外構工事(エクステリア工事)を行う方の中で、ブロックや擁壁(コンクリートの壁)で塀を作成する方は多いです。
不審者の侵入を防ぐことができる上に、外部からの視線を遮ることができるからです。
また、敷地を塀で囲むことで建物の外観が風格ある見栄えになります。
ただ、コンクリートやブロックは時間の経過と共に風化していくため、次第にひび割れが生じます。
また、塀の表面に塗るモルタル(セメントと砂、水を混ぜ合わせたもの)にも亀裂は発生します。
実際に、古くなったブロック塀やモルタル塗りの壁に目を向けると、ひび割れが発生しているものがたくさんあることに気が付きます。
このとき、亀裂が生じているにも関わらず、それを放置してしまうとその隙間から雨水が入り込んでしまいます。
すると、骨組みとして中に入っている鉄筋が錆びやすくなってしまい、安全を確保できるだけの強度を保つことができなくなってしまいます。
鉄筋が腐食してしまうと、ブロックが積み木のように積み上げられているだけの状態と同じになってしまいます。
その結果、人が寄り掛かったり地震が発生したりして外部からの力が加わると倒壊してしまう恐れがあります。
そのため、ヒビ割れや亀裂を見つけたときは、できるだけ早めに対策を行う必要があります。
ただ、エクステリア全般の手入れを外構専門業者(エクステリア業者)に依頼してしまうと、ランニングコストがかさみ、家計を圧迫する原因になりかねません。
そこでこのページでは、擁壁やブロック塀に発生したヒビ割れのDIY補修方法を紹介します。
手入れをあなた自身が行うことで、維持費を最小限に抑えることができます。
目次
ブロック塀をDIYで補修できるかどうかの判断基準
ブロック塀をDIYで補修できるかどうかは、劣化の程度によって見極める必要があります。
自分では手に負えないレベルの劣化を直そうとすると、かえってダメージを広げる結果になる恐れもあります。
適切に処置するためにも、ブロック塀がDIYで補修可能かどうかの判断基準を押さえておきましょう。
基本的に、鉄筋が見えない程度の欠けや、幅0.3mm以下のひび割れなどであれば、内部まで劣化が進行していないのでDIYでも補修できます。
幅0.3mmははがき1枚分の厚さに該当するので、ひび割れ部分にはがきを当てて確かめてみてもよいでしょう。
一方、大きなひび割れがあったり、傾いていたりする場合は、業者に補修を依頼する必要があります。
劣化がひどければ、ブロック塀を一から建て直す可能性もあるでしょう。
ブロック塀や擁壁のメンテナンスに必要な道具
塀などに発生した亀裂の補修方法は、モルタル(砂とセメントを水で混ぜたもの)やコーキング剤(隙間を埋めるボンドのようなもの)を活用するのが一般的です。
欠けの修復方法
ブロックが少し欠けている場合、モルタルで修復すると良いです。
このとき、モルタルを入れる場所は水で洗い流したりブラシで擦ったりして掃除しておきましょう。
汚れたままモルタルを詰めようとしても、吸着せずに剥がれ落ちてしまう可能性があるからです。
少し欠けが大きいが、その部分のブロックを交換するほどではない場合、新聞紙などの紙を丸めて穴に詰めた後にモルタルで覆うと良いです。
こうすることで、使用する材料が少なくなる上に、素人でも仕上げやすくなります。
もし、修正する箇所の範囲が小さい場合、モルタルよりも簡単に作れるノロ(セメントを水のみで練り上げたもの)を活用しても良いです。
このとき、ただのセメントではなく、補修に最適な「ハイモル」を使用するようにしましょう。
亀裂の修復方法
一方、ひび割れが広い範囲に広がっている場合、コーキング剤を使用した方が手軽に修復できます。
モルタルは砂とセメントと水を混ぜ合わせて作らなければいけないのに対して、コーキング剤は市販のものをそのまま使用すれば良いからです。
コーキング剤で亀裂を修復する場合、使用する範囲によって歯磨き粉のように絞り出すことができる「チューブタイプ」のものとガン(専用の道具)にセットして使用する「カートリッジタイプ」のものを使い分けます。
小さな割れを補修するのであれば、チューブタイプのコーキング剤を使用すれば良いです。
ただし、亀裂が広い範囲に入っている場合、コーキング剤を絞るだけでもかなりの労力を必要とします。
そのため、広範囲の修復作業を行うのであれば、カートリッジタイプのものを活用すれば作業がはかどります。
また、コーキング剤の口はカッターやはさみなどで切り落とします。
このとき、むやみやたらにカットせずに、ひび割れの大きさに合わせて加工すると作業がはかどるので事前に確認しておきましょう。
いずれの場合も、コーキング剤の先端を亀裂に押し当てながら充填(じゅうてん:物を詰めて欠けた所や空所を満たすこと)していきます。
ひび割れにコーキングが行き渡った後は、ボロ布などで表面を均せば素人でも見栄え良く修復することができます。
なお、ここで紹介した材料や道具はホームセンターへ行けば手に入ります。
もし、どれを使用すれば良いか分からない場合、店員に相談するようにしましょう。
このとき、ヒビ割れの程度が分かるように写真を撮っておくと良いです。一目見れば、適切な道具が分かるからです。
ブロック塀の補修を依頼した場合の費用
ブロック塀の補修にあたって、コストが心配だという人も少なくないでしょう。
一般的に、ブロック塀の補修は1平米あたり1万3000~2万円程度の金額が相場となっています。
もちろん劣化の進行状況にもよりますが、一つの目安としてこの数字を参考にしておくとよいでしょう。
なお、補修ではなく新しいブロック塀に交換する場合、前述の相場よりも高くなると考えておくのが賢明です。
また、補修に加えて洗浄や塗装をする場合、さらに費用がかかってきます。
予想外の出費を防ぐためにも、あらかじめ業者に見積もりを出してもらうことが大切です。
例えば、カビや泥などの汚れをきれいにする高圧洗浄は、1平米あたり200~300円程度の費用がかかります。
ひび割れ部分などにモルタルを充てんする下地処理の費用相場は、1平米あたり1000円程度です。
コテを使って左官工事で塗料などを塗る場合、1平米あたり4000円程度の費用が発生します。
他にも諸経費という形で職人の交通費などがかかるので見積もりは必ず取るようにしましょう。
ブロック塀の補修に利用できる補助金制度
倒壊の危険があるブロック塀を補修する際、自治体の補助金制度が利用できる場合があります。
条件や金額は地域によって異なるため、前もって自治体に確認しておくことが重要です。
基本的に、工事の施工前に申請しておかないと補助金は支給されないので注意しましょう。
まずは補助金の交付対象であることを確かめ、申請書を提出します。
審査に通ったら工事を行い、工事完了届を出して再び審査を受け、認定後に補助金が支給されるという流れになります。
申請の際は契約書や見積書、工事するブロック塀の写真などを提出する必要があるため、漏れがないようによく確認しておきましょう。
ちなみに、業者によっては補助金申請も請け負ってくれるところがあるので、一度相談することをおすすめします。
全てをDIYできるとは限らない
ただ、擁壁やブロック塀の中の鉄筋がむき出しになっていたりグラついたりしている場合、外構専門業者(エクステリア業者)に相談した方が無難です。
見栄え良く修復したとしても、倒壊する可能性があるからです。
エクステリア業者のほとんどは無料で見積もりをしてくれるため、それを活用して安全性や工事費用を確かめるようにしましょう。
DIYを行う際は、素人でもできる作業のみを行い、プロでなければ施工できない場所は外構専門業者にお願いすると良いです。
そうすることで、安全性を保ちつつ最小限の費用でメンテナンスを行うことができます。
しかしながら、素人ではメンテナンスや修復に限界があります。
大地震がきて倒壊してからでは遅いため、安全性を常に確保するためにプロにブロック塀の補強を相談して見ましょう。