新築外構工事において、家を囲うフェンスに悩むことは多いです。
種類や価格はもちろんですが、境界フェンスはどちらが設置するべきか、どこに設置するべきかという問題もあります。
このページでは、新築外構のフェンスの種類や工事費用の相場をはじめ、設置するうえで注意したいポイントについてまとめたいと思います。これを読んでいただくことで、適正価格でフェンス工事を叶えることはもちろん、ご近所との無益なトラブルを生まずに新生活をスタートさせることができると思います。
1.フェンス施工費用の相場
フェンスとは、家や敷地の囲いのことです。柵や塀、生け垣などいろいろな種類があります。昨今は、閉鎖的な塀ではなく、ある程度透過性のあるものが主流になっています。
隣接地との境界の区切り、道路との区別、敷地への侵入対策としていろいろなタイプのものがあります。
この項では、もっとも気になる施工費用の相場についてみていきましょう。相場を知ることは、適正な工事施工業者を選ぶうえで非常に重要です。ここでは、一般的な外構専門業者に依頼した場合の価格をご紹介します。ただし、フェンスを施工する長さや、敷地の条件、他の工事との兼ね合いによって一概には言えませんので、詳細は業者へ見積を取りご確認することをおすすめします。
1-1.フェンスを付ける場合の相場
一般的なフェンスは、コンクリートブロックや、表面に色や凹凸が付いた化粧ブロックの上に取り付けられます。地面から柱を立てる場合は、独立基礎ブロック、コンクリート地面などに支柱を立てることになります。
すでにコンクリートやブロックなど基礎となる下地がある場合、そこに支柱を立てるための穴を開けます。これをコア抜き工事といい、1カ所4千円前後が相場となります。すでにある基礎にフェンスを立てるだけなら、工事費込みでフェンスの本体・支柱・継手・キャップなどの定価合計くらいで施工されることが多いでしょう。
材料費の相場は、定価の35~45%オフの価格です。もっともシェアの高い、本体定価が5千円ほどのスチール製メッシュフェンスを、既にある下地に取り付けるだけなら2m(本体1枚分)あたり7~8千円程度になるでしょう。
しかし、新築外構の場合、下地がないことがほとんどなので、ブロックから施工しなくてはなりません。隣地との境界に施工する場合の多くは、ブロックを積んでその上に施工することになります。
基礎となるコンクリートをブロックより少し多めの幅で施工し、その上にブロックを積み、その上にフェンスを施工する形になります。これを2段積むとすると、30mの施工で20万円ほどになると思われます。上の画像のような「普通のコンクリートブロックに標準的な800mmの高さのスチール製のメッシュフェンス施工する」例だと、材料費と工事費を合わせて40~45万円程度が相場となるでしょう。
化粧ブロックや、見映えの良いアルミ形材や鋳物のフェンスなどにすると、さらに材料費が上がるぶん高くなります。
1-2.ブロック塀の相場
コンクリートブロックを積んで、ジョリパットというアクリル系の仕上げ材を塗ったりタイルを貼ったりする形の塀を作ろうと思うと、基礎に1mあたり4千円ほどかかり、ブロック積み工事に1㎡あたり6~7千円ほどは必要になるでしょう。あとはモルタル・タイルなどの材料費と施工費がかかってきます。
2段積みブロックの上にフェンスを取り付けるより工期も長く、人件費がかかるので割高になります。また、ブロックをそのため、境界部分は2段積みブロックにスチールメッシュフェンスなどのシンプルなものにして、道路から見える部分だけに施工する形が多いです。
ジョリパット仕上げで5mほどの施工でも、10万円前後はかかるとみておいた方がいいでしょう。
また、やわらかい印象の曲線フォルムにすると、さらに割高になります。ガラスブロックやアイアン飾りなどを塀のスリット部分に埋め込むと、開放感も出ておしゃれになりますが、こちらもそれらの材料費と手間の分費用がかかります。
通販などを利用して、業者仕入値より安めの材料を探すこともできます。業者によっては材料の一部を施主支給という形にしてくれることもありますので相談してみましょう。
1-3.枕木風の角材などをフェンス代わりにする場合
枕木風の角材を立ててフェンス代わりにしている、おしゃれな外構の家もよく見るようになりました。植栽と合わせることで、エクステリアを楽しみつつ、さりげない目隠しをする効果もあります。
画像引用元:LIXIL
本当の枕木は線路に使われるほど丈夫なものですが、やはり天然木なので重く、地震などの際に倒れる危険があります。また、腐朽や白蟻の心配が付きまといます。そのため、木調のラッピングが施された軽いアルミ製の角材を使うのが人気となっています。費用は一概に言えませんが、角柱タイプのものをを数本立てるだけなら、数万円程度で施工できることもあります。
上の画像のようなスクリーンタイプのものになると、1mほどの施工で10万円以上かかることが多いでしょう。
いずれにしても、はっきりとした価格の相場は施工面積や素材によって変わってきます。複数社から相見積もりを取るのが、適正な相場を把握するためには最適の方法でしょう。
2.フェンスの種類
フェンスにもさまざまな種類があります。フェンスには、ブロック塀やスクリーン型のものに比べ、以下のようなメリットが挙げられます。
- 比較的安価で施工できる
- ブロック塀に比べて工期が短い
- 軽いので地震などによる倒壊の心配が少ない
この項では、フェンスの種類と、その特徴についてご紹介します。うまく組み合わせることによって、予算内で機能性が高く、デザイン性も高いエクステリアが作れるかもしれません。
フェンスを選び方を以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧いただけますと幸いです。
2-1.もっとも安価なスチールメッシュフェンス
敷地の正面からみて、左右や裏側の境界に施されることが多いのがスチール製のメッシュフェンスです。目隠し効果はありませんが、もっともリーズナブルで、強くて軽いのがメリットです。風通しが良く光も遮らないため、境界を区切るという目的で設置するには最適のフェンスです。
サイズは本体の幅が約2mのことがほとんどで、10m施工するなら5枚必要だということになります。11mなどの場合は、6枚にし、1枚は現場で切断して施工されます。標準的な高さは80cmですが、60cmや100cm、120cmなどのサイズもあります。ホワイトやグレー、ブラックなどオーソドックスな色が中心です。
2-2.グレード高めの木調パネルフェンス
道路と敷地との区切りとしては、アルミ形材にラミネートを施した少しグレードの高いパネルフェンスが人気です。ある程度の目隠し効果があり、植栽の緑と合わせても見映えが良いということで、木調のパネルフェンスはとくによく選ばれています。
本物の木をフェンスなどのエクステリアに使用すると、色あせ、腐朽、シロアリなどさまざまな理由でメンテナンスが大変です。アルミ形材のラミネートフェンスなら、ほぼノーメンテナンスで20年ほど保つと言われています。角地などの接道面が多い敷地の家でよく使われています。
デメリットとしては、やはりメッシュ状のフェンスより高価であることが大きいでしょう。商品によっては、メッシュフェンスの10倍近い単価になることもあります。
しかし、YKKapでは、片面だけにラミネートを施されたものもあります。リーズナブルに外側だけの見映えを良くしたいばあいにはおススメです。
2-3.アイアンなどおしゃれなフェンス
アイアンなどの鋳物フェンスなら重厚感があり、デザイン性の高い外構になります。ジョリパット仕上げのブロック塀などに取り入れられることも多く、ヨーロピアンスタイルの建物にはよく映えて素敵です。
画像引用元:LIXIL
デメリットとしては、やはり高価なことと、重さがあること、高さが豊富でないことが挙げられます。
とはいえ、アルミやスチールでは出せない質感はやはり大きな魅力なので、こだわりたい方には根強い人気がある商品です。
このようにフェンスの種類によって、外構の雰囲気は変わります。外構が変わると家の表情も変わってきます。とくに道から見える箇所に設置する場合は、フェンスひとつにしても、どのようなイメージになるのかをシミュレーションして、じっくり選びたいですね。
3.設置場所ごとの境界フェンスの選び方
境界フェンスの役割は設置する場所によって異なります。そのため、設置場所に合わせてフェンスのタイプやデザインを選ぶのが賢明だといえるでしょう。
まず、道路からの目隠しフェンスは非常に人目を引くことになります。家の外観にも影響を与えるため、デザイン性にこだわって選ぶとよいでしょう。外壁の色や材質との相性を考えたうえで、フェンスのデザインを検討することをおすすめします。
次に、フェンスを設置して隣家から庭を目隠ししたい場合もあるでしょう。休日に庭でゆっくり過ごしたいときに、隣家から丸見えではリラックスできません。プライバシーをしっかりと確保するためにも、完全に視線を遮れるタイプのフェンスがおすすめです。隣人が立っているときも見えないように、高さがあるものを設置するとよいでしょう。
最後に、浴室への視線を遮りたい場合、フェンスでは高さが足りないこともあります。そうしたケースでは、浴室の窓に直接パネルを設置する方法が効果的です。
4.費用を抑えるポイント
境界はコンクリートブロックにメッシュフェンスなどのシンプルなものにしても、門周りはこだわりたいという人も多いでしょう。
しかし、たいていの場合、予算には上限があります。
この項では、いろいろなところにこだわり過ぎると、ついつい予算を超過してしまう新築外構において、フェンスの費用をうまく抑えるポイントをご紹介したいと思います。
4-1.植栽で工夫する
見える部分は、フェンスをグレードアップして見映えを良くするというのが「絶対」だというわけではありません。
接道面を側面と同様のメッシュフェンスにされている家もたくさんありますし、それが貧相かというとそんなことはありません。植栽をうまく配置して、見映え良くされている家も多いです。アルミ製の枕木風角柱などをアクセントとして数本立て、植栽とうまく組み合わせてフェンス代わりにされているエクステリアもよく見ます。
低めの軽い支柱なら、自分で立て、ワイヤーなどを渡してDIYで植栽フェンスを作るという方法もあります。ただし、支柱が高くなる場合、倒れないように施工しなくては危険なので、専門業者に依頼するほうが良いでしょう。
4-2.相見積もりをして比較検討する
通常、材料の業者への仕入れ値は30~40%程度だと言われますが、施主に対しての材料費計上額相場は定価の35~45%引きとなっています。
つまり、材料費に上乗せされて、そこに施工費や諸経費などいろいろな費用がかかってくることになります。いくら材料費が50%引きなどと書かれていても、施工費や諸経費が割高であれば意味がありません。
そこで、適正価格を知るために、相見積をして比較することが重要になってきます。これによって、同じ商品の施工でも費用が数十万円も変わってくることもあります。
もちろん安すぎる施工者でもトラブルが発生することもあります。そのためには、複数社の見積書から相場を知り、なぜ安いのかなど納得したうえで依頼することが大切です。
5.境界ブロックとフェンス施工で隣地と揉めないためには
新築で境界ブロックやフェンスを施工するにあたって、注意したいのは近隣とのトラブルです。新築分譲地で、お互いほぼ同時期に新築する場合などは、分譲地の中のルールがあることもあります。
しかし、そのような明確な規定がない場合、隣地との境界をどうするかというのは、かなり迷うところです。
この項では、隣地との境界トラブルを防ぐために、ブロックやフェンス施工のうえで注意しておきたいポイントについてまとめたいと思います。
5-1.どちらが境界フェンスを設置するか
一般的に、地盤面に高低差がある場合、高さの高い方が土留めとして、自分の敷地内に境界ブロックを施工することがほとんどです。
また、ほとんど高低差がなくても、家の周りをコンクリートで固める場合は、自分の敷地に境界ブロックを施工することになります。砂利など、動かせる状態のものは隣地の境界ブロックに触れても大丈夫ですが、砂利を敷くことによって地盤の高さが隣地のブロックより高くなる場合は、自分の敷地に境界ブロックを設置する必要があります。
片方の家が境界フェンスを取り付ければ、もう片方の家は施工しないことがほとんどです。稀に、よく隣地と折半で、境界線上に境界ブロックとフェンスを施工するという話も聞きますが、これはおススメしません。
なぜなら、費用面やメンテナンス面、その他の面でトラブルとなる可能性が高いからです。ほとんどのフェンスには表面と裏面があるため、表面をどちらに向けるのかということも問題ですし、壊れたときに同じタイミングで修繕したいと思うかどうかもわかりません。
また、万が一家を売却することになった場合、売りにくくなる要因にもなり得ます。
地盤面の高さや家の周囲をどうするかによって、境界ブロックを敷地内に施工するかどうかは決まります。フェンスについては、どちらか片方の家が施工するのが一般的ですが、フェンスについても境界ブロックを施工した側が施工するのがもっともスマートでしょう。
5-2.境界標の位置を確認する
境界フェンスの設置場所を間違えると、予期せぬトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
自分の敷地と隣の敷地は境界線で明確に区切られています。その場所には境界標や境界杭が打ち込まれているため、確かめてみればわかるはずです。
しかし、場合によっては垣根などが設けられているだけで、境目があいまいになっていることもあります。
そうしたケースでは、境界フェンスを設ける前にお隣に相談したり、土地家屋調査士に依頼したりすることが大切です。
境界を確かめずにフェンスを設け、万が一隣地に入ってしまった場合、隣家の要請で撤去しなければならなくなることもあります。
フェンスの施工費用が無駄になるだけでなく、隣家との関係が悪化して生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、境界フェンスを設置する前に境界標の位置は必ず確認するようにしましょう。
そして、フェンスの設置予定場所が自分の敷地内であることを確かめなくてはなりません。
5-3.目隠し対策の注意点
隣接地の庭や窓が見えるような設計で、窓やテラスなどを作ってしまった場合、後から建てたほうが目隠し対策を取るのがマナーです。民法でも、敷地との境界から1m未満の位置に、隣地を見渡せる窓やベランダなどの施設を作った場合は、目隠し対策をする義務があります。
しかし、やり過ぎても隣地と揉める原因になることもあります。トラブルを避けるためには、光や風通しを遮るような圧迫感のあるものは避け、さり気なく目隠しをできるという程度のものにしておくほうが賢明でしょう。
目隠し対策については、以下の記事にもまとめてありますので参考にしてください。
5-4.隣地とトラブルにならないために挨拶は基本
隣地とのトラブルを避けるためには、挨拶することはとても重要です。とくに境界工事に際しては、隣地に立ち入る必要に駆られることもあるため、施主と施工業者とで出向き、工事内容や工期などを伝えておくと誠意が伝わりトラブルになりにくいです。施工先の責任者の名刺なども渡しておき、何かあったときは連絡が取れるようにしておいてもらいましょう。
まとめ
新築外構工事において、囲い・フェンスはとても重要であり、また難しいポイントでもあります。予算やデザイン、隣接地との関係など、さまざまな課題はあります。
しかし、費用面では予算内におさまるように工夫をすることはできますし、良い施工者を選び、周囲への気遣いも怠らなければ、とくに問題はありません。
隣接地との境界、道路との区別、敷地への侵入対策をきちんとしておくことで、これからの生活がより快適なものになるでしょう。