車を持つ家庭にとって、外構工事を考える際に駐車場の確保は必須です。
どのような駐車スペースにするのか、デザインや機能性、予算などさまざまな観点から考えなければなりません。
本記事では、外構工事で駐車場を依頼する際に知っておきたい基礎知識から、おしゃれで快適なデザインなどを解説します。
駐車場をどのように依頼するか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.駐車場の外構工事とは?
外構工事における駐車場は、車を停めるスペースを確保するために大切です。
道路から駐車しやすかったり、家から出入りしやすかったりなど、動線を考える必要があります。
毎日使う駐車スペースだからこそ、こだわりの駐車スペースをよく考えなければなりません。
また、どのような種類の駐車場を選ぶかも、外構全体の印象を大きく左右します。
ガレージを作って駐車だけでなく趣味のスペースとして活用したり、ビルトインタイプにして限られた土地を有効活用したり、さまざまな取り入れ方があります。
外構のデザインや機能性にこだわりたいなら、駐車スペースの舗装も外構や住宅の雰囲気に合わせて考える必要があります。
駐車スペースと一口にいってもさまざまな種類、デザインがあるので、どのように使っていきたいか、長い目で考えていきましょう。
2.駐車場の外構工事の種類
駐車場の外構工事にはさまざまな種類があります。
一般的な駐車場のスペース4種類と、舗装の種類を紹介します。
それぞれの魅力やデメリットを確認し、自宅や外構の雰囲気に合う駐車場を考えていきましょう。
2-1.ビルトインタイプ
ビルトインタイプは、駐車スペースが住宅の一階部分になっている駐車場です。
限られた土地を有効活用できるので、外構スペースが少ない狭小住宅でも取り入れやすいです。
また、一階部分が屋根となってくれるので、雨や雪の日でも車が汚れない、濡れずに車に出入りできるというメリットもあります。
一方で、ビルトインタイプでは一階部分に十分な部屋を用意できません。
リビングや寝室が二階以上になるため、階段の上り下りが大変な子どもや高齢者がいる場合には注意が必要です。
自分が今後高齢になった際にも使い続けられるかを考えて取り入れるようにしましょう。
2-2.オープンタイプ
オープンタイプは、もっともシンプルな駐車場です。
外構に車を停めるスペースを作るだけなので、予算もかかりません。
外構や駐車場の設置にあまり費用をかけられない、今後自分好みにリフォームしていきたい方は、オープンタイプの駐車場でも問題ないでしょう。
屋根がなく閉塞感もないので、狭い外構でも解放感のある雰囲気を演出できます。
一方で、屋根がないことで車が汚れやすくなる、雨の日に家から出入りする際に傘を差さなければならないなどのデメリットもあります。
2-3.カーポートタイプ
駐車場に簡易的な屋根を取り付けたカーポートタイプも、よく見る駐車場の種類です。
カーポートがあることで車を雨や雪から守れるだけでなく、紫外線カットの効果も期待できます。
車を停めていないときは雨の日でも駐車スペースで洗濯物を干せるなどのメリットもあります。
積雪量が多い地域では、一晩で車に大量の雪が積もってしまうこともあります。
重量に耐えきれず車がダメージを受けてしまうこともあるため、カーポートなどの設置は必須ともいえます。
耐雪量に応じてさまざまなランクのカーポートがあるので、自分が住んでいる地域の積雪量に合ったカーポートを選びましょう。
2-4.ガレージタイプ
ガレージタイプは、外構に別途ガレージを作ってその中に車を駐車するタイプです。
完全に個室になるので、カーポートなどの簡易的な屋根よりもしっかり車を守れます。
また、防犯性も高いので、治安が心配なエリアや高級車に乗っている方などにはガレージがおすすめです。
ガレージを駐車スペースとしてだけでなく、DIYの作業場所や楽器を演奏する場所など趣味のスペースとして活用することも可能です。
一方で、ガレージを設置するにはある程度の広さの外構を確保しなければならないというデメリットがあります。
ガレージがあることで圧迫感が生まれるため、狭いスペースに無理にガレージを設置すると住宅全体に閉塞感が生まれてしまいます。
さらにガレージはカーポートとは違って固定資産税の対象になるため、税金が余計にかかる点も覚えておきましょう。
2-5.コンクリート舗装
駐車場の舗装のなかでも一般的なのが、コンクリート舗装です。
コンクリートはアスファルトに比べて長期間強度を維持できるため、メンテナンスの手間がかかりにくいというメリットがあります。
アスファルトより費用も抑えられるため、一般家庭の駐車場の舗装にはコンクリートが使われることが多いです。
コンクリートは排水性がないので、雨の日にうまく水が流れていくように施工の際に水の通り道を考えておく必要があります。
また、コンクリートは比較的長持ちするものの、経年劣化によってひび割れなどが進みます。
車にダメージを与えたりヒビにつまづいて転倒したりしないよう、こまめなメンテナンスをこころがけましょう。
2-6.タイル舗装
タイル舗装を駐車場に使う例もあります。
タイルはデザイン性が高く、おしゃれな外構に仕上げたい方におすすめです。
タイルの種類によっては和風にも洋風にも、モダンにもスタイリッシュにも仕上げられるため、住宅や外構のデザインに合うものを選びましょう。
タイルは一枚一枚取り付けていくため、一部が欠けたりひび割れたりしてもその部分だけを取り替えればいいという手軽さもあります。
一方で、施工に時間がかかったり、外構工事業者によってはタイルの施工が苦手だったりすることもあります。
タイル舗装を考えている方は、外構工事業者に依頼する前に施工事例などを確認しておきましょう。
2-7.砂利舗装
砂利舗装は、駐車場の舗装のなかでも比較的低予算でできる舗装です。
駐車スペースに砂利を敷き詰めるだけなので、ホームセンターで砂利を購入して自分で施工する方法もあります。
ただし、自分で施工する際はビニールシートを敷いたうえに砂利を敷き詰めるなど、雑草対策を忘れないようにしましょう。
駐車場に出入りするたびに砂利の音がするので、防犯性を高められるメリットもあります。
一方で、足元が悪くなるため子どもや高齢者がいる家庭や、ベビーカー、車いすの乗り入れがある家庭では使いにくくなってしまいます。
2-8.芝生
駐車場の舗装を芝生にすれば、緑豊かな外構を演出できます。
柔らかい地面をそのまま残しておけるので、心地いい乗り降りの感覚を楽しめるでしょう。
一方で、芝生だと雨の日にぬかるんだり、雑草の処理が大変だったりというデメリットがあります。
日々のメンテナンスに時間をかけられない場合は、天然芝ではなく人工芝を選びましょう。
人工芝であれば一年中きれいな緑を維持でき、手入れの手間も低減できます。
費用面も抑えられ、ホームセンターで購入して自分で設置する方法もあります。
2.駐車場の外構工事の費用相場
駐車場の外構工事を考える際に気になるのが、費用です。
駐車場の外構工事費用は、駐車スペースを何台分用意するかによって、さらにどのタイプの駐車場を選ぶかによって大きく変動します。
簡易的な舗装の場合、1台で10万、4台なら40万と、1台あたり10万円前後の費用がかかります。
そのほか、カーポート購入費用、ガレージ設置費用などが加算されていきます。
ガレージの設備や舗装のデザインなどにこだわる場合は100万円以上の費用がかかることもあります。
外構工事にかけられる予算を決めておき、工事業者と相談しながら最適なプランを見つけていきましょう。
3.おしゃれで使いやすい駐車場のデザインアイデア5選
毎日使う駐車場は、使いやすいだけでなくおしゃれなデザインにしたいですよね。
駐車場のデザインを考える際に意識したいポイントを紹介するので、駐車場作りの参考にしてみてください。
3-1.デザイン性の高い舗装を取り入れる
舗装にこだわることで、おしゃれな駐車場を演出することが可能です。
ヨーロッパの石畳のようなデザイン、リゾートのようなタイルデザイン、さらにコンクリートを加工して木材や天然石に似せたスタンプコンクリートなどを採用する方法もあります。
シンプルなコンクリートの舗装では、住宅や外構の印象とちぐはぐになってしまうという場合は舗装の種類をよく検討してみましょう。
カーポートやオープンタイプの駐車場は、舗装が駐車場や外構全体の印象を大きく左右します。
おしゃれさもありつつ、メンテナンスしやすい、長期間使い続けられるなどのメリットも踏まえたうえで、舗装の種類を選ぶ必要があります。
3-2.植物を楽しめるスペースを作る
駐車場のスペースはどうしてもコンクリートなど殺風景でシンプルになってしまいがちなので、植物を楽しめるスペースを作ることもおすすめです。
ガーデニングができるようにする、木を植えるなど、少しでも植物があれば駐車場や外構の雰囲気が柔らかく暖かみのあるものに仕上がります。
植物を植える際は、お手入れの方法も考えておく必要があります。
お手入れが簡単で一年中緑を楽しめる常緑植物はおすすめですが、さらにこだわりたい方や季節に合わせて花や樹木のお世話を楽しむのもいいでしょう。
植物を植えると虫の対策も必須になってくるので、長期間世話をし続けられるか考えておくことも大切です。
3-3.複数の素材を組み合わせる
複数の素材を組み合わせることで、駐車場のスペースに立体感や深みが出て、おしゃれな印象に仕上がります。
コンクリートとアスファルトを組み合わせれば、メリハリが生まれるだけでなく排水面の問題も解決できます。
また、アプローチ部分はタイル、駐車スペースはコンクリートなどにすることで駐車スペースが明確になり、毎日の駐車もスムーズにできるようになります。
木材や天然石は種類によっては高額になりますが、半分をコンクリートにするなどの工夫をすれば、総額を抑えておしゃれな駐車場を作ることも可能です。
3-4.すっきりとしたカーポートを選ぶ
駐車場にカーポートを取り入れる際は、シンプルですっきりとしたデザインのものを選びましょう。
カーポートはガレージと比べて圧迫感は少ないものの、存在感があるものを選ぶとやはり外構の印象を狭苦しく感じさせてしまいます。
柱の色が明るいものを選ぶ、屋根の素材は半透明のものを選ぶなどがおすすめです。
また、柱が一本のタイプはより圧迫感を減らすことも可能です。
一方で積雪量が多い地域や台風が多く来る地域では、一本柱のカーポートでは頼りなく、壊れて車にダメージを与えてしまう可能性もあります。
住んでいる地域ではどのようなカーポートが選ばれているのかもよくチェックしてみましょう。
3-5.掃き出し窓や勝手口から出入りできる
駐車場の利便性を高めるなら、掃き出し窓や勝手口から車に出入りできるように設計しましょう。
こうすることで、買い物帰りの荷物の出し入れやベビーカーの乗り降りなどが楽になります。
雨の日でも濡れにくいので、快適に車を使えるでしょう。
駐車場を作る際はデザインだけでなく、乗り降りの動線を考えることも大切です。
住宅の窓や勝手口の位置、さらに道路からどのように駐車していくのかを確認して、最適な場所に駐車場を作りましょう。
4.駐車場のリフォームで使える補助金はある?
駐車場の設置に補助金はありませんが、ブロック塀の撤去や緑化に関する助成金はあります。
どのような条件で補助を受けられるのかを見てみましょう。
4-1.ブロック塀等撤去費補助金
ブロック塀等撤去費補助金は、古いブロック塀の倒壊による事故を防ぐために用意された補助金制度です。
各自治体が実施しているので、自宅が該当する自治体の補助条件をチェックしてみましょう。
補助金額は10~15万円程度です。古いブロック塀を解体して、駐車場として外構を活用したいというときはこの「ブロック塀等撤去費補助金」を活用しましょう。
4-2.民有地緑化助成制度
民有地緑化助成制度は、住宅の緑化に関する工事の金額を補助してくれる制度です。
外構や駐車場の緑化も補助の対象なので、緑豊かな駐車場、外構にしたい方はこの「民有地緑化助成制度」を利用しましょう。
ブロック塀等撤去費補助金と同じく各自治体が実施しており、緑化の面積について条件が設けられているのが一般的です。
面積や工事内容によって補助金額は変動するので、申請期間なども合わせて確認しておきましょう。
4-3.駐車場の施工を依頼するなら外構工事専門業者へ
駐車場の施工を依頼するなら、外構工事専門業者がおすすめです。
駐車場を含め外構の施工実績が豊富な業者なら、これまでの経験から最適な工事方法を提案してくれます。
また、施工だけでなくデザインもおこなってくれる業者なら、デザイン会社への依頼費用を節約できます。
デザインの段階から一貫して対応してくれるので、完成のイメージを共有しながら、一緒に駐車場、外構を作っていくことが可能です。
外構工事専門店を選ぶ際は、施工事例や利用者の口コミも参考に、納得して依頼できる業者を見つけましょう。
5.まとめ
駐車場を工事するには、事前にどのようなイメージに仕上げていきたいか、どのような雰囲気に仕上げたいかある程度想像しておくが必要です。
工事にもたくさんの種類がある為、依頼をしてからデザインを一から決めようとすると、膨大な時間がかかってしまい、工事が完成するのが先延ばしになってしまいます。
その為この記事では、これから駐車場工事をお考えのお客様が、少しでおスムーズに駐車場の完成イメージを持っていただけたらと思っているので是非参考にしてみてください。
一部、補助金等でも施工ができるケースもありますので、詳しくはお近くの外構工事業者へ訪ねてみることをオススメします。
筆者:外構工事職人歴20年 石川公宣