選択が重要です。次に、フェンス基礎なしの具体的な種類を解説します。
1-1.基礎なしフェンスの種類
基礎なしフェンスの種類とその特徴について解説していきます。
1-1-1.地中杭タイプ
地中杭タイプは、フェンス基礎なしの代表格です。柱部分を地中に直接打ち込むことで固定するため、コンクリート基礎をつくる必要がありません。地中杭を使うことで、施工費用を抑えつつ工事をスピーディーに進められます。軽量なフェンスや仮設に適しており、メッシュフェンスやウッドフェンスなど、さまざまなフェンスに対応可能です。
DIYでも比較的簡単に設置できる一方で、地盤の強度や根入れの深さによっては強度が不足するリスクがあります。安全確保のため、設置場所の地盤条件を事前に確認することが重要です。
1-1-2.置き型タイプ
置き型タイプは、地面にフェンスを乗せるだけの簡易設置が可能なフェンス基礎なしの一種です。施工が不要でDIY初心者でも扱いやすく、費用を最小限に抑えられる点が魅力です。メッシュフェンスやウッドフェンスなど種類も多く、庭や外構の仕切りとしても人気があります。
また、移動が可能なため、短期間だけ利用したい場合やレイアウトを変えたい場合にも適しています。ただし、強度は低いため、風が強い場所では安全性に注意が必要です。必要に応じて業者に相談すると安心です。
1-2.基礎ブロックのあるフェンスとの違い
基礎ブロックのあるフェンスと基礎なしフェンスの違いは、コスト、耐久性、施工難易度の3つに大別できます。
「基礎あり」はコンクリートやモルタルで支柱を固定し、強度が高く耐久性に優れる一方、工事費用が高額です。
基礎なしフェンスは設置が簡単でDIYにも適し、費用を抑えられますが、長期的な耐久性や風への耐性に不安があります。特に、高さや風圧が影響する場所では、基礎ありが適しています。利用目的や設置場所に応じた選択が重要です。
2.フェンス基礎なしのメリット・デメリット

フェンス基礎なしには、施工費用の節約や設置の手軽さというメリットがある一方で、耐久性や安全面の不安がデメリットとなります。失敗を避けるためには、これらのメリット・デメリットをしっかり把握し、適切な判断をすることが重要です。
2-1.基礎なしフェンスのメリット
フェンス基礎なしは、基礎工事を省略できるため、コスト削減と作業効率の向上が期待できます。
2-1-1.費用が抑えられる
フェンス基礎なしは構造がシンプルなため、設置費用を大幅に抑えることが可能です。例えば、独立基礎のように地面を掘り起こしてモルタルやコンクリートを使用する複雑な施工が不要です。
杭を打ち込むだけで支柱を立てる方法や、庭に置くだけのウッドフェンスなど簡易な「DIYタイプ」のフェンスも多く、こうした種類は工事を省けるため費用が最も安くなります。外構や目隠し用途にも対応しており、サイズや大きさに応じて選べるのも魅力です。
2-1-2.時間が短縮できる
フェンス基礎なしは基礎工事が不要なため、施工期間を大幅に短縮できます。独立基礎やモルタルを使う場合と異なり、庭や外構に合わせた設置が最短1〜3日で完了するのが特徴です。特に置くだけの簡易フェンスは、工事を一切行わないため、DIYで当日中に仕上げることも可能です。
地中杭を使用するタイプでも、支柱を土に刺すだけのシンプルな作業で対応でき、時間を短縮できます。それでも、メッシュフェンスやウッドフェンスなど、種類やサイズを選べる点も魅力です。
2-1-3.DIY初心者でも取り組みやすい
フェンス基礎なしは、DIY初心者でも気軽に挑戦できる点が大きな魅力です。庭や外構に設置するフェンスというと大がかりな作業を連想しますが、地面に置くだけで完成する簡易タイプもあり、特別なスキルは不要です。
賃貸住宅で期間限定の目隠しフェンスを検討している人にも適しています。費用を抑えつつ、モルタルやコンクリートを使わずに設置できるため取り入れやすいです。
2-2.基礎なしフェンスのデメリット
フェンス基礎なしは、強度や安全面でのリスクが少なくないため、耐久性や使用環境に応じた制限を把握することが大切です。
2-2-1.強度や安定性が劣る
フェンス基礎なしは設置が簡単な反面、強度や安定性に劣る場合があります。特に人通りが多い場所に設置されたフェンスは、経年劣化による倒壊のリスクが大きくなります。重いウッドフェンスや目隠し目的の大きなフェンスは、風の影響を受けやすく、外構環境に応じた慎重な判断が求められます。
モルタルやコンクリートを使わないため施工費用を抑えられる一方、定期的なメンテナンスやサイズの選定が必須です。設置場所や種類に合った対応を心がけましょう。
2-2-2.サイズ(高さ)の制限がある
フェンス基礎なしは強度や安定性が低いため、設置できるサイズや高さに制限があります。特に高さが2mを超える大きなフェンスや、重いウッドフェンスの場合、基礎なしでは重量に耐えられず、倒壊の危険性が高まります。
庭や外構で高い目隠しフェンスを検討している場合には、基礎なしは不向きな場合が多いです。安定性が求められるフェンスでは、モルタルやコンクリートを使った基礎ありの設置方法を選ぶことが推奨されます。
2-2-3.環境による制約を受ける
フェンス基礎なしは地盤の状況に左右されるため、設置場所の地質に注意が必要です。地盤が軟弱な場所では、支柱が安定せず設置が困難になる場合があります。特に庭や外構で緩い地盤にフェンスを立てる際は、ブロックやモルタルでの補強が必要となることもあります。
しっかりと固定したい場合には、独立基礎を含む工事が必要になる可能性も否定できません。適切な設置が分からない場合は、専門業者に問い合わせや相談を行うことをおすすめします。
3.フェンス基礎なしをDIYで設置する

フェンス基礎なしはDIYで手軽に設置可能ですが、成功にはコツや注意点の理解が欠かせません。ここでは、基礎なしフェンスの基本的な設置手順や注意点、庭や外構での活用例を詳しく解説します。
3-1.DIY基本ステップを解説
地中杭タイプの基礎なしフェンスをDIYで設置する際は、まず必要な道具を準備します。杭打ち用のハンマーや水平器、スコップ、メジャーが欠かせません。
次に、設置場所の地盤を確認します。地面が平らで硬いことが理想ですが、軟弱地盤では補強が必要です。
その後、杭を一定の深さに打ち込むか、置き型の場合は基礎台座を水平に配置します。最後にフェンスを取り付けて、パーツをしっかり固定します。特に「目隠し」や「外構」用途で使う場合、フェンスのサイズや設置環境に合った方法を選ぶことが大切です。DIY初心者でも基本を守れば安心して取り組めます。
➤フェンス基礎なし(地中杭タイプ)のDIY基本4ステップ
- 必要な道具と材料を準備する
- 地盤を確認する
- 杭を打ち込む/基礎台座を設置する
- フェンスを取り付ける
3-2.DIY設置時の注意点
フェンス基礎なしをDIYで設置する際は、事前に地盤の状態を確認し、平坦かつ安定した地面で作業を行うことが重要です。フェンスの高さや強度に応じた施工が求められます。また、強風や傾きによる事故を防ぐため、補強をしっかりと行いましょう。
特に木材を使用する場合、腐りにくい素材を選ぶことで長期間使用できます。周辺の環境に注意を払い、風の流れやフェンス倒壊時のリスクを考慮することも大切です。お隣の建物などに被害が及ばない配置を心がけましょう。万が一、不安な点がある場合やリスクが高い場合は、専門業者に相談すると安心です。
3-3.基礎なしフェンスの活用例
フェンス基礎なしの活用方法にはさまざまな用途があります。隣接する敷地との境界を明確にするための境界フェンスとして活用したり、目隠しや風よけとして、プライバシー保護フェンスとしての役割も果たします。
また、工事現場などで短期間の使用を目的とした仮設フェンスや、ペットの遊び場として庭の入り口に設置し、ペットが自由に遊べるスペースを確保できます。
- 境界フェンス
- プライバシー保護フェンス
- 仮設フェンス
- ペット用フェンス
いずれも「フェンス基礎なし」による簡単な設置で実現でき、DIYでも手軽に取り組むことができます。
4.フェンス基礎なしは外構のプロに相談したほうがいい?

フェンス基礎なしを選択する場合でも、状況によってはプロに相談・依頼をした方がいい場合もあります。経験豊富なプロの目で見てもらうことで、的確なアドバイスがもらえます。ここでは、プロに依頼する場合の費用や業者選びのポイントを解説します。
4-1.外構のプロに依頼する場合の費用
基礎なしフェンスをプロに依頼した場合の費用は、フェンスの種類や規模、地域により異なります。地中杭タイプのフェンスは、1m当たり本体価格が1〜5万円、施工費が1m当たり約1〜3万円となり、合計で2〜8万円程度です。
例えば、5mの設置では10〜40万円程度になります。一方、置き型タイプのフェンスは、本体価格が5,000〜3万円で、施工費は不要となります。業者に依頼すると、材料費に加え、施工費が発生することを覚えておくと良いでしょう。

4-2.相談のポイント
地盤の状態や適切な施工方法について詳しく話し合うことが必要です。特に地盤の強度や過去の事例については、しっかりと確認しましょう。
ニーズと環境に適したフェンスの種類、基礎が必要かどうかも含め、設置後の安定性や長期的な耐久性を意識した質問をすることが大切です。コスト面についても事前に確認することで、予算に応じた最適な提案を受けられます。
4-3.業者選びのポイント
フェンス基礎なしの工事は比較的簡単ですが、依頼する業者はどこを選んでも同じではありません。ニーズと予算に見合った工事品質を確保するため、以下のポイントに注意して信頼できる業者を選択しましょう。
4-3-1.地域密着型で活動しているか
地域に根ざした業者は、その土地特有の地盤や気候条件に精通しており、それに応じた施工方法や材料を選べます。特に地盤の強度や風の影響を考慮した設置は、フェンスの安定性を確保する上で欠かせません。
さらに、移動距離が短いため、問い合わせから施工までの対応が迅速で、設置後のメンテナンスやトラブル対応もスムーズです。地域密着型の業者に依頼することが賢明な選択と言えるでしょう。
4-3-2.フェンスの施工実績が多いか
フェンスの施工実績が豊富な業者を選ぶことは、フェンス基礎なしの設置において重要です。施工実績が多い業者は、多様な状況に対応できる施工力を備えている可能性が高く、経験を活かした提案や作業が期待できます。
公式サイトやパンフレットで過去の事例を確認すれば、手掛けたフェンスの種類や工事の規模、得意分野などが分かります。自分の外構工事に適した業者かを見極める手助けとなるでしょう。安心して依頼するために欠かせないチェックポイントです。
4-3-3.口コミ評価が良いか
業者選びでは、口コミ評判を確認することも大切です。実際にフェンス基礎なしの設置を依頼したユーザーの感想を通じて、業者の施工力や対応力を把握できます。口コミは、公式サイトやSNS、口コミサイトなどで確認可能です。
ただし、全ての口コミが客観的とは限りません。同じ意見が複数見られる場合は、その評価が信頼できる可能性が高いです。口コミを判断材料として利用しつつ、自分の外構計画に適した業者を選ぶ参考にすると良いでしょう。
5.設置後の注意点
フェンス基礎なしの設置後は、以下の点に注意しましょう。
5-1.傾きや緩みを見逃さない
フェンスの傾きやネジの緩みは放置すると、ぐらつきや破損に繋がる恐れがあります。定期的に横から軽く力を加え、安定性を確認しましょう。緩みが見つかった場合は早めの補修が必要です。
適切なメンテナンスによって、安全性を保ち、長期間快適に使用できます。庭や外構の美観だけでなく、安全性維持のための大切なステップです。手入れを通じてフェンス基礎なしのメリットを最大限に活かしましょう。
5-2.地盤トラブルを早期発見
地盤のトラブルはフェンス基礎なしの設置後に注意すべき重要なポイントです。特に、地盤沈下や軟弱化はフェンスの傾きや構造の劣化を招きやすいです。地震や台風などの自然災害の後には、フェンス周辺の地盤を点検し、不均等な圧力がかかっていないか確認しましょう。
過去に地盤沈下が発生している地域では、住まいの周囲でも同様の問題が起こる可能性があります。早期に異常を発見することで、補修や補強が迅速に行えます。
まとめ.
フェンス基礎なしは、コストを抑えつつ手軽に設置できる点が大きなメリットです。
ただし、地盤の状態や周辺環境に合わせた製品選びや設置が求められます。
メリットとデメリットを整理し、自宅の庭や外構に適しているか確認することが大切です。
DIYで設置する際は、地盤や設置方法を事前に理解する必要があります。
安全性や耐久性を重視する場合は、外構工事のプロに相談することで長く安心して使用できるフェンスを実現できるでしょう。
筆者:外構工事職人歴20年・石川