外構フェンスは、通行人の視線を遮断してプライバシーを守るだけでなく、防犯性を高める意味でも大切な存在です。
とはいえ、家に合ったものを選ばなければデメリットが発生することもあります。
そこで、本記事では、外構フェンスを建てるメリットや設置にあたっての注意点、かかる費用の目安などを解説します。
最後まで読むことで、適切な外構フェンスを選べる知識が身につきます。
目次
1.通行人からの視線を防ぐ!外構フェンスの概要
外構フェンスとは、家の外周を囲んで建てるフェンスのことです。完全に視界を遮る目隠しフェンスと、見通しの良いメッシュフェンスとがあります。
フェンスを建てる大きな目的は家(敷地)の境界をはっきりさせることがメインですが、それだけではなく、特に目隠しフェンスの場合は家の周りを行きかう人々の視線を遮ることができます。
なかでも、家のすぐそばを道路が通っているときに有効です。
外構フェンスを設置すれば、自宅のすぐそばを人が通りすぎても視線が気になりません。また、家の周囲を囲むことで、防犯性も高められます。
フェンスの設置方法は、家によってさまざまです。
たとえば、フェンスだけを独立して設置させているところもあれば、ブロック塀のうえに設置しているところもあります。
2.メリットだけじゃない?フェンス設置時の注意点
目隠しになる、防犯性が高くなるなどさまざまなメリットがある外構フェンスですが、建てるにあたってはいくつか注意すべきポイントもあります。
まず、設置する外構フェンスのデザインやタイプによっては、日当たりや風通しが悪くなる恐れがある点です。
日が当たりづらく風の通りも悪くなることで懸念されるのが、カビや苔の繁殖です。これは、家屋や外壁の寿命を縮めることにつながりかねません。
また、背が高く隙間のないタイプのフェンスを建てると、人に圧迫感を与えることがあります。
フェンスを建てるまえと比べ、敷地が狭く感じられることもあるでしょう。
さらに、外構フェンスは風の影響を強く受ける点にも注意が必要です。強風がふいたときに倒れたりしないように、頑丈に設置しなければなりません。
設置する場所についても、慎重に決めることが大切です。
隣家の敷地との境目が曖昧な場合、無断でフェンスを建てるとトラブルになる可能性があります。
所有地の図面を十分に確認する、隣人に相談するなどして、曖昧さを回避しましょう。明確な境界線がわからない場合は、土地家屋調査士に依頼して調べてもらう方法があります。
3.デザインや素材が大切!外構フェンスを選ぶときのポイント
どの外構フェンスを選択するかで自宅の外観は大きく異なります。
フェンスによって機能性もさまざまです。そこで、この段落では、外構フェンスを選ぶ際に押さえておきたいポイントについて解説します。
3-1.高さ
外構フェンスの設置を検討する際、まずチェックしたいのが「高さ」です。家の周りを行きかう大人の目線を遮断することが目的であれば、180cm程度は必要です。
そのため、外構フェンスは180~200cmにすることが一般的です。
とはいえ、周辺の家とのバランスも考慮する必要があります。隣家に比べ自分の家のフェンスだけが高すぎたり低すぎたりすると、全体のバランスを欠き、見た目が良くありません。
また、フェンスを建てると、室内からの眺めも大きく変わります。敷地そのものが高い場合もあります。
そのため、「180cm以上」というのはあくまで目安と考え、柔軟な視点で選ぶことが大切です。なお、ブロック塀の上にフェンスを建てるのであれば、塀の高さも考慮する必要があります。
3-2.日当たりと風通し
日当たりと風通しの良さも、フェンスを選ぶときに外せないポイントです。
設置するフェンスの種類によっては、庭や室内への採光や風通しの邪魔になります。
太陽の光をあまり遮らず、風もよく通すフェンスを選んだほうが良いです。
日がよく当たって風通しも良いと、敷地内に植えた草花や樹木も育ちやすくなり、室内でも快適に過ごます。
ガーデニングが好きで草花のお世話がこまめにできるのであれば、目の粗いメッシュタイプのフェンスを選び、つる性植物を絡ませる方法も良いです。
植物で目隠しになり、日当たりや風通しも悪くなく、さらにおしゃれな雰囲気になります
3-3.デザイン
外構フェンスは、家の外観が与える印象に大きく影響を及ぼすものです。
また、家のなかから外を眺めたときも、当然視界に入ります。そのため、外から見たときも家のなかから見たときも違和感を覚えないデザインを選ぶことが大切です。
おしゃれなデザインのものが良いからと個性的なものを選ぶと、色味が合わずに悪目立ちすることもあります。
外壁と同じ系統の色を選ぶと自然となじみ、浮いて見えることはありません。
基本的に、フェンスは縦か横の直線的なデザインのものがほとんどです。
エクステリアの業界では「縦は和風」「横は洋風」といわれています。家の外観のテイストに合わせて縦か横かを選ぶと良いです。
また、和風の住宅で縦のフェンスを合わせるなら、黒や茶色が基調のものにするとより和の印象を与えられます。
ただし、暗いカラーにすると、重厚感がある一方で敷地が狭く見えることがあるため注意しましょう。洋風の住宅であれば、白やシルバーの横フェンスが雰囲気によくなじみます。
3-4.素材
外構フェンスの素材には、さまざまなものがあります。それぞれ特徴が異なるため、違いを把握することが必要です。
フェンス素材の定番はアルミですが、スチールや樹脂製のものもよく使われます。
アルミ製のフェンスは、横向き、縦向き、格子状、ルーバーなどデザイン・サイズともに豊富にそろっていて、どのような外観の家でも合わせやすいのが特徴です。
同じようなデザインの門扉が用意されているケースも多く、フェンスとそろえることで外観を統一できます。
スチール製フェンスは、シンプルな格子状のデザインのものが多いです。存在を主張しすぎず、外観にあまり影響を与えません。
そのため、さまざまな外観の住宅に合わせやすいでしょう。ほかの素材と比べ、安価な傾向があります。
樹脂製フェンスは、温かみのある印象を与える素材です。樹脂フェンスのなかでも、木粉を入れた木粉樹脂フェンスは木の風合いが楽しめて風雨による腐食も起こらないことから、木製フェンスの代わりとして高い人気があります。植栽にもほどよくマッチするでしょう。
また、竹垣のように見えるタイプもあります。和風テイストの家や庭によくフィットし、本物の竹垣よりも耐久性があるのが大きな魅力です。
木材のフェンスは、ナチュラルな雰囲気にしっくりなじみます。とはいえ、風雨や砂ぼこりの付着などで腐食してボロボロになりやすいため、美しい状態で維持するためにはこまめなメンテナンスが必要です。非常に手間がかかるため、設置にあたっては十分に検討しましょう。フェンス専門店でも、木製フェンスはメンテナンスなどの問題から取り扱っていないことがあります。
4.素材や業者によってピンキリ!フェンスを設置するための費用相場
外構フェンス設置にあたっては、いくらくらいの費用がかかるのか気になるものです。
とはいえ、フェンスによって価格には大きな幅があるため、一概にはいえません。
たとえば、安いものは幅1m前後のフェンスが1枚5000円前後ですむ一方、高いものでは10万円を超えることもあります。
施工費用も業者や設置面積によって大きく異なるため、「いくらかかる」と断言することはできません。
一応の目安としては、施工幅1mにつき、材料費・工事費込みで1~4万円ほどです。敷地の外周を20mほどフェンスで囲うのであれば、トータルで15~60万円ほどかかるでしょう。
ただし、これはフェンスを単体で設置した場合の金額です。
ブロック塀の上部にフェンスを設置する場合は、ブロックに支柱を立てる穴をくり抜く必要があり、別途5~10万円程度の費用がかかります。
5.DIYするのは有り?フェンスをお得に設置する方法
外構フェンスの設置を検討しているものの、予算の関係で難しい場合もあるでしょう。費用を少しでも抑えたいのであれば、自分で設置工事を行うことも、方法としては考えられます。
ホームセンターや専門店に行けば、フェンス本体と必要なパーツがセットになった商品を購入することも可能です。とはいえ、知識も技術もない素人がDIYでフェンスを設置しようとすると、膨大な時間がかかるものです。特に、180cmほどの高さのフェンスを設置する場合は、基礎工事をしなければなりません。
基礎工事は地面に深い穴を掘って基礎ブロックを打ち込み、支柱を立ててモルタルを流し込むというもので、素人が完璧にするのは困難です。うまくできなければ設置してわずか数年で倒れることもあり、DIYによる設置は大きなリスクを伴います。安いフェンスを自分で探してきて購入し、専門業者に工事のみ依頼する方法も考えられるでしょう。
しかし、業者の多くはフェンスの購入から工事までをセットで請け負っており、工事だけを依頼しても受けてもらえない可能性があります。請け負ってくれたとしても、施工後のアフターケアがないことも珍しくありません。
最初からエクステリア・外構工事業者に依頼するほうが、早く確実です。依頼するときは、必ず2社以上に同じ条件で見積もりを出してもらいましょう。
単純に見積もり料金が安いほうを選ぶのではなく、内容に関してしっかりと説明してくれる、こちらの質問に対して丁寧に回答してくれるなど対応が誠実なところを選ぶことが大切です。複数の会社で相見積もりを行い、安く良質なサービスを行ってくれる業者を探しましょう。
また、手広くさまざまな工事を手掛ける業者よりも、エクステリア・外構工事を専門とする業者のほうがおすすめです。外構専門であれば、良質なフェンスを比較的安価で用意してもらえるでしょう。また、実績が豊富な分、クオリティの高い工事が期待できます。
6.まとめ
外構フェンスは外部から家を守る大切な役割を果たすものです。とはいえ、ただ設置すればいいわけではありません。
デザインや機能性も十分に考慮したうえで、必要なものを選択しましょう。
外構フェンスの設置は、信頼できる外構工事専門業者に依頼するのが大切です。
正しい知識や豊かな経験をもとに、お客様の立場になって熱心に取り組んでくれる施工業者に依頼できるよう、この記事で紹介したことを参考にしてください。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣