新築の家を建てる際の外構工事に関しては「家をフェンスで囲う」「駐車場をつくる」といったシンプルなものでも良いと考える人も少なくありません。
また、外構工事の詳細がわからないという人もいるのではないでしょうか。
外構工事は家の住み心地にも関わるポイントなので、しっかりと考える必要があります。
本記事では外構工事の概要に加え、失敗しやすい点や押さえておくべきポイント、費用相場などについて解説します。
目次
1.外構工事ってどんな工事?
外構工事とは家の外側全般の工事で、たとえば、塀やフェンス、門扉、駐車場などに関する工事は外構工事に含まれます。
エクステリア工事と呼ばれる場合もありますが、厳密には異なるものです。
外構工事は防犯や目隠しなどの機能性を重視するものであり、エクステリアはどちらかといえば外構部分でくつろぎ空間やオシャレを含めた演出的な意味合いが強いものといえます。
家を建てるハウスメーカーに依頼することもできますが、外構部分については経験豊富な専門業者に依頼するのがおすすめです。
2.外から丸見え?外構工事のよくある失敗
キッチンやリビングに比べて外構工事にはこだわらず、失敗してしまったという声が少なくありません。
こちらでは、さまざまある失敗例のなかでも特に多いものを挙げて解説します。
2-1.駐車場が不便
駐車場は車の大きさにぴったり合わせて作ると出し入れが困難になり、ぶつけるリスクも高まってしまいます。
土地の大きさによっては難しいケースもあるかもしれませんが、できれば車の大きさより少し余裕がある広さにするほうが使いやすいです。
財団法人の「駐車場整備推進機構」が提示している車庫の広さを参考にするのも良いでしょう。
たとえば、普通・大型自動車用の車庫の広さは「奥行き5.9×幅2.9m以上」が必要であるとされています。
ただ、こちらの目安は、あくまでも目の前にある道路に対して直角に車庫を設置する場合の例です。
そのため、状況に合わせて広さを調整したうえで作る必要があります。
また、家と駐車場の距離が遠い場合、雨や雪の日に衣服が塗れやすくなるので注意しましょう。
2-2.外部からの侵入や視線の遮蔽が不十分
外構工事の設計は、不法侵入の防止という意味で非常に重要です。
たとえば、塀や門扉の設置をなくし、費用を節約できたとしても、いずれ近所の子どもがイタズラで敷地内に入ってきてしまう可能性もあります。
また、視線を遮断し、家のプライバシーを守るためにも塀や門扉は必要です。
塀や門扉があれば、玄関ドアを開けた際に通行人に室内が見えてしまうことを避けることが期待できます。
視線の遮蔽は塀や門扉以外にも植栽したり、目隠しフェンスを使ったりという方法も可能です。
自分の家の雰囲気に合った外構を計画しましょう。
2-3.夜になると暗すぎる
周囲に街灯がないような場所に家が建っている場合、夜になると真っ暗になってしまいます。
真夜中などに玄関灯のみがついている状況では、車庫入れもしにくいかもしれません。
また、防犯面でも家の周囲が暗すぎるのは安心とはいえません。
特に、女性や子どもがいる家庭ではセキュリティをできるだけ高めておくほうが不安材料を減らすことができます。
外構工事のプランを考える際には照明についても考慮して計画し、夜でも作業などがしやすく、セキュリティが高い環境を作りましょう。
3.費用の節約になる?外交工事のDIYについて
DIYが得意な人であれば、外構で不便なことが起きたときに自分で改善しようとする人もいるのではないでしょうか。
たとえば、簡易的な門扉の設置や玄関アプローチに砂利やレンガを敷くなどの作業であれば、DIYでも対応可能です。
DIYによる外構工事は自分好みにデザインでき、専門業者に依頼するよりも費用が安価になるメリットも期待できます。
ただ、費用の節約のためだけにDIYをするのはおすすめできません。
長い期間住むことになる家に関わるものの仕上がりは非常に重要になるため、専門的な知識が不足している素人が行う工事では耐久性に問題が残ってしまうからです。
そのほか、電気や水道などを工事する際には内容によって資格が必要になります。
難易度が高い作業については、経験豊富な専門業者に依頼するほうが無難です。
4.事前設計が肝!外構工事のときに押さえておきたいポイント
外構工事を行うには押さえておくと良いポイントがさまざまあります。こちらでは、そのなかでも特に重要なことを3つ紹介します。
4-1.外構の種類を把握しておく
外構は、主に「クローズ外構」「オープン外構」「セミクローズ外構」の3つがあります。
①クローズ外構
クローズ外構はプライバシー重視の人におすすめです。こちらは塀や門扉などで完全に敷地の周囲を囲むという方法になります。
重厚で高級なイメージを与えやすいですが、閉鎖的な雰囲気もある点がネックです。
近所や通行人から敷地内の様子が見えにくく、周囲の目を気にせずに庭での作業やBBQを楽しめるのが魅力となっています。
②オープン外構
オープン外構はヨーロッパの郊外にある住宅などで多く活用されているもので、塀やフェンスによる家の囲みをしないものや囲みをするとしても最小限に行う方法です。
開放的な雰囲気を感じることができる点や、塀や門扉にかける費用が節約できる点は魅力ですが、敷地外から家の様子が丸見えになりやすいのでプライバシーは確保しづらくなります。
③セミクローズ外構
セミクローズ外構は、クローズ外構とオープン外構の中間の方法です。
塀や壁などの高さを調整することで開放感とプライバシー保護の両方を実現できます。
たとえば、家の中が見えやすい窓などのプライバシーに関わる部分のみクローズし、その場所以外をオープンにするといった方法も可能です。
一見メリットが多く感じるかもしれませんが、オープン外構より費用が高くなりがちで、メリットを活かす設計ができなければ中途半端になる可能性もあります。
4-2.外構工事を進めるタイミングを考える
外構工事を依頼するタイミングを考えることも重要なポイントです。一般的に、外構工事は基礎工事完了前が多く、家の建築と同時に進めることになります。
この方法は、家と外構の完了が同時期になることから、家が仕上がったと同時に落ち着いて生活をはじめたい人に向いています。
また、家の図面を描くタイミング、つまり家本体の建築が完了する前にあらかじめ外構について設計しておくのも良い方法です。実際に暮らしたときにどういう状態になるのかを想像しながら進めることができる点がメリットです。ただ、家が建築されたときにイメージとのズレが生じる場合があるため、そのときはプランの調整をしなければなりません。
さらに、家本体の建築が完了後に外構を考えることも可能です。こちらのタイミングの場合、塀や門扉などの外構がない状態で過ごす期間があるものの、必要な外構工事のみを行うことができます。家の完成後に外構工事を行う場合は優先順位が高いものからとりかかるのがおすすめです。たとえば、必要な外構工事のうち塀や門扉のような優先順位が高いものは家の建築と同時に行い、敷地内で行う工事については家の完成後に徐々に進めていくという方法もあります。
4-3.信頼できる外構工事専門業者を選ぶ
外構工事の仕上がりがどうなるのかは依頼する専門業者によって決まります。そのため、依頼する専門業者選びの際は、その会社の専門性の高さと人で選ぶことが重要です。
たとえば、建築士や造園技能技師など有資格者がいる会社であれば専門知識を活かしたアドバイスをもらうこともできます。信頼できる外構工事専門業者は、自社のホームページ上で施行事例を紹介しているところが多いです。
そういった事例には施工内容とともに費用や実際に施行した箇所の画像が掲載されている場合もあるので、自分の好みに合っているかどうか比較する際の参考になります。
もし、気になる外構工事専門業者が見つかったとしても、すぐに決めるのは避けたほうが無難です。依頼した後でその業者より理想に近い仕上がりにしてくれそうな別の業者が見つかるケースもあるからです。
費用が安い分だけ仕上がりもいまいちだったり、わからない点について質問をしても説明をきちんとしてくれなかったりという業者もあります。
また、設計図の作成なしで工事を進めてしまうところもあり、そのような業者に依頼してしまうと、施工や費用面でトラブルが起こる原因になりかねません。後悔をしないためにも気になる専門業者を2~3社ほどに絞り、見積もりを依頼して比較検討をしましょう。
5.デザインやサイズなどによってさまざま!外構工事の相場
外構工事において、門扉や門柱はデザイン・サイズなどによって相場が変わります。
たとえば、インターフォンと組み合わせた一般的なものは約20~30万円、比較的安価なものであれば約10万円で対応可能です。さらに、門扉の取付をする場合はその部分の地面に基礎工事をする必要があるため、その費用で約2~3万円かかります。
塀やフェンスも素材・形状によって相場が異なりますが、隣家との境界線のためにブロックを積む工事で約20万円必要です。
フェンスは材質がさまざまで、アルミ、木製、鉄製などのものが人気となっています。なかでも腐食しにくく、長期間劣化しないアルミ製フェンスを取り入れる家庭が多いです。
アルミ製フェンスの費用の一例として、高さ80cm程度であれば1m3500~5000円が相場といわれています。家の周囲が80mで1m5000円のフェンスを使用した場合、ぐるりと囲むように張ると40万円ほど必要になる計算です。
駐車場は地面をコンクリートにしたうえで、積雪対応、機能性やデザイン性があるカーポートを設置した場合で、車1台につき約30~40万円かかります。
屋根付きのカーポートにする場合、強風や積雪で屋根が壊れてしまう可能性があるので注意が必要です。
外構にライトを設置する場合は照明自体の価格にもよりますが、玄関付近であれば約10万円、玄関から遠くなるほど配線を引っ張る必要があるため、15~20万円前後かかると想定しておきましょう。照明のなかにはセンサー付きで人の気配を察知して点灯するタイプもありますが、そういったものを選んだ場合はさらに費用が高くなります。
6.まとめ
本記事では外構工事について解説しました。
外構工事は本体工事に含まれていないので、費用面も含めて慎重に検討するのがおすすめです。
たとえば、ハウスメーカーや工務店を通すと費用も高ついてしまいます。
正しい知識や豊富な経験があり、お客様の立場になって熱心に取り組む施工業者に依頼するためにも、この記事を参考にしてください。
筆者:外構職人歴20年・石川公宣