外構を考える際は、デザインや利便性だけでなく防犯性も意識する必要があります。
自宅の防犯対策はできていても、外回りの防犯対策に不安がある、今後さらに防犯性を高めたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、外構や住宅の外回りの防犯対策としてできることを10個紹介します。すぐにできる防犯対策もあるので、外回りの防犯性を意識する際の参考にしてみてください。
1.住宅の外回りの防犯対策を怠るとどうなる?
住宅の防犯性は高くても、外回りの防犯対策を怠ることで思わぬ事件に巻き込まれる可能性があります。
外回りの防犯対策を怠ることで起こりうるトラブルを見てみましょう。
1-1.空き巣被害に遭う
外回りの防犯対策を怠ることで、空き巣被害に遭う可能性が高まります。空き巣の技術は日々進化しており、ドアや窓をきちんと施錠していても被害を免れないこともあります。
空き巣はドアや窓の施錠よりも、外回りから侵入しやすそうか、換金性の高いものを置いているかなどを判断します。また、自宅にいない時間帯などもリサーチし、その時間を狙って行動を起こします。
手入れされていない外構や、外から自宅の内部が丸見えの状態だったりすると空き巣被害に遭いやすくなります。開放的な外構は明るくおしゃれな雰囲気になりますが、空き巣から狙われる可能性も考慮しましょう。
1-2.不審者が侵入する
外回り、外構に隠れやすい場所が多いと、不審者が侵入する可能性が高まります。
不審者の侵入に気づかず自宅に戻って強盗被害に遭うなどの可能性も考えられます。また、不審者が隠れやすいだけでなく不審者が侵入しやすい外構も危険です。
門がない、常にガレージのシャッターを開いているなどは不審者が入りやすい状態であることを理解しておきましょう。自分の出入りが多少不便になっても、防犯性を考えるのであれば外回りの施錠も意識することが大切です。
1-3.盗撮される
外回りの防犯対策が甘いと、盗撮される可能性もあります。洗濯物などから住んでいる人を特定され、日中でも夜間でも自宅で過ごしている様子を盗撮されるかもしれません。
洗濯物は大通りに面した場所に干さないといった対策のほか、外部からの視線をさえぎるよう設計されたカーテンなども取り入れましょう。
女性はもちろん、小さい子どもなども被害に遭う可能性があるため、外部からの視線はシャットアウトできるよう外構や設備などで工夫する必要があります。
1-4.プライバシーが守られない
外回りの防犯対策は、家族のプライバシーを守る役割も果たしています。カーテンが開けっ放しだったり話している声が聞こえやすかったりすると、自宅で家族が何をしているかが外部に漏れてしまいます。
空き巣や不審者に侵入されやすくなるといったトラブルはもちろん、近隣の住民に会話の内容が聞かれるなどの可能性も考えられます。
それだけなら問題ないと考える方もいるかもしれませんが、人の噂しているのを聞きつけて空き巣や不審者がその家を狙わないとも限りません。常日頃から、家族のプライバシーを守る方法を取り入れていくことが大切です。
2.外構を考える際に意識したい外回りの防犯対策7選
外構デザインを考える際に意識したい、外回りの防犯対策を5つ紹介します。
これから外構を設計する方やデザイン会社に依頼する方などは、デザイン性や利便性のほかに防犯性も意識したうえで設計を考えてみてくださいね。
2-1.外構はシンプルなデザインにする
外構はシンプルなデザインにしたほうが、不審者の侵入を防ぎやすくなります。
物陰が少なく、人が隠れる場所がないようなデザインを意識しましょう。緑がある外構は素敵ですが、植栽が多すぎると不審者にとっては人が隠れられる場所と判断されてしまいます。
ガーデニング用品や子どもの遊具などを収納できる物置やガレージなども、影になる可能性があります。自宅から外構を見て、死角がないようにデザインや動線を考えましょう。
2-2.外壁は視界が開けるフェンスを選ぶ
外部からの視線をさえぎってくれる外壁は、外構の印象を大きく左右する設備です。
プライバシーを守るためにブロック塀などで完全のシャットアウトする方法もありますが、外部から完全に内部が見えないようにすると、不審者が隠れやすい、自宅でトラブルが起きたときに周囲に気づいてもらいにくいなどの弊害もあります。
防犯性を意識するなら、ある程度解放感も確保できるフェンスがおすすめです。フェンスはある程度視線をさえぎることができるものの、外部から完全に遮断されることはありません。
ブロック塀よりもデザイン性が高くおしゃれなフェンスも多いので、見た目にもこだわりたい方にもおすすめです。フェンスとブロック塀を組み合わせるなど、よりおしゃれな外壁に仕上げることもできます。
2-3.侵入しにくいフェンスもおすすめ
フェンスは一般的な外壁と違って外構や自宅内部が外部から見えやすいというデメリットがありますが、侵入しにくいフェンスを選ぶことで不審者の侵入を防ぎやすくなります。
高さのあるフェンスにする、先がとがった剣先フェンスにするなどの対策を取りましょう。とくに解放感を意識してメッシュ状のフェンスを選ぶ場合は、侵入しにくいものを選ぶことをおすすめします。
ブロック塀などと比べると費用も抑えられるため、後付けで外壁を設置したい方にもフェンスは有効でしょう。
フェンスを設置しても門などがないと侵入しやすくなってしまうため、外構には門やシャッターなどの設置も忘れないようにしてください。
2-4.砂利を設置して音が出るようにする
外構の地面部分を砂利にすることで、防犯対策ができます。砂利は踏みしめるたびに音が出るので、不審者の侵入に気づきやすいです。
また、不審者も最初から砂利が敷き詰められている外構の家はリスクが高いため避ける傾向にあるといわれています。
砂利は小さい子どもや高齢者がつまづきやすい、ベビーカーや車いすがとおりにくいというデメリットもあるので、アプローチ部分はコンクリートにするなどの工夫もおすすめです。
2-5.二か所以上施錠できるドアを選ぶ
ドアを選ぶ際は、二か所以上施錠できるタイプにするのがおすすめです。施錠方法が複雑なほど侵入されにくく、空き巣被害を防ぎやすくなります。
最近はスマホで操作、管理ができるタイプのドアも登場しています。何度も鍵をさしたり探したりするのが面倒という方は、スマートキー対応のドアを選ぶこともおすすめです。
実際に防犯性が高まるだけでなく、数か所に鍵が必要なドアというだけで空き巣は「この家は防犯意識が高そうだから狙わないでおこう」と避けられる可能性もあります。
2-6.アプローチは曲線もおすすめ
外構デザインはシンプルなものがおすすめですが、アプローチ部分は曲線状にするのがおすすめです。
アプローチとは外構から玄関までの道のような部分のことで、通常はとおりやすいようにコンクリートや木材などで整備されています。門からまっすぐ玄関に続くアプローチは便利ですが、空き巣や不審者にとっては侵入しやすい印象をもたらしてしまいます。
アプローチは曲線状にすることで、心理的に「玄関まで遠い」「入りにくい」という印象を与えることが可能です。曲線状のアプローチは外構を広く見せる効果もあるため、外構が狭くてデザインに困っているという方はぜひアプローチのデザインも検討してみてください。
2-7.カーポートの位置に注意する
車を雨風や紫外線から守ってくれるカーポートですが、設置する位置には注意しましょう。カーポートの位置が二階のバルコニーに近いと、そこから不審者が侵入する可能性があります。
カーポートは車や周辺に置いているもの、外壁などを使って屋根に登りやすく、また一階は施錠していても二階は施錠していない人も多いため、空き巣のターゲットにされやすいです。
カーポートを設置する際は二階のバルコニーからの距離を遠ざける、壁に取り付けるタイプのカーポートは避けるなどの対策をしておきましょう。
3.自分でできる外回りの防犯対策6選
すでに外構ができあがっている場合、取り壊して新たに設置するのは大変です。
業者に工事を依頼しなくても自分でできる防犯対策もあるので、外回りの防犯性を高めたい方はぜひ以下の点も意識してみてください。
3-1.庭木や植栽の手入れを怠らない
外構で庭木や植栽を育てている方は、手入れを怠らないようにしましょう。
手入れを怠って草木が伸び放題になっていると、不審者が侵入、潜伏しやすくなってしまいます。また、手入れされていない植栽などはその家の持ち主の防犯意識が低いという印象を与えてしまいます。
その結果空き巣や不審者にも狙われやすくなります。ドアや窓の施錠をしていても、空き巣の技術によっては侵入される可能性があるため、庭木や植栽は常に手入れしてきれいな状態、侵入者が隠れにくい状態を維持しましょう。
3-2.人感ライトなどを設置する
夜間でも外構全体を明るく照らせるよう、人感ライトなどを設置しましょう。明るい場所では、人は犯罪を起こしにくいという研究データがあります。
また、常にライトアップされているよりも、人の動きを感知してライトが点灯するタイプのほうが不審者が警戒しやすくなり、侵入を防ぎやすくなるでしょう。
自分が自宅で過ごしているときも、夜間にライトが点灯することで警戒しやすくなり、万が一侵入者を目撃した際は速やかに通報などの対応ができます。
3-3.防犯カメラを設置する
防犯性をより高めたい場合は監視カメラを設置することもおすすめです。周辺で空き巣被害が相次いでいる、治安があまりよくない地域に住んでいるという方は、監視カメラの設置も視野に入れましょう。
監視カメラにもさまざまな種類があり、常に録画し続けるものではなく異変があったときに録画機能が起動するものもあります。消費する電力を最小限に抑えられる点でも、必要なときだけ起動するカメラはおすすめです。
また、実際に不審者を録画できるだけでなく、監視カメラがあること事態が抑止力にもなってくれます。家庭用の監視カメラはホームセンターでも購入でき、設置も簡単なので、不安な方は防犯カメラの設置も考えてみてください。
3-4.窓ガラスに防犯フィルムを貼る
ホームセンターなどで販売されている防犯フィルムを窓ガラスに貼っておくこともおすすめです。
窓をきちんと施錠していても、特殊な機材を使って窓ガラス事態を割って侵入されたという被害もあります。
防犯フィルムは窓ガラスを割れにくくしてくれるため、このような空き巣の被害から自宅を守ることが可能です。
また、半透明になっているものであれば外から自宅の様子が見えにくくなり、プライバシーを守ることも可能です。防犯フィルムを貼るだけなら簡単に防犯対策ができるので、空き巣被害対策の一つとしてぜひ取り入れてみてください。
3-5.常に施錠する習慣をつける
当然のことではありますが、ドアや窓が施錠されていないと空き巣や不審者に簡単に侵入されてしまいます。
地方ではいまだにドアや窓に鍵をかける習慣がないところも多いですが、防犯対策のためには常に施錠する習慣をつけることが大切です。
自分だけでなく家族全員に施錠する習慣をつけるよう、声かけも忘れないようにしてください。スマートキーなどでは、ドアを閉めれば自動で鍵をかけてくれるものもあります。
3-6.近隣とコミュニケーションを取る
常日頃から近隣の住民とコミュニケーションを取ることも、防犯対策につながります。近隣と親しくしていると、不審者が侵入したときなどに自分が自宅にいなくても通報してくれたり、声かけをしてくれたりする可能性が高まります。
反対に日頃からあまりコミュニケーションを取っていないと、何をしている人なのか、どんな人が住んでいるのかわからない、などかえって不審に思われてしまうかもしれません。
近隣で起きている事件などの情報交換もできるので、簡単にでも日々あいさつなどでコミュニケーションを取ることを忘れないようにしましょう。
ただし、日中いない時間帯や長期間の不在を伝えると周囲に情報が伝わって空き巣被害に遭う可能性もあるので、情報は伝えすぎないよう適度な距離感を守ることも大切です。
まとめ.
自宅のなかでもまず不審者に見られやすい、外回りの防犯対策について解説しました。
自宅内の防犯対策をしていても、外回りに隙があると不審者のターゲットにされやすくなってしまいます。
外構をデザインする段階から防犯性を意識することが大切ですが、後からでも自分でできる防犯対策はたくさんあります。
本記事で紹介した方法も取り入れつつ、防犯性を高めつつ不審者からも近寄りにくい家を目指しましょう。
筆者:外構工事職人歴20年 石川公宣