外構工事の種類は、ブロックを並べたり砂利を敷いたりする小規模な工事から、庭全体を施工する大規模なものまでさまざまです。
外構工事の中には、庭を飾るだけを目的とするだけではなく、土留め(土が崩れようとするのを抑える壁)のように機能性も兼ね備えた構造物を施工することがあります。
ただ、土留めは2mを超えてくる大規模なものになってくると、外構専門業者では施工できない場合があります。
本格的な土木工事を行うためには、国家資格や建設業の許可(国から下される許可)が必要だからです。
大規模な土木工事を行うために必要な資格
高低差が2m以上になる土留め工事を行うには、「地山の掘削(くっさく:土を削り取ること)及び土止め支保工作業主任者」と呼ばれる「国家資格」を有している必要があります。
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の免許が無ければ、2m以上の高低差がある場所の土を削ることが禁止されているからです。
土を掘ることができなければ、ブロックや擁壁(ようへき:コンクリートの壁)などの土留めを設けるスペースを確保することができません。
ただ、外構工事で2mを超えてくるような大規模な土工事を行うことは稀です。
そのため、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格を取得している外構専門業者はほとんどいません。
そもそも、これほどの高低差がある土地の場合、あらかじめ土留め工事を行っていなければ家を建てることができません。
万が一土が崩れてしまった場合、大事故に発展する恐れがあるため、建設基準法が定める基準をクリアできないからです。
お客様が土地を購入したと同時に家を建てることができるように、高低差が大きい土地はあらかじめ土留め工事をしてから販売されるケースが多いです。
そのため外構工事を行う頃には、ほぼ土留め工事は完了しています。
これが、外構専門業者の多くが地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格を取得していない理由の一つです。
ただ、中には土留め工事が完了していない土地が安価にて販売されていることがあります。
この場合、その土地を購入したあなた自身がブロック積みや擁壁工事を行って土留めを設けなければ家を建てることができません。
ただ、土留め工事は高額なため、低価格で土地を購入できたとしても結果的に割高になる可能性があるので注意が必要です。
大規模な工事を行うために必要な許可
2mを超える土留めを含める外構工事一式を行う場合、土留め工事だけで数百万円の費用が必要になります。
これに加え、駐車場やアプローチ(敷地の入り口から玄関までの路)、フェンスなどを含めた庭全体を造り上げるとなると、工事金額の総額が500万円を超えてくるパターンが多いです。
すると、多くの外構専門業者は工事を請け負うことすらできない可能性が出てきます。500万円以上の工事を行うには、「建設業の許可」と呼ばれるものが必要になるからです。
しかし、外構工事のほとんどが500万円を超えることが少ない上に、それ以下の外構工事であれば建設業の許可が無くても請け負うことができます。
そのため、ほとんどの外構専門業者は建設業の許可を受けていません。
大規模な工事を引き受けることができる外構専門業者は一握りしか存在しないため、施工を依頼できる会社は限られてきてしまいます。
すると、相見積もり(複数の会社に見積もりを依頼すること)を行って他社と比較することが難しくなり、建設業の許可を受けている業者の言い値で工事を依頼するほかなくなってしまいます。
まとめ
このようなリスクを防ぐために、土地を購入する際はあらかじめ土留め工事が終わっている物件を選ぶことをお勧めします。
土留め工事の費用は土地代に含まれているため、外構専門業者選びや庭造りの予算設定などで悩むことが無くなります。
土地を選ぶ際は、先のことまで見越した上で契約するようにしましょう。